キュヒョンの人気曲「光化門で(광화문에서)」の歌詞にある街路樹はどこのことなのか?
 吉村剛史(トム・ハングル)
 2020/03/16 改:2020/03/16 

韓国の人気アイドルグループ、SUPER JUNIOR(スーパージュニア)のメンバー、キュヒョン(규현)。その愛らしい顔立ちもまた彼の人気の理由なのだろう。

キュヒョンはソロでも活動しているが、その曲の中でも「光化門で(광화문에서)」というバラード曲が好きな人は多い。この光化門とは、朝鮮王朝の正宮として建てられた景福宮の正門である。1度、2度ソウルを旅したことがある人なら、出かけたことがある場所だろう。

その曲の歌詞にはこんなくだりがある。   

“광화문 가로수  은행잎 물들 때”(クァンファムンカロス スネイプ ムルトゥルッテ)直訳:光化門の街路樹、銀杏の葉が染まるとき

この光化門の街路樹、一体どこを指すのか考えたことがあるだろうか?特に深く考えなければ、光化門の街路樹とは「光化門広場」の両側にある木々だと考えればよいのだろう。 しかし光化門前の道路と広場は、あまりにも広すぎて、街路樹のインパクトがあまりにも薄くはないだろうか。パッと見ただけでは街路樹が目に入ってこないのだ。

光化門広場へと生まれ変わった中央分離帯説

光化門の前の道路が現在のように広場となったのは、2009年のことである。それ以前は世宗大王の像はなく李舜臣将軍の像だけがあり、その像の後ろで今は広場となっている中央分離帯の場所は、イチョウの街路樹が連なっていた。

「光化門で」の作詞・作曲・編曲を担当したのは、1976年生まれのSMエンターテインメント所属のソングライター”Kenzie”だ。それならば過去の光化門の姿を知っているはずなので、この街路樹は中央分離帯にあったものを表している可能性も十分あり得る。

だが、別の説も考えられる。以下ではもう一歩踏み込んでみたい。

徳寿宮のトルダムギル説

下の映像は、キュヒョン自身が光化門へ行き、寂しい人に「光化門で」を歌ってあげる、という企画を撮影したものである(SM TOWN公式)

この映像のなかでキュヒョンは「大韓民国で寂しい人が最も集まるという光化門へLet’s GO!」と言っている。しかしそんな話は初めて耳にした。光化門は悲しい人が集まる場所なのか?

おそらくこのような悲しげなイメージがついたのは、イ・ムンセ(이문세)が歌う1988年の『光化門恋歌』ではないか。この曲はバラード曲なのだが、別れの歌である。

しかしこの曲の1番に出てくるのは光化門ではなく、徳寿宮の横にある「トルダムギル(돌담길)」、これは徳寿宮の石垣に沿った道だ。ここは秋になると銀杏並木が美しい。

筆者としてはむしろ、徳寿宮のイメージが強く残っており、「徳寿宮恋歌」というタイトルでもよいのではないか、と思えてくるのだが、もしこの曲をモチーフにして「光化門で」が生み出されたとするならば、銀杏並木は徳寿宮の横の「トルダムギル」のことを指すはずだ。


[トルダムギル(돌담길)]

徳寿宮のある市庁前駅⇒明洞のお隣、市庁(シチョン)はソウル旅行の目じるしとなる街~市民が集う中心地

景福宮の両側にある通り説

ただし『光化門恋歌』の歌詞のなかでは、2番に「光化門ネゴリ(네거리:交差点)」というフレーズが出てくる。そのため、やはり光化門付近の街路樹である可能性は捨てきれない。

現在ある街路樹から考えるのなら、景福宮の東西にあるイチョウ並木だろうか? もうひとつ考えられる場所があるとすれば、景福宮の東西にある道だ。

ひとつは景福宮の西側で大統領青瓦台へと向かう孝子路(효자로、ヒョジャロ)


[孝子路の街路樹]

もうひとつは東側、三清洞方面に向かう三清路(삼청로、サムチョンロ)である。


[三清路の街路樹]

これらの場所にも木々が並んでおり、秋になると木の葉が黄金色に染まる。「光化門の街路樹(광화문 가로수)」というには少し門から離れた場所であり、むしろ「景福宮の街路樹」のほうが言葉としてはふさわしいかもしれない。  

結局はどこの街路樹をイメージしたものなのかは、作詞者のみぞ知ることだ。だが光化門あたりを散策をするときには、「この街路樹はどこを指しているのだろうか」と、考えながら歩いてみても面白いかもしれない。

エネルギッシュなソウルの中心、文化スポット&グルメが魅力の光化門





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