広蔵市場は温もりのあるソウルのローカル市場~朝食から屋台グルメ、古着や韓服まで
 2015/08/01 改:2019/11/14 吉村剛史(トム・ハングル)

ソウル・東大門の近くに位置する、広蔵市場(광장시장、クァンジャンシジャン)。もともと韓国の伝統衣装の韓服や、反物を販売する市場ですが、ソウル旅行を取り上げるテレビ番組では、屋台グルメが食べられる市場として度々登場します。

広蔵市場は韓国で最も古い常設市場として、100年以上の歴史を誇ります。ソウルには様々な市場がありますが、ビギナー、上級者ともにおすすめしたいところが広蔵市場。南大門市場のように外国人観光客が多い市場よりも、地元ローカルな雰囲気が魅力です。

また広蔵市場では屋台料理だけではなく、韓国の伝統衣装である韓服(한복、ハンボッ)、古着(韓国語では구제(クジェ)・旧製)を販売する市場もあり、最近ではそれらも観光客に人気を集めています。

そんな広蔵市場をじっくりと見ていきましょう。

広蔵市場にはどうやって行けばいいの?~市場への行き方・地図

広蔵市場はどこにあるのでしょうか?場所は東大門の西側に位置する鍾路5街(종로5가、ジョンノオーガ)という町。最寄り駅は地下鉄1号線の鍾路5街駅となります。

そして下の地図は広蔵市場の略図です。屋台街は鍾路5街駅の7番、8番出口からアクセスできます。


広蔵市場の地図

地下鉄2号線で訪れる場合は、乙支路4街(을지로4가、ウルチロサーガ)駅から徒歩5分ほどの距離。明洞(명동、ミョンドン)の繁華街から歩く場合は清渓川沿いを歩いていけば、20分強でアクセスできます。

広蔵市場はもともと韓服・反物が主品目

まずは広蔵市場でお買い物。もともと広蔵市場は伝統衣装の韓服や反物を販売する市場。チマチョゴリやアレンジした改良韓服を購入することができます。また韓服だけでなく、服の生地を販売するお店が目立ちます。

観光客としては韓服を記念に購入したいという人は広蔵市場を訪れるとよいでしょう。そして最近、観光客に人気が高いのは、古着を販売している「旧製市場(구제시장・クジェシジャン)」です。

ビンテージ・掘り出し物が見つかるかも!?古着市場

広蔵市場の2階へ上がってみましょう。韓国語では古着のことを旧製(구제・クジェ)といいます。市場の中央あたりに下のようなボードが設置されており、そこが古着市場の入口となります。

広蔵市場には2階があることも気づきにくく、しかも古着市場の入口もパッとしません。そんなことからつい通り過ぎてしまうのですが、2階に上がると暖色の明かりが灯るなか、様々な古着が敷き詰められています。古着のお店の数は100店舗以上にも及びます。


[古着市場の様子]

まさに広蔵市場は古着の宝庫。その値段はまちまちで、商品によってかなり幅があります。シャツ1枚10,000ウォン~。そして値札は基本的についていません。まずはお店の人に値段を尋ねてしっかり交渉する必要があります。

ここでは意外と思い切った交渉もできるようで、コレだと思うものを見つけたら、ぜひとも上手く交渉して安く古着を手に入れてみてください。詳しくは以下の記事にてご紹介しています。

広蔵市場で古着を手に入れよう~ビンテージの旧製市場

日本に持ち帰りできる食品類も~乾物や塩辛

広蔵市場では食品類の買い物もできます。特に人気なのが塩辛やおかず類。アミの塩辛はもちろん、カンジャンケジャン、明太子など色々なものがあります。

そのほかにも乾物などが買えたりするので、お店をのぞいて見てみましょう。

この次にご紹介するのは、広蔵市場のグルメ。買い物よりも食事やお酒のためにやってくる人も多い市場なので、ぜひ一度立ち寄って食事をしてみてください。

広蔵市場のお店で味わうグルメ~ユッケ、タラ鍋

広蔵市場は屋台が人気ですが、市場内のお店で食事をするのもよいでしょう。これだけお店が多く、訪れる人が多いだけあって食べものの味も洗練されています。値段もお手頃ですし、韓国の市場の雰囲気が存分に感じられます。

何年も前はソウルの地元の市場という印象が強かったのですが、近年は観光客も非常に多い場所。とはいえ平日は夕方になると、仕事を終えた人たちが三々五々とやってきて、料理をつまみながら焼酎やマッコリを飲み始めるのです。

市場のおばさんたちの手招きや呼び込みに反応しながら、お目当ての店を探してみてください。同じメニューでもいくつかお店があります。直観でお店に入ってみましょう。まずはユッケから!

日本では気軽に味わえないユッケ通りに注目!

広蔵市場の北側に接する大通りのうち、中央あたりの路地にはユッケ通りがあります。日本ではユッケが食べにくくなってしまいましたが、この広蔵市場にやってくれば食べられます。

この路地にはユッケのお店が何軒か並んでおり、「チャメチプ(자매집)」というお店や、「プチョンユッケ(부천육회)」というお店が有名。ユッケは15,000ウォン。卵の黄身で肉がまろやかに。そして梨が入っており、さっぱりといただけます。

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[卵の黄身が乗っているユッケ(15,000ウォン):チャメチプ]

またこの通りにある「プチョンユッケ(부천육회)」という店は、ミシュランガイドに連続して紹介されている名店。生きたテナガダコの「サンナクチ(산낙지)」やユッケや梨と混ぜて食べる「ナクチタンタンイ(낙지땅땅이)」も人気メニューです。

タラの鍋(メウンタン、매운탕)

メウンタンは直訳すると辛い鍋。メウンタンというと、刺身を注文した時に魚のあらで作った鍋も同じように呼ばれますが、ここではタラの身もたっぷり入っています。

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広蔵市場のメウンタンのお店では「マダラ(대구、テグ)」、「スケトウダラ(생태、センテ)」の2種類が用意されており、選ぶことができます。タラの切り身を中心に、白子なども一緒に入った鍋料理です。みずみずしいたっぷりの野菜と、魚の味がしっかり染み込んだスープです。

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辛みは比較的抑えられていて、とってもさっぱりしているので美味しい。お値段は24,000ウォン(2人前)。焼酎のツマミとしておすすめです。

ちなみにソウル駅から南へ1駅ほどの三角地駅周辺にはテグタン横丁があり、セリたっぷりのアツアツの鍋が食べられます。こちらもおすすめです。参考:三角地のテグタン横丁

次に市場の屋台で食べられるグルメをお伝えします。

広蔵市場の屋台で味わうグルメ編~お酒・食事

日本人が韓国の市場を訪れ、ウキウキするものと言ったらグルメ屋台で食事をすること、という方も多いのではないでしょうか。広蔵市場の椅子に腰かければ、地元の人たちに溶け込んだような気分にさせてくれます。

屋台を灯す電球が暖色。市場のおばさんたちが、やってくるお客さんたちを迎える気持ちが反映されているかのような、そんな色にも見えて、吸い込まれるようにカウンターに座ってしまうのです。

屋台って「冬は寒いでしょ!?」という方もご安心を。もちろん外気は寒いので冬場は防寒対策が必須ですが、椅子はホットカーペットのように温められているので安心です。

長椅子にひょいと腰かけて、カウンターの前にどっさりと並べられた食べものを見ながら注文をします。今では筆者も慣れましたが、はじめての頃はひとりでひょこっと入り込み、食事をするのもドキドキしたものです。

●市場を訪れる人とのふれあいも楽しい
「日本人ですか?こんばんは。」たまたま隣にいた背が高く若い男性が話しかけてきました。話したいという雰囲気よりも、勉強した日本語を使ってみたかったのでしょう。

私もそのときは帰りぎわだったので、「こんばんは」とだけ答えて、お互い笑顔で別れました。こういうちょっとしたやりとりも、旅行の楽しみ。長椅子のカウンターに腰掛けていると地元の人と距離が近く感じられます。

屋台でお酒とともに味わうおつまみ~チヂミ・刺身

まずはお酒とともにおつまみが楽しめる屋台をご紹介。緑豆チヂミのピンデトクや、お刺身です。

ピンデトク(緑豆チヂミ)

広蔵市場の名物グルメのひとつがピンデトク(緑豆チヂミ)。「スニネピンデトッ」は毎日夕方になると行列ができています。韓国人は雨が降るとジョン(チヂミ)を食べたくなるといいますが、雨が降った日には、さらに混みあいます。

鉄板の上でチヂミを焼く音が雨の音と似ているから、という説もありますが、広蔵市場の中央部に行ってみると、鉄板のうえでジュージューと油で揚げるように、パチパチと音を立てて焼いている光景を目にします。

さっそく腰かけて1枚食べてみることにします。周りはサクサクっとしながらも、なかはしっとりのピンデトッ(4,000ウォン)。緑豆を挽いたものを、油で焼いたのがピンデトッ。「チヂミ」といっても通じます。

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また、ピンデトッの店で売られているのが、コギワンジャ。コギは「肉」の意味で、豚肉や玉ねぎなどを団子状にしたものを油で焼いたもの。こちらは2枚で4,000ウォン。

少々脂っこく感じられることもあるので、ひとりで食べるならピンデトッ+コギワンジャのセット(6,000ウォン)がおすすめです。これで十分お腹いっぱいになれるはず。

ピンデトッなどチヂミの類にあうお酒はマッコリ。ソウルのマッコリでは「長寿(チャンス)」という銘柄が有名ですが、クッスンダンという会社から「テバク」という銘柄も出ています。

お酒が飲める方は、マッコリを飲みつつ、市場の雰囲気を感じながら味わってみましょう。

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有名なお店は「スニネ・ピンデトク(순희네 빈대떡)」、そして「パクガネ・ピンデトク(박가네 빈대떡)」。どちらのお店も大きな差はありませんが、若干ながら異なるため、お腹に余裕がある方は両方を食べ比べてみても良いでしょう。

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上の写真は、最も有名な「スニネピンデトク」のもの。店舗を構えていると同時に、屋台でもお店を出しています。屋台で市場を歩いていると最も目立つ店がこの屋台だと思います。2人以上で行くと分け合って食べられるのでよいでしょう。

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ピンデトッ以外にも、市場内では複数の種類のチヂミ(韓国では例えばキムチチヂミの場合、キムチジョンというのが一般的)を提供している店もあるので、こちらもまたおすすめです。

刺身

次にお刺身。お刺身は日本でも食べられるので、わざわざ韓国で食べることはない、と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、一応写真をアップしておきます。刺身が入った冷蔵ショーケースを見ていると、ふらっと立ち寄りたくなります。

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韓国の刺身店では刺身を注文すると、一匹を丸ごとさばいて大皿に盛って食べるのが一般的ですが、ここでは日本式にも似ています。

一皿20,000ウォン。2人でつまむぶんにはちょうどよい量だと思います。もちろん食べ方は韓国式で、チョコチュジャン(コチュジャン+酢)や、わさび醤油につけたり、ニンニクや唐辛子といっしょに包み野菜に包んで食べます。屋台で商売をされている方は、魚の日本語名もよく知っています。

屋台で味わうお食事~麦ビビンパ・麻薬キンパ・カルグクス

お酒が飲めない方も大丈夫。食事をしたい方におすすめのご飯ものもあります。麦飯や海苔巻き、韓国式うどんはいかがでしょう。

麦飯のビビンバ(ボリパプ、보리밥)

さて下の写真は、ビビンパです。広蔵市場の屋台には麦飯のビビンパを出すお店がいくつかあります。

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10種類以上もの野菜をご飯のうえにたっぷりのせ、食物繊維が豊富な麦飯としっかり混ぜ合わせて食べます。洗面器より一回り小さいサイズなので、食べなれていない人は量が多いかもしれません。

ときどき韓国の女性たちがこの大きさのものを豪快にしっかり食べているのを見ると、何だか好感をもてます。大量の野菜を食べて、それでおなか一杯になるので太らないのでしょうか。ビビンパの値段は、どのお店も5,000ウォンです。お手頃な健康料理ですね。

麻薬キムパ(麻薬海苔巻き、꼬마김밥)

さて、下の写真は「麻薬キンパ」といわれる韓国式海苔巻きです。決して本物の麻薬が入っているわけではなく、「食べだすと止まらない」という意味から、こうよばれるようになりました。

本来の名前は「コマッキムパプ(꼬마김밥)」。「小さい、チビ」という意味の海苔巻きです。

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一口サイズの海苔巻きを、芥子醤油につけて食べます。もともと韓国の海苔巻きには醤油を付けて食べないので、オリジナル感が出たのでしょう。大きさが小さいからパクパクと口にしてしまうのです。

値段は3,000ウォン。市場で食べても、テイクアウトしてお酒を飲んだ後の夜食にもよし。

カルグクス

カルグクスは、韓国式のうどんです。注文すると、麺をまな板の上でうどんを切ってくれます。屋台の椅子に腰かけつつ、しばし茹で上がるのを待ちます。値段は5,000ウォン。キムチ餃子が入った、カルグクスを食べてみてもよいでしょう。

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夏の暑い時期に、あつあつのカルグクスを食べるのもよいものです。もちろん冬もよし。

朝食には体に優しいグルメを~お粥・トースト

広蔵市場は朝9時前から営業しています。韓国は辛い物が多く、朝食にはちょっとキツイという方にもおすすめなのが、お粥や韓国式トーストです。屋台の長椅子に腰かけながら味わってみましょう。

お粥というと、風邪などで体が弱っているときに食べるイメージがありますが、健康食としても知られています。市場ではカボチャ粥、小豆粥、そしてアワビ粥をいただくことができます。

ちなみに韓国粥はお粥の種類によっても異なりますが、もち米を使っていたり、先にごま油で炒めておいたり、という違いもあります。

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[カボチャ粥]

おなかの空き具合にあわせて、量を選ぶこともできます。値段はお店によっても異なりますが、カボチャ粥、小豆粥は3,000~6,000ウォン。アワビ粥は6,000~10,000ウォンです。広蔵市場の屋台街は朝9時前くらいから徐々に店が開きだすので、遅く起きた日の朝食にもよいでしょう。

人気の韓国式トースト

韓国のトーストといえば、鉄板焼きのホットサンド。道端の屋台やチェーン店でも買えますが、広蔵市場の屋台でも売っています。ひとつあたり1,500ウォン。

溶いた卵に少量の野菜や砂糖が混ぜ込まれており、鉄板の上で薄焼きしてくれます。これを鉄板の上で焼いた食パン2枚に挟み込み、ケチャップや砂糖で味付け。


[韓国のトースト(この写真は広蔵市場のトーストではありません)]

出来上がったトーストはくるくると巻いて、紙コップに差し込んでくれます。ケチャップと砂糖の甘酸っぱさのあるトーストは韓国の屋台ならではの朝食です。屋台ではインスタントコーヒーのほか、飲み物も販売されており、朝食を軽く済ませたい方にはおすすめ。

※広蔵市場は東大門エリアにも隣接。東大門には24時間営業のお店が多く、広蔵市場の屋台が始まる時間よりも前に食事をしたい方は「東大門の朝食」について書いたこちらの記事をご覧ください。

東大門市場、地元ローカル派におすすめの朝食リスト

広蔵市場以外のおすすめグルメ市場

南大門市場が韓国旅行初級・ビギナー向けというならば、より地元の雰囲気が感じられる広蔵市場は中級レベルに値するでしょうか。

さらに一歩踏み込むなら、お弁当カフェで有名な通仁市場や、オフィス街にあるディープな市場孔徳市場がおすすめ。

ソウルで海産物を味わうなら、鷺梁津水産市場。焼肉を味わうなら馬場畜産物市場もよいでしょう。

地方でも広蔵市場のような雰囲気を味わいたい、という方には、大邱(テグ)にある西門市場がグッド。大邱で最も大きな市場で、活気に満ちています。ククスなどの麺料理、ナプチャクマンドゥ(ぺたんこ餃子)など、庶民的でチープグルメを味わうことができます。

韓国の市場の醍醐味は広蔵市場にあり!

ソウルのなかで、とくに地元感で溢れていながらも、観光客が訪れやすい広蔵市場。韓服や古着などの買い物はもちろん、地元の人たちに交じってお酒を飲んだり、食事をすることができます。現地の人とコミュニケーションをとりつつ、楽しく旅してみましょう。

※この記事は2013年に公開。2015年8月、2019年11月に大規模な加筆・修正を行っています。




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トム・ハングルの韓国旅行ひとこと
市場はまさに庶民の台所。屋台で食事をしていると、話しかけてくる人もいるので、地元の人との交流できるのが魅力的。ごくまれに政治問題をふっかけてくる人もいますが・・・、あまり気にすることはありません!上手くかわしましょう。



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