南山の麓へ続き、新たな話題を生み出す坂道~経理団通り(キョンニダンギル)
 吉村剛史(トム・ハングル)
 2018/11/14 改:2019/07/15 

Nソウルタワーがそびえる南山の南麓。ここには「経理団通り(경리단길、キョンニダンギル)」と呼ばれる緩やかな坂道があり、その脇にはカフェや韓式レストランやエスニック料理店があり、ここ約10年のあいだにソウルのホットスポットとして定着しています。


[経理団通りの坂の上のあたりの様子]

異国情緒漂う梨泰院エリアに隣接することから外国人も多く、坂の上のほうはよりハイソな印象。駅に近い入口あたりには若者たちに人気のお店が多いように感じられます。この記事ではそんな人気スポットである、経理団通りの楽しみ方をお伝えします。参考:経理団通り

経理団通りとはどんな通り?~地図&行き方をチェックしよう

「経理団通り(경리단길、キョンニダンギル)」は、坂の下あたりに陸軍の予算を管理する「中央経理団」があったことが名前の由来で、現在は「国軍財政管理団」と名前を変えています。街中には下の写真のように案内板が設置されています。

経理団通りへのアクセスは地下鉄6号線の緑莎坪(녹사평)駅が最寄り。とはいえ、梨泰院駅から歩いて訪れるのが街歩きを楽しむにはグッド。梨泰院周辺で買い物をしたり、異国らしい雰囲気を楽しめれば気分が高まります。

この通りの行政上の名前は「フェナム路(회나무로)」といい、メインストリートやその路地にもカフェなどのお店が点在しています。


[経理団通りの地図]

経理団通りとともに隣の解放村を訪れる、というのも旅行プランのひとつ。すぐ隣には米軍基地があることもあって、このあたりを散策すれば、韓国のなかの異国を感じることができるはずです。

経理団通りのグルメ・カフェを散策

経理団通りの散策は、グルメやカフェ巡りがメイン。梨泰院の近くという場所に位置しているだけに、韓国料理だけでなく外国料理のお店が多いこともこのあたりの特徴です。

韓国では韓食よりも外国料理のレストランのほうが値段が高めであることもあり、ランチ時間帯でも10,000ウォン(約1,000円)を超えることも多くなってきます。ですが、ここではそのなかでもお手頃かつ、美味しいお店を紹介したいと思います。

●ピザリウム(피자리움)
経理団通りの入口よりも手前、緑莎坪駅寄り位置する「PIZZARIUM(피자리움、ピジャリウム)」は、ローマ式の手作りピザのお店で、ピース売りされています。

経理団通りの盛り上がりをけん引してきたお店のひとつ。韓国のメディアにも取り上げられている名店です。

お店に入ると、ケースのなかに四角く切られた生地が並べられており、注文と同時にその場で焼いてくれます。

最も売れているピザは、価格が「ルコラランチ(루꼴라랜치、7,000ウォン)」ですが、今回注文したものは、人気No.2という「ビーフパストラミ(비프파스트라미、7,000ウォン)」です。見た目もコッテリ感があるような印象を受けますが、なかなか美味しそう。

実際に食べてみると、もっちりした厚めピザの生地。そこにビーフが乗っており、濃厚チーズが口に入るととろけ具合が絶妙。もちろん1枚でもそれなりのボリューム感あるピザですが、2人で行くなら、3枚注文してそれぞれのピザの味を楽しんでもよさそうです。

ピザリウム(PIZZARIUM、피자리움)
営業時間:11:30~22:30
定休日:月曜日 ピザリウム

目じるしとなるチュロス通りと、全国に波及したクラフトビール

経理団通りの名前の由来となった、現・国軍財政管理団のまわりにはカフェや流行のお店が集まっています。その入口にあたるところにあるお店が「STREET CHURROS(ストリートチュロス、스트릿츄러스)」。

韓国国内で人気を集めたチュロスのチェーン店なのですが、なんとここが本店。お店の前には標識を模した「チュロス通り」という表示があり、まさにこの路地の目じるしになるお店だといえます。


[写真右がSTREET CHURROSの店舗]

15種類の穀物が含まれているというこのチュロスは2,000ウォン~。アイスクリームの上にチュロスをのせた「アチュ(아츄)」は3,500ウォン。その場で揚げてくれて、アイスクリームに差し込んでくれます。

歯ごたえあるチュロスとアイスを一緒に食べるというのは何となく贅沢な気分。まずはチュロスを食べてから、経理団通りの散策をするのもよいでしょう。


[ストリートチュロス]

STREET CHURROS(ストリートチュロス)
営業時間:11:30~21:30
ホームページ:ストリートチュロス

チュロス以外にもソフトクリームのほか、手軽に食べられるおやつ類など、その場で味わえるテイクアウトのお店も多いことが特徴です。「経理団」のまわりに位置するこの通りには、夜になると特に若者たちで溢れます。

そしてもうひとつ。経理団通りの名物といえば韓国のクラフトビール。2010年前後からこの地でビールを自家醸造するお店が出始めてそれが人気を博し、ここから全国に広まったとされています。

そのクラフトビールのお店は、解放村と経理団通りのあいだの中央の道、緑莎坪大路にいくつかあるほか、梨泰院エリアの世界文化飲食通りにも広がっています。大抵のお店にはサンプラーがあるので、それを注文し、様々なビールを飲み比べて楽しむのもよいでしょう。

経理団通りの坂の上のほうは?

経理団通りの坂の上のあたりにはグランドハイアットソウルがあり、各国の宿泊客がやってきます。また経理団ギルを上がっていけばいくほど、ハイソな印象が感じられるレストランが多くなってきます。下の建物、湖南亭は韓定食のお店です。


[湖南亭は韓定食のお店]

下の写真にある手前のお店”Olea Kitchen & Grocery Itaewon”はベーカリーとイタリア料理のお店。2Fにあるレストランではパスタやピザが味わえます。


[Olea Kitchen & Grocery Itaewon(手前)]

少し下に降りていき、路地に入るとこじんまりとしてお洒落なカフェが多く感じられます。南山の麓に位置するだけあって、Nソウルタワーを望みます。このあたりでフラッと入れそうなお店を探してみるのもよいでしょう。

この経理団通りには入口付近に、第一市場(제일시장、チェイルシジャン)という地元ローカルな市場がひとつあります。

経理団通りの路地裏、チャン・ジヌ通り

経理団通りの路地裏である、チャン・ジヌ通り。ここは韓国で多彩な能力をもつ若手実業家のチャン・ジヌ(장진우)氏のお店が4軒ほどあることに由来する通りです。行政上は「フェナムロ13カギル(회나무로13가길)」。参考:チャン・ジヌ通り


[チャン・ジヌ(장진우)通り]

このチャン・ジヌ通りにはオープンスタイルのお店など、雰囲気のよく小洒落たお店が集まっており、とくに夜には20代、30代の若い世代も多く、かなり賑わいをみせています。このようなところで一杯楽しむもよいでしょう。

おしゃれ通りの先駆けとなった経理団通り

梨泰院にも近い経理団通りはこれまで流行を生み出してきたことも事実。経理団通り(경리단길、キョンニダンギル)に続き、それをもじって望遠洞の望理団ギル(망리단길、マンニダンギル)や、慶州の皇理団通り(황리단길、ファンニダンギル)などという名前のおしゃれストリートが出てきたほどです。

外国人観光客にとってはビギナーが訪れる場所というよりも、むしろ何度かソウルを訪れたことのあるリピーターが踏み込んで入っていく場所。韓国人の若い世代が余暇を過ごす場所であるこの通りへ出かけ、カフェでコーヒーを飲み、レストランで食事をしたりと、現地の人と同じように過ごしてみてはいかがでしょうか。

※解放村から望むNソウルタワーの観光は以下の記事をご覧ください。

Nソウルタワーで最高の眺望を!~夜景も四季折々の姿もココから




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