小洒落たホットプレイスへと変わる下町の住宅街、望遠洞(マンウォンドン)を歩いてみよう
吉村剛史(トム・ハングル)
2018/07/18 改:2020/11/06
望遠洞(マンウォンドン、망원동)はソウル西部の麻浦区にある街。地図を見ると西側が漢江に隣接していることがわかりますが、街を歩いてみるとそういったことを感じさせることもなく、ごくごく普通の住宅街であり、商店もあり、といった地元ローカルな雰囲気。
最寄り駅は地下鉄6号線の望遠(マンウォン)。ワールドカップ競技場や、デジタルメディアシティのある上岩洞の南に位置し、弘大エリアにも近く合井(ハプチョン、합정)エリアを挟むように位置しています。
2016年頃からテレビ番組「水曜美食会」で、この望遠洞が取り上げられたことにより、注目され始めたのだといいます。また通称・望理団ギルを中心に落ち着いた雰囲気ながらも小洒落た店が増えており、20代~30代に人気が高い街になりつつあります。
[望遠駅から望遠市場方面へ(2014年初秋)]
「どこにでもあるようなソウルのひとつの街」という印象だった望遠洞。2017年にインスタ映えするカフェとして話題になった「ZAPANGI」は海外からの観光客をも呼び寄せています。参考:望遠・望遠洞
望遠洞を歩いてみよう~望遠洞の地図をチェック!
地下鉄6号線・望遠(マンウォン)駅2番出口を出ると、道路の向かい側が1番出口です。この道路を渡ることなく、2番出口の右手に位置する道路を歩いていくと、望遠市場や望理団ギル方面へ行くことができます。
[望遠洞の地図]
望遠市場までの道は左右両側が商店。「この街のどこにオシャレな要素があるのか」という印象をうけるほど、なんの変哲もない住宅街の商業地区といったところ。この道を数百メートル直進すると右手に望遠市場があります。
下町らしい望遠市場・望遠ワールドカップ市場で食べ歩こう!
望遠市場は1975年にできた在来市場。2002年日韓共催FIFAワールドカップにちなんで、北側のアーケード街は「望遠ワールドカップ市場」という名前が付けられています。
望遠市場はのちにアーケード街となり、雨天でも買い物がしやすい市場に。最近では買い物客のための表示板も充実してきています。
[望遠市場の写真は2014年撮影]
望遠市場の通りは幅が広く、ごちゃごちゃしていないので買い物がしやすいのですが、なかでもその場で気軽に食べられるフードに目はくぎ付けに。
たとえば鶏のから揚げにヤンニョムという甘辛いたれで味を付けたタッカンジョン(닭간정)はひとつの例。
そのタッカンジョンは、ひとりでも気軽に購入できるようカップに入れてくれます。バーベキュー味のほか、それぞれ辛さの度合いが分けられており、選べるようになっていました。
[望遠市場のとある店のタッカンジョン]
見ると食欲が湧いてきて、思わず買って食べてみたくなります。下の写真の左のカップは3,000ウォン(約300円)。鶏肉とともにお餅も少し入っています。
[タッカンジョン、フライドチキン、ホットクなどのグルメ ※写真のホットクは市場近くの店で]
タッカンジョン以外にも、フライドチキンや、ホットクなど手軽に食べられる市場のB級グルメが多様です。とくに寒い季節に訪れると、ついつい買って食べてみたくなるような、食欲をそそられるものばかりです。
地域住民の台所でもある望遠市場。近頃はこのような市場フードの食べ歩きができることから、訪れる人々は近隣の人だけにとどまらないようです。
「望理団ギル(망리단길)」とよばれる通りにはおしゃれな店が!
テレビで放映されたことにより、注目が集まったのは市場だけではありません。この界隈のお店は落ち着いていながらも小洒落た雰囲気。創作料理のようなオリジナリティあるレストランやカフェが多く、様々な料理が味わえることから、若い世代にも人気が高いようです。
[通称・望理団ギル]
望遠市場と並行するように南北へ延びる片側一車線の通りは、この数年のあいだに「望理団ギル(망리단길、マンリダンギル)」と呼ばれるようになりました。
梨泰院エリアでカフェやレストランが増えている「経理団ギル(경리단길)」にもじって、このような名前が付けられたのだといいます。経理団ギルと同じように、個性が感じられるお店がちらほらと見受けられます。
[雰囲気が良さそうなお店がちらほら]
とはいえこの道は新しくできた道路ではありません。既存の通りに異色的な外観のお店がちらほらと入ってきており、「ところどころに雰囲気が良さそうな店があるなあ」という印象。約500m続く道路のなかで、ぜひともお気に入りのお店を探してみてください。
カフェが充実する望遠洞~インスタ映えカフェ「ZAPANGI」
望遠駅から市場方面へ歩いていき、望遠市場の南側の入口をすぎて、望理団ギルへと向かっていく途中には、2017年にフォトジェニックな場所として話題になった「ZAPANGI(ジャパンギ)」というカフェがあります。
“ZAPANGI”は「自販機(자판기、ジャパンギ)」をローマ字で記した言葉。
[”ZAPANGI”のインスタ映えする扉]
このカフェの扉はピンク色。「インスタ映え」する自販機のようになっていて、この扉の前で写真を撮ることがちょっとしたブームに。韓国人だけでなく、日本人をはじめとする外国人旅行者たちにも人気を集めていました。このカフェではティーカップもピンク、ティラミスなどのケーキが入ったカップも工夫が凝らされているようです。
2020年にZAPANGIは閉店。その後FOUNYARD BAKESHOPがオープンしました(2020/11/06 追記)。
※ちなみに2018年7月現在話題となっている「望遠洞ティラミス」のお店は、実際は望遠洞にあるわけではなく、合井(ハプチョン)エリアに位置しています。最寄り駅は望遠駅のとなりにある合井駅の8番出口を利用されるとよいでしょう。
望遠洞のグルメは!?
望遠洞は仕事帰りの人たちがふらりと立ち寄れるような、地元ローカルな食堂もある一方で、先に述べたとおり、オシャレなお店も最近はいろいろ増えてきました。
そんななか2012年秋にこの街にオープンした「ケリムウォン(계림원)」というお店。当初望遠洞ほか、数店舗しかなかったフランチャイズチェーンなのですが、これまでになかった「おこげご飯の鶏の丸焼き(누릉지통닭、ヌルンジトンタク)」がこのお店のウリ。
他にもコーンや、流行のチーズを入れた鶏の丸焼きがあります。気軽に入りやすい雰囲気ということであえてチェーン店をご紹介。
계림원(ケリムウォン)
ソウル特別市麻浦区望遠路56
公式ページ
小洒落た町へと変わる住宅街、望遠洞
個性あふれるお店が増えてきた望遠洞(マンウォンドン)。落ち着いた雰囲気が好きな方にはもってこいの場所。古いレンガ造りの一軒家が並ぶ住宅街でもあり、ソウルの下町の活気ある市場が栄えるこの街に新たな風が吹き込んだ様子をぜひとも感じてみてください。
近隣には合井(ハプチョン)のメセナポリスモールや、上岩洞のワールドカップ公園があります。それらの場所を訪れたあとに、望遠洞にちょっと立ち寄ってみるというプランもおすすめです。
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吉村剛史(よしむら・たけし) 1986年生まれ。ライター、他。1年8ヵ月のソウル滞在経験のほか、韓国100市郡以上・江原道全18市郡を踏破するなど、自分の目で見聞きした話を中心に韓国関連情報を伝えている。2021年1月にパブリブより初の書籍『ソウル25区=東京23区』を出版。2022年に韓国語能力試験(TOPIK)6級、2級ファイナンシャル・プランニング技能士取得。 ※韓国に関する記事制作やその他のご依頼もご相談ください。お問い合わせ 筆者プロフィール