馬場畜産物市場~ソウルのローカルな穴場で焼肉を食べるならココ!
吉村剛史(トム・ハングル)
2014/03/21 改:2019/05/14
「韓国に行ったら本場の焼肉を食べたい」という話はもう過去のこと?というほど、ガイドブックやWebサイトで様々な料理が紹介されている昨今。でも、やっぱり韓国に行ったら焼肉を食べたい!そんな方も多いことでしょう!
ソウルであれば、明洞(ミョンドン)や江南などの繁華街で食べるのもよいですが、地元の人たちが集まるローカルな雰囲気のなかで味わってみるのもおすすめ。
そこでご紹介するのは、馬場洞(マジャンドン)にある馬場畜産物市場。首都圏の食肉の多くがここを拠点に流通するという、まさに「食肉の台所」といったところでしょうか。

左・馬場畜産物市場、右・焼肉横丁
馬場畜産物市場へ!
馬場畜産物市場は今をトキめくファッションが集まる東大門市場から、約3キロ東に離れたところにある畜産市場。東大門からタクシーならばわずか約5分ほどの距離です。
市場はソウルの中心を流れる小さな川、清渓川(チョンゲチョン)沿いに位置。観光客が訪れる場所とは言えども、ここを訪ねてくる旅行客は韓国旅行のリピーターもしくは、焼肉好きでしょう。地元ローカル感あふれる市場です。

市場はまるで飾り窓の置屋街のよう。不思議なことに、肉の入ったショーケースはみなピンク色なのです。肉の香りが漂ううえ牛の頭がむきだしで置かれていたり、肉の塊が店先に吊るされたりしていて、少々不気味な印象を受けるかもしれません。
●馬場洞とは?
もとはといえば、朝鮮時代、この場所に牛馬市があったようです。馬場畜産物市場は1961年にこの場所で始まりました。当初は屠畜場も備えていましたが現在では移転しています。

市場内のセルフ式焼肉店「コギインヌンマウル」の入口には、このように馬場畜産物市場の昔の姿が写真として飾られていました。
馬場洞焼肉横丁&馬場洞セルフ式焼肉
馬場畜産物市場は「畜産物市場」の名を冠していますから、スーパーや小売店がここで肉を仕入れて流通させる、もしくは個人客が肉を買いに来る、というのが基本です。
しかし市場の横には焼肉店が何件も並ぶ、焼肉横丁が併設されており、ここでは新鮮な焼肉が楽しめると観光ガイドブックによく取り上げられていました。
しかし、2012年以降、セルフ式焼肉店のほうが話題になったのです。その発端となったのは旅行サイトの「ワウソウル」だったと記憶しています。参考:ワウソウル
セルフ式焼肉店が日本の書籍で取り上げられたのは、2013年に発刊されたファン・スンジェ著『ソウル食べ尽くし!リターンズ』あたりから。
ここ最近の経緯を書き連ねましたが、つまり馬場畜産物市場で観光客が焼肉を楽しむには、「焼肉横丁」に行くか、もしくは「セルフ式焼肉店」に行くか、このどちらかの選択肢になるわけです。
市場で韓牛を購入し、セルフ焼肉を堪能する!
このとき行くことに決めたのは、セルフ式焼肉店のほうでした。市場で好きな肉を購入し、市場内にあるセルフ焼肉店で焼いて食べるスタイルをとります。まずは市場内のお店に出かけて、肉を注文してみましょう。
●韓国産の牛肉とは?
ちなみに日本産の牛肉は「和牛」といいますが、韓国産の牛肉は「韓牛」です。韓牛のブランドとしては韓国北東部の江原道・横城(フェンソン)が最も有名。そのほかにも全羅北道・井邑(ジョンウプ)、金堤(キムジェ)など各地でブランド牛が育てられています。
さらに和牛と同様、韓牛には等級が定められいます。韓国では1++(ツープラス)、1+(ワンプラス)、一等級、二等級、三等級の五段階が基本。名産地ではそれよりも大きな等級も存在するようです。

[韓国の牛肉の等級]
●肉を購入
たくさんの精肉店が並ぶなかで、お店を選ぶことすら迷ってしまいそうです。ちなみに馬場洞畜産市場で韓牛ロースの最高等級(1++、ツープラス)を購入すると、100g8,000ウォン程度。ひとり250gくらいは食べるとするならば、1人当たり20,000ウォン(約2000円)ほどでしょう。
盛り合わせにあたる「モドゥム(모듬)」はショーケースに入っており値段も書いてあるので、わかりやすいです。市場なのでたくさん買うとおまけをしてくれたりすることもあるでしょう。やはりここは大勢で行くのがおすすめ。
「モドゥム」を購入するのが最もよいとはいえ、せっかくの市場ですから、食べたい部位を韓国語でメモしたり、覚えておけば、美味しいものが味わえるでしょう。
市場だけあり希少部位も多く取り扱われると聞いています。そのような部分が好きな方は、ぜひ肉を買うときに注文してみてください。


●セルフ式焼肉店「コギインヌンマウル(고기 익는 마을)」へ
お店の名前は「コギインヌンマウル」。市場内の階段を上がって2階に位置しています。店内は地元の雰囲気、と一言で済ますこともできますが、普段着姿でふらっと立ち寄って焼酎を傾けている人も多く、地元の人たちも気軽に楽しめるちょっとした贅沢気分なのでしょう。

お店ではセット料金を払います。1人4,000ウォン。これが席代ということになるのですが、この金額でおかずと包み野菜とキムチがついてきます。ほとんど実費ですね!
そして持ち込んだ肉をジュージューと焼きます。焼いてもらう食べ方もまたよいですが、好きなタイミングで自分で焼ける、というのはこれまた楽しみです。
焼肉を楽しんだ後は、シメとしてご飯を注文してもよいでしょう。味噌チゲ(テンジャンチゲ)やキムチチゲ(キムチチゲ)が3,000ウォンで食べられます。ご飯と一緒に食べましょう。
馬場洞焼肉横丁はこちら!
さて、近年までガイドブックによく取り上げられていたのは、市場内のセルフ式焼肉店ではなく、焼肉横丁(モクチャコルモク)のほうだったのです。こちらは市場のアーケード街に横丁として形成された焼肉通り、ここではお店で注文して韓牛を味わうことができます。
馬場洞モクチャコルモク、直訳すると「食べよう横丁」なのですが、日本語では「焼肉横丁」として紹介されています。レトロな雰囲気の掘っ立て小屋、という雰囲気が感じられる50mほどの通りです。

盛り合わせは2人前40,000ウォンほどから。それぞれの部位ごとにも注文が可能です。
こちらは市場のアーケード外に横丁として形成された焼肉通り。お店で注文して韓牛を味わうことができるのです。

レトロな情緒というならば、焼肉横丁で、自分で選んだ肉にこだわるならセルフ式焼肉店で、といったところだと思います。
●食後の散策は!?
馬場洞畜産市場を訪れたあとさらに散策をするならば、京東市場(キョンドンシジャン)、ソウル薬令市までは徒歩15分程度。ソウルの下町散歩、という感覚で歩いてもよいかなと思います。

大型スーパーマーケットがある往十里(ワンシムリ)駅へも距離が近いですが、こちらはタクシーやバスを利用してもよいと思います。
馬場畜産物市場、庶民的といいつつも、ちょっとだけ贅沢な韓牛の味をぜひ、堪能してみてください。
地下鉄2号線龍頭駅、5号線馬場駅から10分から15分ほどのところ。
東大門からタクシーで約7分。
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市場で買ったものを持ち込んで、調理してもらうスタイル。自分で選んだ新鮮な食材をその場で食べられるというのは大きな魅力です。焼肉なら馬場洞畜産市場がよいですが、刺身なら鷺梁津水産市場(ノリャンジンスサンシジャン)がおすすめです。
またソウル・通仁市場には市場で購入した惣菜を、食堂で食べることができる「お弁当カフェ」なるものがあります。市場で食べたいものを見つけても、まとめ買いをしなければならないことが多いので、観光客にとっても嬉しいシステムです。

吉村剛史(よしむら・たけし) 1986年生まれ。ライター、他。1年8ヵ月のソウル滞在経験のほか、韓国100市郡以上・江原道全18市郡を踏破するなど、自分の目で見聞きした話を中心に韓国関連情報を伝えている。2021年1月にパブリブより初の書籍『ソウル25区=東京23区』を出版。2022年に韓国語能力試験(TOPIK)6級、2級ファイナンシャル・プランニング技能士取得。 ※韓国に関する記事制作やその他のご依頼もご相談ください。お問い合わせ 筆者プロフィール