鍾路(チョンノ)のグルメ散歩~路地裏・ピマッコルを食べ歩く
吉村剛史(トム・ハングル)
2013/09/28 改:2018/08/05
ソウルで好きなエリアは?と聞かれたら、私は鍾路(チョンノ)と答えます。ビルやオフィスが集まっていながらも、一歩路地に入るとレトロな風景があって懐かしさが感じられ、さらに手ごろな価格で美味しい食べものが食べられるからです。そんな鍾路を散策してみましょう!
鍾路とは光化門広場の前から、東大門あたりまで続く、朝鮮時代から続くソウルの主要な通り。当時も往来が激しかったようです。また鍾路には当時、六矣廛(ユギジョン)とよばれる特権商人たちが集まっていました。
[普信閣]
鍾路の由来は時を知らせる鐘が会ったことに由来しています。写真は地下鉄1号線、鍾閣駅前にある普信閣(ポシンガク)です。
今ここにも鐘があり、年末になると除夜の鐘が鳴らされますが、当時鳴らされていた鐘は宝物2号として国立中央博物館に置かれています。
地元の韓国人が集まる鍾路(チョンノ)はココ!~貫鉄洞(クァンチョルドン)
まずは普信閣のすぐ裏通りに入ってみましょう。そこはビルや飲食店が立ち並ぶ繁華街。ここは貫鉄洞(クァンチョルドン)というエリアで、夕方になると仕事帰りの地元サラリーマンたちでにぎわいます。
ここには、チェーンの飲食店も多く、わりときれいな雰囲気のお店が好きな人にとってはこのあたりがおすすめ。比較的若い世代もよく集まります。意外と穴場の繁華街~鍾路・貫鉄洞
さらにディープな路地裏を楽しみたい方は、ぜひピマッコルまで足を踏み入れてみましょう。
古いピマッコルの路地
今回の本題は大通りを離れて、路地に入ってみること。鍾路(チョンノ)の裏路地には、ピマッコル(피맛골)があります。ピマッコルの「ピマッ」は漢字で書くと「避馬」。馬を避ける、という意味があります。
朝鮮時代、高官たちが馬に乗って鍾路を通過する際、民衆たちは伏せておかなければならず、その煩わしさから路地裏が発達したとのこと。
[古いピマッコル]
そんな路地には数多くの飲食店が並び、美味しい店が多いと評判です。近年、古い路地は取り壊され、再開発の動きが進んでいます。
大通りを離れて歩いていくと、鍾路3街駅の裏手あたりから、とってもレトロな雰囲気が感じられる飲食店街があります。人がぎりぎりすれ違えるくらいの道で、これこそが路地裏という場所。
まだ再開発が進んでおらず、20年、30年前にタイムスリップしたかのようなこの道に入ると、お店のアジュンマたちの呼び込みについついつられてしまいそう。
●クルポッサム(豚肉と生ガキを包み野菜でくるむ)
ここで有名なのはクルポッサム。何件もの専門店が並んでいます。
クルとは牡蠣のことで、ポッサムは茹でた豚肉を野菜に包んで食べる料理。新鮮な生牡蠣と、柔らかなゆで豚をキムチに巻いて食べるととても美味しいです。
ここでは2~3人前の小がなんと20,000ウォン!さらにつきだしで小さなカムジャタンがついてきます。本当にボリュームたっぷりで、食べると十分おなか一杯になります。
有名なのはチョンジュチプ(전주집)とサメチプ(삼해집)。チョンジュチプは韓方薬材で煮込んだポッサムです。私はどちらかというとチョンジュチプ派ですが、どちらも美味しいです。
チョンジュチプ(전주집)
住所:鍾路区観水洞42
電話:02-2278-3311
2012年秋には、このクルポッサム横丁が火災に見舞われたこともありました。古い店が密集している、という不都合な面が露呈してしまった結果なのかもしれませんが、今は復活しています。
●タットリタンのお店「ケリム」へ
クルポッサムのお店がある場所は、厳密には「ピマッコル」とは呼ばれていないようです。
通りをひとつ渡り、東大門方面へ進んでいくと、入口に「ピマッコル(피맛골)」と掲げられた飲食店街があります。
わずか2メートルほどの細く古びた店が集まる路地で、歩いて見ると昔ながらのピマッコルの姿を感じることができます。
ソウルの中心街でありながら、タイムスリップしたような姿が見られるという意味で、ソウル観光のおすすめスポットです。
その路地に入り、旧世運電子商街の方まで歩いていく途中に、有名なタットリタンのお店があります。
ケリム(계림)というお店で35年の伝統、と書かれた人気店!タットリタンは鶏肉を辛く煮込んだ料理で、タッポックムタン(닭볶음탕)とも呼ばれます。
タットリタンの「トリ」が日本語だ!と若い世代のなかにはいろいろと文句をいう人もいますが、ここはタットリタンの名で料理が提供されています。
ケリムタットリタン(계림닭도리탕)
住所:鍾路区鍾路3街167(종로구종로3가167)
電話:02-2266-6962
写真は中のサイズ。3~4人前です。小は19,000ウォンから食べられます。アツアツの辛めスープの中に、鶏がぐつぐつと煮込まれ、ニンニクやネギもたっぷり。少し濃いめの味なのでつくられているので、おつまみだけでなくごはんにもぴったりです。
そんな「ピマッコル」、この路地とは道を挟んで向かい側になりますが、ビルのなかの飲食店街として、新しい姿に生まれ変わりました。
レトロな路地裏散策、路地裏グルメが好きな方に、これらの店はおすすめできます。レトロなソウルの風景が好きな方にはぜひ訪れていただきたく思うのです。
※鍾路の大通りを挟み、北側のエリア(光化門交差点~鍾閣駅)は再開発が進み、ビルのなかにピマッコルが入りました。以下の記事をご覧ください。
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庶民的なピマッコルは、時を超えてスタイリッシュなビルへと変わりつつあります。昔ながらのソウルの裏路地もぜひもう一度、散策してみてください。鍾路の路地裏の店で隣の人が話しかけてきたら、それはそれで楽しみましょう。

吉村剛史(よしむら・たけし) 1986年生まれ。ライター、他。1年8ヵ月のソウル滞在経験のほか、韓国100市郡以上・江原道全18市郡を踏破するなど、自分の目で見聞きした話を中心に韓国関連情報を伝えている。2021年1月にパブリブより初の書籍『ソウル25区=東京23区』を出版。2022年に韓国語能力試験(TOPIK)6級、2級ファイナンシャル・プランニング技能士取得。 ※韓国に関する記事制作やその他のご依頼もご相談ください。お問い合わせ 筆者プロフィール