江原道・江陵(カンヌン)の300番バス旅行~白馬の王子様はいなくても大丈夫!
 2017/04/17 吉村剛史(トム・ハングル)

江原道公式ブログ、第1回目の記事では、江原道東海岸に続く「刺身街道」について書き、「江原道の東海岸6市郡を、南北に旅してみること」を提唱しました。そこで今回は、もう少しミクロなエリアにスポットを当てて見ます。

韓国地方旅行といえば、バスの本数が少なく不便なことも多いのがネック。さらにひとりで旅行する身としては、アラサー世代のカップルがやけに気になることがあり、ひとりきりで寂しい思いをすることもあります。

それだから車を所有していて、運転までしてくれる「白馬の王女様」がいればなあ、といつも思うのです。


[白馬の王子(王女)様と眺めれば、より美しいはずの鏡浦海水浴場]

しかし、落ち込むことはないとじぶんに言い聞かせます。白馬の王子(王女)様はいなくても、市内バスにさえ乗れば、少なくとも不便な部分は癒してくれるはずです。今回は「刺身街道」の一部を走る「300番バス」に乗ることにしました。

●東海岸最大の都市、江陵(カンヌン)
江陵(カンヌン)は、江原道の東海岸最大の都市で、人口は約21万人。「江原道」の「江」は「江陵」に由来しており、古代から歴史ある地域で、とくに朝鮮時代以降に建てられた儒教に関連する建造物も多く残っています。また、奇才な人物を輩出してきました。


[50,000ウォン札の肖像にもなった、申師任堂]

韓国旅行のリピーターのなかで、最もおなじみなのは、5,000ウォン札に描かれた儒学者、李栗谷(イ・ユルゴク)、そして李栗谷の母で、50,000ウォン札に描かれた女流書画家の申師任堂(シンサイムダン)。親子で紙幣の肖像画になっており、ともに江陵出身です。

東ソウルバスターミナルからは、嶺東高速道路を通り、五輪開催地の平昌(ピョンチャン)を抜け、約2時間半で江陵高速・市外バスターミナルに到着します。(詳しくは平昌の観光とアクセス

●江陵の南北を走る300番バス
今回の本題となる、300番バス。このバスは、東海岸に沿ったルートで走ります。コーヒー通りのある安木海岸を起点にして、江陵市街地を抜け、申師任堂の生家、烏竹軒(オジュッコン)を通り、注文津バスターミナルまで北上していくバスです。

まずは江陵高速・市外ターミナルから安木海岸への移動。安木海岸へ行くバスに乗車し、約35分かかります。

●カフェが立ち並ぶ、安木(アンモク)海岸
300番バスの起点となるのが、海岸にコーヒー通りがあることで有名な、安木(アンモク)海岸。江陵港のすぐ隣に位置していますが、ここには80年代からカフェが並び、十数軒ほどのカフェが並んでいます。(江陵・コーヒー通り


[安木海岸のコーヒー通り]

江陵のとある農園では、2010年に全国初のコーヒー栽培に成功。コーヒー通りとともに注目されるようになりました。

カフェの2階席で青々とした海を眺めつつ、ケーキを食べてみたり、テラス席で海風にあがりながら、コーヒーの香りを愉しんでみたり、と心地よいひと時に浸れるのです。

こんなオシャレな場所はデートスポットにもGOOD!白馬の韓流王子様が、助手席に乗せてくれて、ソウルから高速道路をビューンと飛ばして、白砂浜の海岸まで連れて行ってくれるのでしょうね。あーうらやましい。

白馬の王子様がいないあなたも私も、王子さまがいても馬がないカップルも、安木海岸からは300番バスに乗りましょう!

●申師任堂の生家、烏竹軒(オジュッコン)へ
バスは江陵市街地を経由し、申師任堂の生家、烏竹軒(オジュッコン)へ。烏竹軒バス停で、一度降りてみましょう。


[烏竹軒]

ここからは歴史スポット探訪。烏竹軒を見学するのもよし、朝鮮時代の貴族階級の邸宅、船橋荘(ソンギョジャン)までは1キロ強で歩いて15分ほど、さらに2キロ30分歩くと、楼閣があり景勝地として知られる鏡浦台へ。


[鏡浦湖のほとりには桜がいっぱい]

江陵の主要観光地は烏竹軒のバス停付近に集中しており、歩いて観光ができます。春なら桜の花を眺めながら歩けるのです。だから「白馬」はなくても大丈夫なのです。(王子様や王女様はいると、なお良し。)

ずーっと歩きづづける疲れるかもしれませんが、あれこれ観光しつつ戻ってくると、トータルで3時間くらいかかるでしょうか。再びバス停から300番バスに乗りましょう。

●注文津水産市場
烏竹軒バス停からさらに30分バスに乗り、注文津市外バスターミナルに到着。江陵・注文津エリアにあるエリアです。厳密にいうと、バスターミナルの二つ先の停留所、チャグンタリ(작은다리)停留所で下車します。※ターミナルで下車しても、市場までは徒歩10分強です。

白馬代わりになってくれた300番バスをバス停で見送り、海沿いにある注文津水産市場まで少しばかり歩きます。

注文津水産市場の入口には大きな鯨。注文津をはじめ、江原道の東海岸はイカがよく獲れることでも知られています。


[注文津水産市場の入口]

市場に出かけると、様々な魚が売られていて、ほかのどの市場よりも活気に満ち溢れています。イカやスケトウダラなどの乾物がたくさん売られており、お土産ものを揃えるにも最適です。

気になったのは、市場のなかにある飲食通り。焼魚がモクモクと焼かれている場所で、焼魚を味わったり、刺身を味わったりと、日よけの屋根の下で海風にふかれながら、ちょっとしたバーベキュー気分を味わえそう。

じゅうぶんに市場の雰囲気を満喫したあとは、注文津市外バスターミナルへと戻り、今度は市外バスに乗りましょう。江陵を出て、襄陽(ヤンヤン)、束草(ソクチョ)へと「刺身街道」を北上して旅するのがベストです。

●300番バスで江陵観光を!
300番バスの残念なところを挙げるならば、東海岸に沿ったルートでありながらも、海を臨むことができるわけではないこと!地元の人の利便性に応じたルートなのでしょうから仕方がありません。

地図上で青色に示した313番バスに乗り継ぐことで、海の景色を眺める方法もあります。

ちなみに「刺身街道」沿いを旅行する場合には、江陵より北の襄陽(ヤンヤン)-束草(ソクチョ)にも車内から海を眺められる場所があるので、江陵の海岸にあまりこだわらなくてもよいでしょう。

もし江陵にもっと観光客が増えて、シティーバスが登場するならば、港や海水浴場、水産市場のすべてをつなぎ、海沿いの道を走るバスが運行されることをひそかに願っています。

そして私にも「白馬の王女様」が現れることも期待しながら・・・。

※この記事は江原道公式ブログ寄稿しています(2017/4/20)



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トム・ハングル(吉村剛史)
吉村剛史(よしむら・たけし) 1986年生まれ。31歳。2012年に韓国文化誌『スッカラ』でデビュー、その後韓国旅行、語学Webの編集・ライターを経て、文化センター講座、トークイベントでの発信も。1年8ヵ月のソウル滞在経験のほか、韓国100市郡以上を踏破するなど、地方にも関心が高い。平昌五輪開催の江原道公式ブログにも寄稿中。プロフィールお問い合わせ


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