高速鉄道KTXも乗れる韓国の外国人パス~KORAIL PASS(コレールパス)を使いこなそう
吉村剛史(トム・ハングル)
2019/11/25 改:2019/11/15
「韓国各地を旅してみたい」という方は多いことでしょう。韓国は鉄道よりもバス網が発達しており、中小都市に訪れる場合は、高速バスで訪れるほうが便利です。
しかし鉄道が通っている大都市であれば、それは必ずしもあてはまりません。ソウルから釜山、大邱、慶州、光州など主要都市に訪れるには鉄道が便利。渋滞などの道路事情に左右されることもなく、ゆれも少ないので快適です。
わたしたち外国人旅行者には、韓国の鉄道をより安く楽しむためのきっぷが用意されています。ぜひ使いこなしてお得に旅を楽しんでみてください。
韓国国内をお得に旅するなら、外国人パス”KORAIL PASS”で
日本にも外国人向けのフリー切符がありますが、韓国にも外国人専用のパス(KORAIL PASS・コレールパス)があります。
韓国の新幹線にあたるKTX(ケーティーエックス)をはじめ、特急列車、さらには観光列車まで乗れてしまうという、万能なフリーきっぷなのです。しかし、韓国籍および、韓国で永住権を持っている人は利用できませんので注意が必要です。
KORAIL PASS(コレールパス)を利用するには、事前に予約・購入が必要。購入したときに表示されるバウチャーを印刷して韓国鉄道の窓口で提示し、乗車券を発券してもらうシステムです。
基本的にはKORAILの列車なら利用ができますが、例外としてSRTや地下鉄・軽電鉄には乗車ができないため、注意が必要です。KTXのような特急列車は、満席でなければ座席指定もできるので、基本的に座って移動ができます(回数制限あり)。
※以前は韓国国内在住者向けの「ハッピーレールパス」がありましたが、現在は廃止されています。その代わり「KORAIL PASS」は永住権を持っていない在韓の方も利用できるようになりました。
KORAIL PASSは、どんな人が利用するのが向いているか?
韓国の鉄道で移動する際に、「なにがなんでもKORAIL PASSがお得」ということはありません。基本的に1都市しか行かない場合には、あまりお得になりません。例えば「ソウルから日帰りで釜山に行きたい」という場合には、単純にKTXの往復チケットを購入するほうがよいでしょう。
そして鉄道が通っていない都市はもちろんのこと、KTXが通っていない都市をメインで訪れる場合には、通常の切符を購入するなり、高速バスでの移動をおすすめします。
[大都市を周遊する方におすすめ]
しかし「1日のあいだにとにかくKTXを乗り回したい」という鉄道好きの方や、「旅程が2日以上に及び、KTXで途中下車しながら複数都市へ行きたい」という方には購入をおすすめします。
また韓国国内を走る観光列車を乗り回す旅にも使えますが、基本的にはKTXの移動をメインにするのがお得な使い方です。
KORAIL PASSの料金は?
KORAIL PASS(コレールパス)の料金や、利用できる列車のをチェックしておきましょう。
KORAIL PASSの種類と料金
10日以内のうち任意の日を指定するパスも選択2日券、選択4日券があるほか、連続した日程で利用できる連続3日券、連続5日券の計4種類があります。また2人以上の複数人で利用する場合は「セイバー」がお得です。
※以前はKORAIL PASSに1日券があり、日帰りでのソウル~釜山の移動に利用するのがお得でしたが、現在はそのようなプランは廃止されています。
以下はKORAIL PASSの料金です。
種別 | 大人(満13歳以上) | 小人(満6~12歳) | セイバー(2~5人) |
---|---|---|---|
選択2日券 | 121,000 | 61,000 | 111,000 |
連続3日券 | 138,000 | 69,000 | 128,000 |
選択4日券 | 193,000 | 97,000 | 183,000 |
連続5日券 | 210,000 | 105,000 | 200,000 |
※料金はウォンで表記しています。
※詳しくはKORAILホームページをご覧ください。参考:KORAIL PASS(英語)
KORAIL PASSで利用できる列車は?
KORAIL PASSでは一般の特急列車、観光ベルト列車が利用できます。座席指定もできますが、2018年7月から1日2回までという制限が付きました。
●一般列車:KTXやITX-セマウル、ムグンファ号などを含む、SRT以外の列車。
●観光ベルト列車:中部内陸循環列車(O-train)、白頭大幹峡谷列車(V-train)、旌善アリラン列車(A-train)、南道海洋列車(S-train)、西海金光列車(Westgold-train)、平和列車(DMZ-train)
※交通カードで改札口に入る列車、例えば地下鉄や軽電鉄は利用できないのでご注意ください。
KORAIL PASSの購入・発券方法は?
KORAIL PASS(コレールパス)はKORAILのホームページ、もしくは民間の予約サイトを通して決済し、バウチャーを発行します。
※最近では為替レートを加味した場合、民間予約サイトを通したほうが安いことが多いので、うまく利用してください。kkday.com(予約)
詳しい利用方法はこの記事の最後にも記載します。
KORAIL PASSの使用法の注意点
列車乗車の際には指定席乗車券を窓口で予約する必要があります。旅行客であれば入国した直後に、使用期間内にあわせてあらかじめ切符の予約をしておくか、当日窓口で指定席予約をしましょう。
回数制限の1日2回以内なら指定席を予約できますが、満席の場合や混雑時には予約できない可能性があります。その場合は「立席」となり、通路などに立っていくこともあります(立席も満席になる場合があります)
特に週末の列車が満席になりやすく、なかでも日曜日にソウルに戻る上り列車は大混雑する傾向にあります。早めに予約しておきましょう。
KORAIL PASSの使いこなし方を考えてみよう
KORAILパス(コレールパス)は、地方によく出かける筆者も使用したことがあります。韓国は数日間の日程であれば、地方の主要都市を訪れることが可能です。その際にはKORAILパスを利用しましょう。
[KTX山川]
都市巡りに最大限利用しよう!
ソウル、釜山、大田、大邱、光州、江陵、慶州といった地方観光の主要都市を一気に回ってしまおうという方にはかなりお得なチケットです。とにかく韓国の全土を回りたいという方にはおすすめです。
とはいえ観光する時間も考えると、1日目の早朝にソウルから江陵に行って観光し、夕方にソウルに戻ってからその日のうちに光州や釜山に行く、という使い方もできます。
ただし現在は指定席の回数に制限があるため、制限以上に予約する場合は立席分から差額分をプラスして支払う必要があるとのことです(運賃総額の15%)。
ソウル駅
ソウルの玄関口、ソウル駅。仁川空港や金浦空港とは空港鉄道がつながっているので、多くの人が訪れる駅ですが、釜山や江陵などの地方行きの列車が出ています。

ソウル駅前
※ソウル駅から明洞や南大門市場を巡る際にはこの記事をご覧ください。
釜山駅
港町・釜山の玄関口である釜山駅。韓国屈指のビーチである海雲台まで行くのは少し遠いですが、南浦洞・チャガルチ市場などの釜山港周辺の旅はこの駅が玄関口となります。
※釜山駅周辺の観光情報はこの記事でお伝えしています。
※ソウルから釜山へと日帰りで旅する場合はこちらをご覧ください。
江陵駅
江陵は韓国東海岸に位置し、平昌五輪が開催された都市。ユネスコ世界無形文化遺にも登録された江陵端午祭のほか、東海岸最大の海水浴場があるリゾート地域です。
ここまでで挙げた駅はあくまでも一例です。東大邱駅、大田駅、光州松汀駅なども利用してみましょう。
もし3日以上のきっぷを購入の場合、周遊旅もおすすめです。例えば1日目ソウル~全州、2日目全州~順天、麗水、3日目釜山~ソウルのようなプランも可能です。
KORAIL PASSの申込み方法をもう一度
●KORAILサイトから
KORAILホームページのKORALL PASS(コレールパス)のページから、’Reservation(予約)’を選択し、必要事項を入力します。クレジットカード番号を入力して支払い、バウチャーを印刷します。
ご自身で直接KORAILのページから購入されてもさほど難しくはありません。どうしてもインターネットの操作が苦手な方は、旅行代理店を通して申し込む方法もあります。
※最近では民間予約サイトを通したほうが安いことが多いので、うまく利用してください。kkday.com(予約)
申し込み後はバウチャーを出力しましょう。鉄道駅窓口でパスポートとバウチャーを提示し、コレールパスを受け取ります。
予約時のバウチャーにはKORAIL PASSの番号が記載されており、鉄道の予約ページからそれを入力することで事前に指定席を予約することが可能になっています。
学生向けのお得な切符も~ネイルロ(내일로)
「コレールパスでは値段が高い!」という27歳以下の方には、夏や冬などの学校休み期間を中心に使える、RAIL路(ネイルロ)パスもあります。韓国の学生がよく使っており、鉄道を利用した旅行におすすめです。
韓国籍の場合は?
以前は海外在住の韓国人もKORAIL PASSが利用できましたが、現在は国籍制限があるため利用できないことになっています。その場合は内国人向けのパスを使用することをおすすめします。
また現地在住者は、ハナロパスという切符もありますので、必要に応じて利用してみてください。ハナロパス(韓国語)
日本にも同様の外国人パスがある!
日本のJRにも韓国同様、外国人パスがあります。韓国やその他、海外から旅行に来る外国の方にはJRの外国人パスを教えてあげましょう。JAPAN RAIL PASS
「のぞみ号」等の最上級列車には乗車できませんが、7日間29,110円からという、びっくり価格でJR全線を利用することができます。
※この記事は2013年9月22日に公開後、2015年5月、2017年2月、2019年11月改訂したものです。
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韓国では鉄道網よりもバス網が発達しています。鉄道路線がない地域に行く場合は、無理にコレールパスを利用せず、ソウルから高速バス、市外バスに乗るほうが便利で安くつく場合もありますので、計画を立ててのご利用をおすすめします。

吉村剛史(よしむら・たけし) 1986年生まれ。ライター、他。1年8ヵ月のソウル滞在経験のほか、韓国100市郡以上・江原道全18市郡を踏破するなど、自分の目で見聞きした話を中心に韓国関連情報を伝えている。2021年1月にパブリブより初の書籍『ソウル25区=東京23区』を出版。2022年に韓国語能力試験(TOPIK)6級、2級ファイナンシャル・プランニング技能士取得。 ※韓国に関する記事制作やその他のご依頼もご相談ください。お問い合わせ 筆者プロフィール