仁川空港の乗り継ぎ~ソウルの空港トランジット、これぞ賢い過ごし方!
吉村剛史(トム・ハングル)
2016/07/08 改:2020/10/13
仁川(インチョン、인천)空港は近年、ハブ空港としても注目されるようになりました。上海・浦東国際空港や東京・成田空港がハブ空港のライバルとして位置づけられているほど、シェア争いが激化しています。
日本からの観光客も仁川空港で飛行機を乗り継いで、アジア、ヨーロッパなど世界各国を訪れる観光客も多くなっています。
2017年12月には平昌オリンピックを前にして第2ターミナルが開業しており、仁川空港の勢力がますます拡大しています。
写真は成田空港
そんな仁川空港での乗り継ぎ(トランジット)。出発までの時間が2~3時間の場合は、韓国に入国せずに出国エリアで過ごすのが無難です。しかし4~5時間以上の時間がある方は、韓国に入国してみるのも手。
空港やその周辺には買い物、宿泊、サウナなど短時間でも楽しめるスポットはあります。しかし、仁川空港は永宗島(ヨンジョンド)という島に位置していることもあり、周辺に注目すべき観光地がないのがネック。
余裕がある場合には仁川空港周辺で買い物、またはトランジットツアーを楽しむことをおすすめしますが、7~8時間以上とれる場合はソウル市内にまで足をのばしてもよいでしょう。それより短い方はソウルまで出ずに過ごされるのが無難です。
それでは仁川空港の乗り継ぎ・トランジットまでの時間を楽しむ方法をお伝えします。※以下の<○時間向けの方>という表記は、到着から出発までの目安。飛行機に乗り遅れることのないよう、余裕をもった行動を!
入国せずに仁川空港の免税(制限)エリア内で過ごすには?
滞在時間が2~3時間の方や、入国せずにゆっくり過ごしたい方は、第1ターミナル、第2ターミナル問わず、免税(制限)エリア内で次のフライトまで待つのがよいでしょう。
仁川空港はトランジット客のためのサービスが非常に充実しており、免税エリア内にも伝統体験コーナーやシャワー室といった無料で利用できる設備が用意されています。そのほか免税店、レストラン、トランジットホテルなども。
乗り継ぎまでの時間が短い方、ゆっくり過ごされる方は、以下のリンクをご覧ください。
以下では乗り継ぎ時間が4時間以上あり、韓国に入国する方向けの情報をお伝えします。
仁川空港第1ターミナルで過ごすには!<乗り継ぎ時間:4時間以上の方向け>
仁川空港第1ターミナルには施設も充実しています。仁川空港第1ターミナル内にはサウナ「Spa! ONAIR」や、映画館「CGV」があるほか、フードコート、コンビニなどがあるなど、とても充実しています。
●チムジルバン、サウナ「Spa! ONAIR」
仁川空港には、韓国式サウナの「Spa! ONAIR」があります。昼の利用は10,000ウォン(約1000円)、夜間利用は20,000ウォン(約2000円)で、空港価格のため、一般のチムジルバンより少々高めです。
●映画をみよう!
空港鉄道乗り場の前に、韓国大手映画館の「CGV 仁川空港」があります。韓国の映画は10,000ウォン(約1000円)程度で見られるので手軽です。
洋画なら英語など、韓国映画なら韓国語など、見るにあたってはある程度の語学力が必要となります。仁川空港CGV(公式ページ・韓国語)
●買い物をしよう!
第1ターミナルの地下1階にあるOlive Young(올리브영、オルリブヨン)は、日本でいうドラッグストアです。飲み物、菓子類からコスメなど様々な商品が取り揃えられています。
日本でおみやげを買い忘れても、ここで日本のお菓子が買えたりもします。朝7時から営業。
仁川空港第2ターミナルで過ごすには<乗り継ぎ時間:4時間以上の方向け>
仁川空港第2ターミナルの場合、日本からの路線では大韓航空が発着しており、大韓航空から大韓航空へ乗り継ぐ場合は、第2ターミナルの間の移動となるため、最低45分間あれば乗り継ぎが可能です。
第1ターミナル~第2ターミナルの移動は、航空会社により異なりますが、到着から出発まで最低1時間30分を確保する必要があります(実際には1時間かからないでしょう)。
乗り継ぎの際に「韓国に入国したい」という場合には、到着から次の搭乗まで4時間以上あるのであれば、検討してみても良いでしょう。
●第2ターミナルでのお食事処
仁川空港の第2ターミナルの地下にあるフードコート、「韓食ミダムキル(한식미담길)」。ここは一般的にイメージされるフードコートとは少々異なり、韓国の名店が集められています。
ビビンパの名店である全州の家族会館や、ピンデトッ(緑豆チヂミ)の名店のスニネピンデトッ、議政府にあるオデン食堂のプデチゲなど、韓国内でもかなり知られているお店ばかり。実際に現地に行かなくても食べられるので、おすすめです。
ホームページ:韓食ミダムギル(韓国語)
●ちょっとしたお買い物も
韓国に入国すると、免税店ではなく韓国現地の一般店舗で購入できるところにはメリットがあります。例えばコンビニやドラッグストアなどは管制区域内にないので、現地の物価がどのくらいなのか知ることが難しいのです。
韓国のお店の様子をうかがうためにも入国した際には空港内のコンビニや、ドラッグストアに立ち寄ってみましょう。コンビニや、ドラッグストアのオリーブヤングなどがあります。
※空港第2ターミナルで乗り継ぎする場合は以下の記事をご覧ください。
4時間ほどなら空港から出ずに過ごすのもアリ。もし時間に余裕がある場合は空港以外の場所に出かけてみましょう。
仁川空港トランジットツアーで観光しよう<4時間、1日以上の方向け>
最も注目すべきなのは、仁川空港のトランジットツアー。なんと無料です。入国審査を終え、第1ターミナル、第2ターミナルそれぞれ到着ロビーにある鞍内デスクへ。パスポートと乗り継ぎを証明できる航空券を提示すると、トランジットツアーに参加できます。
1時間コースから5時間コースまで1時間毎に設定されており、1時間~4時間の場合は仁川シティーツアー、5時間の場合はソウル・シティツアーとなります。
出発時間がツアーごとに決まっており、毎時定時に出発です。どの場所も空港から個人で出かけるのは大変なので、観光地を訪れてみたい方におすすめのツアーです。時間等も管理されているので、安心!仁川トランジットツアー(空港公式HP)
[4時間コースのアラベッキルクルーズが無料 ※ツアー内容は定期的に変更されています]
Eマート仁川空港店<4時間以上の方向け>
空港近くで買い物を楽しむには、Eマート仁川空港店があります。仁川空港第1ターミナルからアクセスする場合、空港3階(出発ロビー)から無料の空港循環バス(10分~15分間隔)に乗車します。空港の次のバス停「ハイアットホテル」で下車するとEマートがあります。
2016年2月には仁川空港の空港鉄道乗り場2階から、磁気浮上鉄道(モノレール)が運航を開始。合同庁舎(ハプドンチョンサ、합동청사)駅で下車すると、すぐのところにE-martがあります。第2ターミナルから訪れる場合は15分くらいかかります。
お菓子や食料品など一通り揃っているので、おみやげを買うにはよいでしょう。
仁川空港隣・合同庁舎駅
磁気浮上鉄道で終点まで行き、海の料理を味わう<4時間以上の方向け>
空港から磁気浮上鉄道に乗り、終点の龍遊(용유、ヨンユ)駅まで行ってみましょう。終点までは6駅で約15分。駅の近くには歩いてすぐの場所に海岸があるのですが、駅前の道路沿いには海辺ならではの料理を味わえるお店が集まっています。
韓国式うどんの海鮮カルグクス(해물칼국수、ヘムルカルグクス)、そして貝焼き(조계구이、チョゲグイ)といったものです。
以下の写真はイメージです。韓国の海辺に行くと、こんな感じの貝焼きがあります。
韓国の西海岸ならどこでもこのような料理があり、韓国の旅バラエティ番組にも出てくるような海辺の食堂ならではの食べ物が味わえます。ソウルまで行くと海の雰囲気は味わえないので、近場のここで済ませておくのがベター。雰囲気だけでも地方を旅した気分になりたい方にはおすすめです。
空港鉄道で出かけよう!<4時間以上の方向け>
仁川空港からソウル市内に出るには、リムジンバスもしくは空港鉄道を使うのが一般的です。今回は「乗り継ぎ」のため、渋滞に左右されず、時間にも正確な空港鉄道を使うことをおすすめします。
乗り場は仁川空港の地下。空港鉄道A’REX(エーレックス)です。直通列車と一般列車が運行されており、1時間に2本運行の直通列車ならソウル駅まで43分(途中無停車)、一般列車(各駅停車)で53分。スムーズに行っても1時間はかかります。
最低でも1時間半前までには空港に戻らなければならないので、少なくとも往復だけで最低3時間半~4時間。食事や買い物、観光を楽しむにはそれ以上の時間が必要となります。
仁川空港から2駅、雲西(ウンソ)駅へ <4~5時間以上の方向け>
仁川空港駅から空港鉄道で二駅のところにある雲西(ウンソ)駅。空港からはおよそ10キロ離れており、電車では約10分弱。
雲西駅前には駅前にはホテル・モーテルなどの宿泊施設が多いですが、大手スーパーのロッテマートがあり、周辺には飲食通り、韓国式サウナのチムジルバンがあります。
筆者が訪れた印象として、雲西駅はそれほど観光地という雰囲気がありません。地方都市の繁華街といった印象で、ごくありふれた韓国の街並みを感じたい方にもってこいの場所です。
そして次に仁川空港での乗り継ぎに7時間以上余裕があり、ソウルまで行ける方への情報をお伝えします。
仁川空港からソウル市内までは約1時間!<7時間以上~1日コース>
空港鉄道に乗る場合、ソウル駅または弘大入口駅で下車するのが最もおすすめ。
●ソウル駅
ソウル駅には大型スーパーマーケットのロッテマートや、ロッテアウトレット、フードコートなどがあります。
駅の外には東京駅にも似たソウル駅の旧駅舎「文化駅ソウル284」、地下鉄1号線に乗り換えて、隣の市庁駅周辺には徳寿宮があり、歴史探索にもよいでしょう。ソウル駅・市庁
空港鉄道ソウル駅で下車し、地下通路を通り、地下鉄4号線に乗り換えます。ソウル駅から1駅目の会賢(フェヒョン)駅からは南大門市場、2駅目の明洞(ミョンドン)駅からは明洞周辺。これで十分観光が楽しめるはずです。南大門市場、明洞・小公洞
※ソウル駅の周辺の観光は徒歩がおすすめ。
※もしソウルや弘大以外の街に行きたい場合は、空港鉄道沿線で途中下車をしても面白いでしょう。
●弘大入口駅
弘大入口駅周辺、通称「弘大(ホンデ)」は弘益大学の周辺の地域で、10代、20代を中心に人気の街です。週末には路上ライブをする人たちや、クラブに訪れる若者たちでにぎわいます。食事・カフェを中心に楽しむなら、弘大がおすすめです。弘大
弘大入口駅の3番出口前は延南洞(ヨンナムドン)。「ヨントラルパーク」とも呼ばれている街です(2018/6/9追記)
●仁川空港周辺の大型マート
乗り継ぎ客にもおすすめの大型マートをご紹介。ここで紹介した店舗のほかに、金浦空港ロッテモールも!買い物目的ならココ!ぜひこちらの記事もご覧ください。
●その他
ソウルに何度も訪れたことがある方は、新しい街として注目されているデジタルメディアシティもよいでしょう。デジタルメディアシティ
そのほかの駅に訪れてみたい方は、空港鉄道の沿線のおすすめスポットをご覧ください。
仁川空港に深夜着、そして早朝発の場合
仁川空港の乗り継ぎで、深夜着、早朝着の場合はどのようにすればよいでしょうか。観光目的でないならば、空港近辺のホテルを予約するのがよいでしょう。
しかし、空港の外に出るほどでもない、という方は空港にとどまるのがよいでしょう。
韓国へ入国の手続きを済ませると、前述のとおり仁川空港の地下一階にはサウナがあります。また、空港鉄道乗り場近くには2017年1月、簡易的な宿泊施設がオープンしました。
このようなところで一夜を明かし、翌日の出発に備えるのがよいかもしれません。ただし寝坊にはご注意を!
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仁川空港は人工島のため、観光地がないのは乗り継ぎ客、トランジット客にとってはネック。しかし2008年に空港鉄道が開業したことにより、近年では空港鉄道沿線もにぎわってきました。
短時間でも韓国を訪れた気分に浸ってみたい方、ショッピングや食事が楽しみたい方は、韓国に入国して、少し足を延ばしてみませんか。

吉村剛史(よしむら・たけし) 1986年生まれ。ライター、他。1年8ヵ月のソウル滞在経験のほか、韓国100市郡以上・江原道全18市郡を踏破するなど、自分の目で見聞きした話を中心に韓国関連情報を伝えている。2021年1月にパブリブより初の書籍『ソウル25区=東京23区』を出版。2022年に韓国語能力試験(TOPIK)6級、2級ファイナンシャル・プランニング技能士取得。 ※韓国に関する記事制作やその他のご依頼もご相談ください。お問い合わせ 筆者プロフィール