Nソウルタワーで最高の眺望を!~夜景も四季折々の姿もココから
吉村剛史(トム・ハングル)
2019/05/06 改:2023/07/13
ソウルのランドマークといえば、南山(262 m)の上にそびえるNソウルタワーの名前が挙がるのではないでしょうか。
Nソウルタワーは地元では「南山タワー(남산터워、ナムサンタウォ)」として親しまれている高さ236.7mの電波塔です。タワーは山頂付近に建てられているため、その高さは約480mにも及びます。
●Nソウルタワーの高さ、ロッテワールドタワーに抜かれた?
ちなみに2017年に蚕室エリアに開業したロッテワールドタワーの高さは555メートル。その展望台で最も高い場所はなんと500mにも及ぶといいます。ロッテワールドタワーの展望台からは、Nソウルタワーを見下ろせることになるのです。
とはいえソウルの伝統的な中心街は、ソウルを二分するように流れる漢江(ハンガン)の北側。
単に高さで競うならロッテワールドタワーを訪れるのがよいかもしれませんが、歴史的にも風水的にも意味がある山でもあり、ソウルを訪れたらぜひ一度は南山に訪れたいものです(歴史的なことに関しては後述します)。
Nソウルタワーを訪れるには?
ソウルを初めて訪れる方はもちろん、韓国旅行のリピーターの方も、ソウルの町の様子や夜景を眺めたいからと南山を訪れる方が多いもの。
南山はソウル屈指の繁華街、明洞(ミョンドン、명동)や梨泰院(イテウォン、이태원)にも隣接しており、ソウルにやってきたら気軽に出かけてみよう、と思える場所に位置しています。
ケーブルカーを利用して登る場合は、地下鉄4号線明洞駅が最寄り駅。山頂まで歩いて登るにしても、ケーブルカーに乗って登るにしても、まずはケーブルカー乗り場まで行きましょう。
[明洞付近の交差点から望む南山とNソウルタワー]
南山公園ケーブルカーまで楽々行けるエレベーター、南山オルミ
明洞駅からケーブルカー乗り場まで行くときは、かつては傾斜のある坂道を歩くか、迂回してバスで行くかの2通りでした。
しかし2009年、明洞駅4番出口から歩いて5分ほどのところに「南山オルミ」というエレベーターが出来たことにより、アクセスがいくらか容易になったのです。
エレベーターと言っても上下にあがるものではなく、斜面を登っていくゴンドラのようなもの。レールは約75メートルあります。ソウルの中心街を背にしつつ登っていくのですが、ぜひその景色も眺めていてください。降りるとすぐにケーブルカー乗り場です。
ケーブルカーに乗って、南山へ登ろう!
ケーブルカーに乗る場合は、建物に入りチケットを購入します。
料金は往復基準で大人 9,500ウォン(片道7,000ウォン)、子ども6,500ウォン(片道4,000ウォン)なので、往復したほうがお得に感じられます。
南山ケーブルカーは観光客でにぎわっているので混雑します。ホームページによれば、午前中は利用者が少なめとのこと。夜間の営業時間は夜23時までですが、Nソウルタワーの展望台の受付が22時30分までなので、タワーにあがるには遅くとも22時までには山頂に上がっておきたいところです。
ケーブルカーに乗ると、山頂付近までは5分足らずで到着。ソウルの中心街を眺めながら、四季折々の南山の様子を感じることができます。
とくに夜に明洞の街が光り輝く様子を見ることができます。南山の山頂やタワーよりも間近に見られるので、むしろケーブルカーからの夜景が最も綺麗だと言えます。
南山ケーブルカー
営業時間10:00~23:00
Nソウルタワーに登ってみよう!料金は?子どもは?一人でも大丈夫?
ケーブルカーを降りてからNソウルタワーまでは少し階段を上るとはいえ、すぐ到着します。いちどはNソウルタワーに登ってみたいものではないでしょうか。チケット売り場で展望台の入場券を購入します。
[Nソウルタワーのチケット売り場]
チケットの料金は大人16,000ウォン、子供12,000ウォン。このチケットは事前に旅行サイトやチケットサイトで購入しておくと安く手に入ります。
(※KLOOKを利用すると、レートにもよりますが、日本円では大人料金で約1300円~1400円程度で購入可能。そのほかのプランも有ります。ぜひ訪れる前に決済しておきましょう。Nソウルタワーチケット(klook))
Nソウルタワーの職員の方は。ほかのどの観光地よりも外国人観光客に対しては英語で対応してくれます。展望台に上るエレベーターからは外を見ることができませんが、代わりに映像が流れます。
展望台からはソウルの街並みはもちろんのこと、ソウルを囲む山並みを眺めることができます。そして天気が良ければ北朝鮮の山々を望むことができますし、展望室にはコーヒーやビールが買えるスタンドもあり、景色を眺めながらお茶を飲んだり、軽くビールを一杯楽しむこともできます。
[Nソウルタワーの展望台から]
そしてトイレにも注目。特に男子トイレの小便器の目の前がガラス張りになっており、解放感(?)に浸れるという遊び心あるつくりになっています。
またNソウルタワーにはキティちゃんファンなら注目「ハローキティーアイランド」や、展望台3階にはビュッフェ形式で食事ができるレストラン「HANCOOK」があったりもします。
●Nソウルタワーの色は?
Nソウルタワーは夜になるとライトアップされ、日によって異なるカラーを見せてくれます。実はこのタワーの光はソウルの大気汚染の状況を示すもの。
近年ソウルではPM2.5による大気汚染が深刻ですが、大気が最も良い順に青→緑→黄→赤と変化。青が最も大気が良い状態で、赤となれば非常レベルです。2019年の冬から春にかけては特に深刻で、3日連続で赤が灯ったこともあります。参考:Nソウルタワー
Nソウルタワーには登らずとも夜景を楽しめます
Nソウルタワーの展望台に登れば、かなり遠くまで見渡すことができるので一度は上ってみてもよいでしょう。もちろん二度上ってもよいですが、そこまでではなければ、展望台に上らずに夜景を楽しむというのもアリ。
そしてNソウルタワーの下には、たくさんの南京錠がくくり付けられているのですが、これが「愛の南京錠(사랑의 열쇠)」。愛を誓った恋人たちがここに南京錠を結び付けていきます。
●ソウルの歴史を知ることもできる城壁
そして南山を訪れたらぜひ気にして見ていただきたいのが城壁。ソウルをとり囲む内四山には外部からの侵入を防ぐための城郭があり、今もなお文化財として残されています。これは朝鮮王朝が始まったころに築造されたもの。
こうした城郭からはソウルの歴史を感じることができますし、ソウルの成り立ちを紐解いてみると、風水によって選定され、築かれた都市だということがわかります。
※詳しくは拙著「韓国が誇るふたつの夜景都市、「風水のソウル」と「港湾の釜山」」(海外ZINE)をご覧ください。
ケーブルカーに乗らなくても山頂まで上がれる~徒歩でもバスでもOK!
ケーブルカーに乗らずに南山に登る方法もあります。徒歩またはバスという手段です。
ケーブルカーに乗り、Nソウルタワーにも上ると、大人1人当たり19,500ウォン、日本円にすると約2,000円ほどかかります。家族で行くと大きな負担になるため、どちらかを節約するというのもよいのではないでしょうか。
●バスに乗る方法
南山の山頂、Nソウルタワーまで走るバスは循環02、循環03、循環05の3系統があります。
ソウル駅や梨泰院駅、明洞入口といった主要なバス停からも出発してはいますが、最も便利なのが地下鉄3号線の東大入口駅。ここからはすべてのバスが出ているので、待ち時間も少なくて済むでしょう。
それぞれのバスは07:00 ~ 23:30まで運行されており、配車間隔は18分です。路線に関する情報は公式ページをご覧ください。
バスでは南山に設けられた車道を走って上がっていきます。南山は環境保護の観点から交通規制されているので、レンタカーや自家用車で登ることはできません。
●徒歩で行く方法
春の桜の季節や、紅葉の季節などは景色を眺めるためにも、歩いて登ることを選択肢に入れてもよいでしょう。
登山というほどのものではなく、散策という雰囲気で登ることができ、ケーブルカー乗り場から山頂までは徒歩で約30分かかります。気軽に登れるとはいえ、服装や靴は万全の準備を。とくに暑い季節には熱中症にも注意、雨や雪のあとは滑りやすいので気を付けましょう。
自然の風にあたって桜や紅葉を眺めつつ、ケーブルカーを横目にみながら、歩いていくのも楽しいものです。
南山公園にやってきたら名物・南山トンカツ
そして南山にやってきたら、名物の「とんかつ」を味わっていくのはいかがでしょうか。トンカツは日本語由来で、韓国では「トンカス(돈가스、発音は돈까스)」といいます。
ケーブルカー乗り場の脇には「トンカツ」のお店が数店舗並んでおり、南山トンカツ通りが形成されています。
このトンカスは豚肉に衣をつけて、油で揚げた料理であることは日本のとんかつと同じですが、そのソースは韓国人の口に合わせているために塩辛さがなく、甘め。そして韓国のトンカツは必ずコーンスープがついてくることも特徴です。
とくにこの南山トンカツは薄めなのですが、その大きさは手のひらを超え、顔のサイズといわれるほどで、その大きさを「王(왕、ワン)」と表現。王(ワン)トンカツとも呼ばれています。
この「トンカス」の値段は9,000ウォン~1万2,000ウォンほどになっています。この通りにあるどのお店に入ってもよいのですが、「101番地南山トンカツ(101번지남산 돈가스)」が元祖「王トンカツ」として最もよく知られている有名なお店です。
番外編・南山の麓のオープンテラスのカフェバーへ
南山タワーを訪れたついでにお洒落な場所でお酒を飲みたいという方は、、南山の西麓にある厚岩洞(후암동)という街へ。そこに近年、日本家屋をリノベーションしたカフェやルーフトップバーができています。
斜面に位置しているだけに、眺めも雰囲気も良いのがよいところ。深夜まで営業しており、デートスポットとしても楽しめそう。とくに若者に人気です。
南山のケーブルカー乗り場からは1.5キロほど離れており、南山図書館の横を通って歩いていくと20分くらいかかりますが、明るい時間帯なら散歩がてら歩いてもよいかもしれません。
暗くなっていたら、流れてきたタクシーを捕まえて移動するのが最も便利。車が通れる道だと約2.5キロほどになるので、初乗りプラスアルファの金額になるでしょう。
ソウルのランドマーク・Nソウルタワーで楽しく散策を
ソウルのシンボル的な存在である南山と、ランドマークとして山頂にそびえるNソウルタワー。ソウルを訪れたら必ずいちどは訪れたい旅のスポット。
山頂やタワーの展望台から、ソウルの眺望をぜひとも楽しんでみてください。
※Nソウルタワーの周辺には楽しく街歩きしたり、観光できるスポットがあります。経理団通りは以下の記事をご覧ください。
※解放村については、以下の記事をご覧ください。
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吉村剛史(よしむら・たけし) 1986年生まれ。ライター、他。1年8ヵ月のソウル滞在経験のほか、韓国100市郡以上・江原道全18市郡を踏破するなど、自分の目で見聞きした話を中心に韓国関連情報を伝えている。2021年1月にパブリブより初の書籍『ソウル25区=東京23区』を出版。2022年に韓国語能力試験(TOPIK)6級、2級ファイナンシャル・プランニング技能士取得。 ※韓国に関する記事制作やその他のご依頼もご相談ください。お問い合わせ 筆者プロフィール