活気に満ちた夜市も魅力、大邱・西門市場
吉村剛史(トム・ハングル)
2016/10/16 改:2017/01/10
西門市場(ソムンシジャン)は、大邱を代表する市場。大邱(テグ)は人口250万人の韓国第3の都市の中心であり、地元の人たちに日常的に利用されています。
[西門市場(2013年撮影)]
2015年4月には大邱都市鉄道3号線(モノレール)が完成し、西門市場駅も開業。そして2016年6月に夜市場が始まり、大邱の中心となる西門市場は新たな時代の幕開けとなりました。
[建設中の大邱3号線(2013年)]
そして大邱空港は国内線だけでなく、中国、台湾、日本への直行便も就航され、ますます国際都市へと進化しています。
大邱・西門市場の歴史
大邱・西門市場の歴史を見てみましょう。朝鮮時代には平壌、江景、大邱の市場が朝鮮三大市場と呼ばれましたが、その「大邱場(テグジャン)」が今の西門市場だといわれています(平壌は北朝鮮、江景は忠清南道・論山)。
西門市場は、大邱邑城の西門近くにあることによります。時をさかのぼること16世紀末、豊臣政権が朝鮮に兵を送り込む2年前に、城郭の建設がはじまります。ソウルにも城郭と門があるのですが、これにより大邱も城郭で囲まれることとなるのです。
入口として作られた四大門のうち「達西門(タルソムン)」が西門市場の由来。市場自体は城郭が作られる以前の朝鮮中期からあり、西門市場は後からつけられた名前なのです。後にその城郭は日本統治時代に破壊されたのだといいます。参考:大邱・中区公式サイトより
[東城路の街灯]
現在は近くに達西門址の標示が残されているほか、かつて城郭があった現在の繁華街・東城路(トンソンロ)の街灯の高さは、歴史を忘れさせないために、城郭の高さに合わせられているのだとか。
韓国の地域の歴史を紐解くと、少々複雑な気持ちになるのですが、頭の片隅には入れておきたいところです。
大邱・西門市場と屋台フード
城郭があった当時の場所からは移転しているのですが、当時の三大市場の面影は、西門市場が巨大であることからもうかがえます。
敷地面積は約3万5千平方メートルで、1万坪強。それらが1地区、2地区、のように5地区のエリアに分かれ、3階までエリアもあります。市場は屋根でおおわれていますが、天井が高く開放感が感じられます。
[飲食エリア(2013年撮影)]
日本からの解放後、大邱近郊は繊維産業を中心として工業化が進みました。一説によると高麗時代に中国から持ち込まれた綿花の栽培が行われたことが理由とされていますが、現代では慶尚北道で養蚕が盛んだったことに起因する(※「新韓国風土記〈5〉慶尚北道・慶尚南道」(根の深い木社編・1989年)より)という説もあります。
そのため市場内には韓服や反物、そのほか衣類といった繊維製品などの店が多いという特徴がありますが、その横では一般の市場と同じように海産物などの生鮮食品なども売られています。問屋街でもあり、庶民の台所でもあるのです。
[飲食エリア(2016年・夕方撮影)]
市場の活気が感じられるのは飲食・屋台エリア。何度も韓国を訪れている方にとって市場の屋台といえば、ソウル・南大門市場や広蔵市場を思い浮かべるかもしれませんが、西門市場ではより広々とした印象で、ずらりと一列にお店が並びます。
市場ではカルグクス(韓国式うどん)や、ナプチャクマンドゥ(ぺたんこ餃子)のほか、トッポッキやおでん、うどんなどの一般的な屋台フードまで売られており、小腹を満たすのはもちろん、長椅子に腰かけて、地元の人たちと並んで軽く食事ができます。
[ナプチャクマンドゥ]
値段は3,000ウォン程度と手ごろ価格。市場で働く人たちや買い物客が日常的に、気軽にさっと食べていける金額です。
大邱・西門市場の夜市
2016年6月、韓国の夜市ムーブメントの流れを受けて、西門市場でも夜市場(야시장)がスタート。夜19:30~24:00(金・土は24:30)まで毎日営業。
ちなみに夜市は釜山の富市カントン市場で2013年に始まり、それ以後、都市圏を中心にその動きが広まりました。韓国では夜市場による新たな夜文化の形成を目指しており、大邱・西門市場もその流れに加わりました。関連記事:韓国で夜市がスタート!
大邱の夜市場の魅力であり、特徴的なのは、市場のすぐ横にある350mの通りにずらりと屋台が並んでいることにあります。両側の入口から見ると、屋台の光と人の動きを一直線に望むことができるのです。
夜19時を過ぎたころから、屋台の準備が始まります。キャスターがついた屋台を倉庫から出し、準備ができた店からオープンします。そして会場の中心にある小さなステージではパフォーマンスが行われ、人だかりができています。
市場を訪れる各層はわりと年齢層が高いようにも見えるのですが、夜市になると、若い世代が多くみられます。仕事帰りに、学校帰りに立ち寄って屋台で様々なものを買って食べていくのです。
屋台で購入してみたものの一つは、「サンドボール(샌드볼)」と呼ばれるホットサンド。パンの上に野菜やチーズ、ハムなどを乗せて、サンドイッチのように挟み、丸くカットしたもの。こちらは2,000ウォンでしたが、具材が多いものは3,500ウォンと中味によって異なります。
もう一つはマンゴーアイス。こちらは1,500ウォン。果汁を固めたマンゴーアイスではなく、本物の果肉の触感があるマンゴーで、甘酸っぱさが感じられます。
韓国らしい食べ物の店ももちろんありますが、日本のタコ焼き、ウドンをはじめ、各国の飲食屋台が集まっています。人気のある店は行列ができているほどです。
●大邱・西門市場へのアクセス
大邱都市鉄道3号線・西門市場駅すぐ。
東大邱駅高速バスターミナル前から市内バスで約30分。
大邱・西門市場、散策を楽しもう!
外国人観光客も徐々に増えてきているようですが、とくに昼間の西門市場では地元の市場らしい雰囲気も垣間見えます。夜市も始まり、昼も夜も楽しめる、という意味では、むしろソウルの市場よりも活発化しているようにも感じられます。
そして福岡、成田からの直行便も就航し、ますます訪れやすくなった大邱。ソウル・釜山だけでは飽き足りず、これから他の都市にも足を延ばしてみよう、という方には手始めとして検討してみてもよいでしょう。
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吉村剛史(よしむら・たけし) 1986年生まれ。ライター、他。1年8ヵ月のソウル滞在経験のほか、韓国100市郡以上・江原道全18市郡を踏破するなど、自分の目で見聞きした話を中心に韓国関連情報を伝えている。2021年1月にパブリブより初の書籍『ソウル25区=東京23区』を出版。2022年に韓国語能力試験(TOPIK)6級、2級ファイナンシャル・プランニング技能士取得。 ※韓国に関する記事制作やその他のご依頼もご相談ください。お問い合わせ 筆者プロフィール