韓国の海列車に乗ってみよう!~観光列車で旅する東海岸
吉村剛史(トム・ハングル)
2016/12/05 改:2019/08/14
江原道の東海岸は起伏が少なく、白砂の海岸が美しく続きます。そんな海沿いに続く線路を走る観光列車、海列車(パダヨルチャ)は、すべての座席が海側に向いているのです。
[海列車の車窓から]
海列車(パダヨルチャ)は大きな窓から海の景色を存分に楽しめる列車で、江原道の東海岸の雰囲気を味わうのに最適な列車です。
利用者はウィンドブレーカーをきた登山客風の中高年もいる一方で、車内にはプロポーズ席も設けられており、ロマンチックな海沿い列車として、最近ではカップルにも人気があるそうです。
海列車(パダヨルチャ)とは?
海列車は、韓国語ではパダヨルチャ(바다열차)といい、英語では’sea train’と翻訳されています。江陵(カンヌン)、東海(トンヘ)、三陟(サムチョク)の3つの地域にまたがる列車です。
嶺東線の江陵(カンヌン)駅~東海(トンヘ)駅、主に貨物用路線として使われていた三陟線、東海駅~三陟駅の区間。当初は2007年に江陵駅~三陟駅の区間で開業しました。
[江陵(カンヌン)駅、2016年現在工事中]
そんな海列車は、2014年からは鉄道工事のため、日の出の名所の正東津駅~三陟(サムチョク)駅までの営業となり、約42キロ、1時間20分で1日2往復(週末は3往復)運行されています。
正東津駅から乗車すると、江陵駅方面に戻る形をとりますが、正東津駅を出発後、江陵統一公園がある安仁駅を経由して、三陟駅に向かうのです。
三陟駅から乗車!
私が乗車したのは、2013年の春のこと。当時は三陟駅~江陵駅まで運行されていました。三陟駅は前述のとおり貨物用の路線のため、現在は海列車のみの運行です。
江原道(カンウォンド)は韓国の石炭の産地で、日本統治時代から炭鉱が操業していました。多くの人が炭鉱で働いていましたが、エネルギー転換に伴って、90年代以降、各地域の人口も減少に転じます。
[三陟駅、写真右はセメント工場]
三陟線は石炭を搬出するために、日本統治時代に運行が開始されました。ちなみに三陟は石灰石など地下資源に富んだ地域で、今でも駅前にセメント工場があるのです。
そんな三陟駅が起点を起点とする海列車。きっぷは満席でなければ、現地での購入可能です。
[参考・江原道・東海岸地図]
発車時刻目前になると、三陟駅の小さな駅舎は、乗客でいっぱいになります。海列車が入線し、前の乗客が下車すると、ホームに案内されるのです。
出発と同時に、駅員さんたちが手を振って、送り出してくれます。海列車の出発です。
海列車は約1時間
海列車は約四十数キロの区間を1時間以上かけて走るわけですから、平均時速にすると約30キロほどとなります。多少の停車時間もあるとはいえ、ゆっくりめの運行スピードです。
一般の座席は前後2列で、車両には席がずらりと一直線に並び、目の前には大きな窓が広がります。
海が見られない内陸の方面を走る区間もありますが、海を見渡せる区間では、天気が良ければ気分は最高です!
[列車の車内]
車内では乗務員がDJとなり、乗客からのリクエスト曲を受け付けます。携帯電話によるリクエストの受付で、音楽がかかります。
このあたりは韓国語がわかる方のほうがリクエストやすいでしょう。
乗車後しばらくすると、ビンゴカードが配られ、車内でビンゴがスタートします。数字がモニターに映し出され、先着順で記念品があります。
[モニターがある乗務員席]
車内にはモニターがついていて、乗務員席からも見られるようになっているため、手をあげることで当選者がわかるようになっています。
先着3名程度のため、当選するのは難しいですが、運試しに楽しんでみたいところです。
車窓から海の景色をみながら、しばしの鉄道旅行を楽しんでみましょう。
正東津(チョンドンジン)駅
正東津駅は「世界で最も海に近い駅」としてギネスブックにも登録されている駅です。
韓国の日の出の名所として知られていますが、時間的にも車窓からは日の出を拝むことはできません。朝早く正東津を訪れて、日の出を堪能したあと、この列車に乗るのはよいのかも。関連記事:韓国の日の出の名所、江陵・正東津駅
2016年現在、正東津駅を起点に列車が運行されています。ここから江陵駅方面の安仁駅へと立ち寄り、車窓から統一公園の戦艦をみたあと、再び正東津駅にもどるルートとなっています。
このあいだも海からの美しい景色が楽しめます。
海列車の予約方法
海列車は事前予約も可能ですが、韓国語サイトのみとなっており、韓国語での電話、またはネット申込が必要です。予約および時刻表はこちら。⇒海列車公式サイト(韓国語)
料金は特室料金が16,000ウォン、一般室料金が13,000ウォンとなっています。そのほかプロポーズ席が2人で50,000ウォンです。
江原道の海の景色を満喫するために、海列車に乗車されてみてはいかがでしょうか。
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海列車は途中下車も可能ですが、途中駅に訪れたい場合は、全線乗車してから再び戻る形をとってもよいでしょう。
とくに墨湖(ムッコ)駅から海沿いに歩くと、飲食店も多く、『華麗なる遺産』のロケ地に使われた灯台もあります。バスで東海方面に行くと泉谷天然洞窟もあるので、観光におすすめです。

吉村剛史(よしむら・たけし) 1986年生まれ。ライター、他。1年8ヵ月のソウル滞在経験のほか、韓国100市郡以上・江原道全18市郡を踏破するなど、自分の目で見聞きした話を中心に韓国関連情報を伝えている。2021年1月にパブリブより初の書籍『ソウル25区=東京23区』を出版。2022年に韓国語能力試験(TOPIK)6級、2級ファイナンシャル・プランニング技能士取得。 ※韓国に関する記事制作やその他のご依頼もご相談ください。お問い合わせ 筆者プロフィール