10ウォンパン発祥・韓屋スタバが人気の慶州・皇理団(ファンニダン)通り~古の香り漂うホットプレイス・大陵苑周辺
 吉村剛史(トム・ハングル)
 2025/01/12 改:2025/01/12 

慶州(キョンジュ)は新羅(前57年~935年)の首都だった場所で、様々な遺跡が残されていることから、修学旅行で訪れる地域でもあり、韓国の古都として人気があります。

新羅(前57年~935年)の首都だった慶州の街中には当時の遺跡が数多く残されており、2000年にはユネスコ世界遺産に慶州歴史地区が登録されました。ちなみに吐含山(トハムサン)の麓になる仏国寺・石窟庵は、それより前となる1995年に登録されています。

この記事では、慶州のなかでもホットスポットとなっている大陵苑周辺と、皇理団通りに着目してお伝えします。歴史観光だけでなく、遊び的な要素も含めて楽しみたい方におすすめです。

アクセスとしては慶州駅(KTX)から道のりで約12キロ離れており、タクシーでは約20分(料金:15,000ウォンほど)、市内バスでは約30分で到着します。

23基の古墳は壮観!大陵苑(デヌンウォン)

慶州歴史地区のなかの大陵苑(テヌンウォン、대릉원)には、新羅時代の王や貴族と考えられている全23基の遺跡があります。平地にぼこぼことたくさんの墳墓が並んでいる様子は壮観で、圧倒されます。

駐車場前の入口から入っていくと内部はまるで公園のようで、緑が感じられる時期、木の葉が色づく時期など、大陵苑は季節それぞれの顔を見せてくれます。

またこれらのなかでも天馬塚(천마총、チョンマチョン)は内部が公開されており、ここで出土されたものは慶州国立博物館にて展示されています。

ここで眠る王たちは1000年、1500年の歳月の移り変わりを見守ってきたのでしょう。そのなかでも大陵苑周辺のここ数年のにぎわいは、王たちもきっと驚くべき姿だといえるでしょう。

それは大陵苑の周りに位置するホットプレイス「皇理団通り(황리단길、ファンニダンギル)」の盛り上がりの様子からそう言えます。次に皇理団通りについて見ていきましょう。

近年人気のホットプレイス・皇理団(ファンニダン)通り

皇理団(ファンニダン、황리단)通りとは、慶州の大陵苑の周辺にある通りの通称のことで、近年観光地化しています。この通りには伝統家屋の建物が多く、そこにカフェやお店が集まってきています。

歩きながら屋台フードを味わったり、おみくじのような占いを楽しめたりと、慶州の観光に訪れた若者にとっても人気のホットプレイスになっています。歴史散策をして学ぶだけでは物足りなく感じてしまうのかもしれませんから、こうした場所に人が集まるのも理解できます。

皇理団(ファンニダン、황리단)という名前の由来は、この街が皇南洞(ファンナムドン、황남동)と呼ばれていることに由来しますが、ソウルの南山の麓に位置するホットプレイス「経理団通り(経理団ギル)」をもじって、このように名付けられています。※キル、ギル:「通り」の意味

韓国内には「〇〇団ギル」という名称で呼ばれている場所がいくつかあります。ソウル・望遠洞(マンウォンドン)の「望理団(マンニダン)キル」もそのひとつです。


[皇理団キルの地図]

厳密には皇理団通りは、上の地図で示された黄色の通りだけですが、大陵苑の近くの皇理団通り一帯を総称して、このように呼ばれています。

※ソウルの経理団通りについては以下の記事をご覧ください。

南山の麓へ続き、新たな話題を生み出す坂道~経理団通り(キョンニダンギル)

皇理団通りには2017年頃から若者たちに人気のオシャレなカフェが増えたり、ショップができたりしたことから慶州のホットプレイスとなりました。歴史遺跡の散策のついでに楽しめるエリアだといえます。

人気おやつ・10ウォンパン発祥の地!

日本の街中でも若者たちの間で「10円パン」が流行りました。10円硬貨の絵柄入りで、中身に伸びるチーズが入った大判焼きのことです。

これは韓国発の10ウォンパンが元になっており、韓国では10ウォン硬貨が描かれています。その発祥の地がまさに「皇理団通り」であり、メインストリートにある「慶州黄金10ウォンパン(경주황금십원빵)」が最初のお店と言われています。

お店の前には「慶州10ウォンパン、最初の開発者の店」と書かれており、このお店が「元祖」であることが示されています。

韓国の10ウォン硬貨の絵柄は、慶州・仏国寺(불국사、プルグクサ)にある、新羅時代の8世紀に建立されたと推定される多宝塔(다보탑、タポタプ)です。

ちなみに皇理団(ファンニダン)通りからは仏国寺までは10キロ以上離れてはいますが、慶州の歴史遺跡の象徴的な存在だといえます。

発祥となったお店以外にも、大陵苑の入口の前には10ウォンパンのお店がいくつか並んでいます。10ウォンパンは、1つ3,000ウォンで食べられます。

びよーんと伸びるモッツアレラチーズがたっぷり入っているので、美味しくて人気があります。ソウルや釜山、同類のものは日本でも食べられますが、発祥の地に来た記念として、散策で小腹がすいたら召し上がってみてもよいでしょう。

SNSでも注目された韓屋の瓦が美しいスターバックス

スターバックスコーヒーは日本でも人気があるコーヒーチェーンです。韓国ではソウル・仁寺洞のメインストリートにある通りの看板はハングルで書かれていますが、慶州にあるスターバックスコーヒーは、韓国の伝統家屋・韓屋(ハノク)の佇まいです。

皇理団ギルの端にある慶州大陵苑店は、外観が韓屋であるだけでなく、内部は韓国の様式で座敷スタイルになっており、安座してコーヒーを味わうことができます。慶州・皇理団ギルにやってきたら、ぜひスターバックスにも注目を。

瞻星台と美しいフォトゾーン・ピンクミューリー

慶州遺跡地区は、公園のようになっており、古墳などの遺跡を観たりと歩いて散策が楽しめますが、大陵苑周辺には新羅時代の天文台と推測される「瞻星台(첨성대、チョムソンデ)」があり、これは大韓民国の国宝31号に指定されています。石が積み上げられる形で建てられているものです。

まわりには古墳が点在しているほか、その当時の天文台と考えられる建造物がそびえ立つ姿を見ると、太古に思いを馳せたくなります。夕方になるとライトアップされ、より幻想的な姿になります。

そしてすぐそばにピンクミューリーが植えられた場所があり、女性同士やカップルたちを中心にフォトスポットとして人気があります。ピンクミューリーは、韓国でインスタ映えが広まった以降に、ソウルのワールドカップ公園のほか、各所で人気が高まりました。韓国の若い女性のインスタグラムではよく出てきます。

歴史的な観光地として若者たちが数多く訪れる慶州にも、そのような流行が反映されているといえます。こちらも散策がてらに立ち寄ってみてましょう。

ヘルシーな包み野菜ご飯のサムパプ(쌈밥)のお店が多数

慶州・大陵苑の一帯には、野菜にご飯を包んで食べるサムパプ(쌈밥)の店がいくつかあり、ちょっとした名物となっています。


[イプンニョ・クロサムパプ(이풍녀 구로쌈밥)]

このお店はサンパプ1人前が18,000ウォン。サムパプを注文すると、肉や魚、キムチにナムルなどたくさんのおかずがテーブルに並びます。その点では韓定食にも少し似ているといえるかもしれませんが、サムパプはより手軽で庶民的なイメージ。

サンチュやえごまの葉などの包み野菜にご飯をくるんで食べるのが基本ですが、そこに肉を乗せたり、キムチや塩辛を乗せたりして食べてもよし。皇理団ギルや歴史散策のあとに食事をするなら、サムパプもひとつ選択肢に入れてみてはいかがでしょう。

歴史散策だけではない慶州旅行に欠かせない皇理団ギル

近年の韓国の観光地は、歴史遺跡だけではなく、楽しめる要素が増えており、様々なニーズにこたえてくれるといえるでしょう。

慶州にやってきたら屋台フードも料理も楽しみつつ、散策してみましょう。




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