タルトンネ・壁画村

タルトンネ
タルトンネの再現(順天ドラマセット場)

タルトンネとは?
「月の街」という意味。地方から都市に移り住む過程で、経済的に貧しく平地に住めなかった人が多く暮らす貧民街、スラム街ともいえる場所である。日本統治時代から徐々にタルトンネが形成されていったが、とくに朝鮮戦争における避難民たちや、高度成長期に多くの人が都市に移動するなかで、タルトンネに暮らすようになったという(※1)。

名前の由来は諸説あるようだが「月を望む町」という意味で、1980年のドラマ『タルトンネ』が由来となっている。また、貧しく狭い家の中で肩寄せ合って暮らした生活を美化しているとも考えられる。「タル=月」「トンネ=町」という意味である。また、サントンネ(サンは「山」の意味)といわれることもある。

丘の斜面という劣悪な場所に家々が建てられていることから、ふもとに下りて働き戻ってくるのにも苦労するような場所である。韓国の各地にこのような場所がみられたが、近年では再開発が進むなど消滅しつつある。

しかし、当時の歴史的な様子がうかがえることもあり、保存・再生しようと町全体を壁画村にする動きが見られる。実際に現在も人が住む住居であり、観光客にはマナーやプライバシーの配慮が求められる。

釜山・甘川文化村
釜山・甘川文化村

ソウルの梨花洞(イファドン)では2006年から韓国の文化体育観光部(日本の「省」に相当)の生活環境改善事業の一環として始まったほか、釜山の甘川洞(カムチョンドン)では2009年から住民と芸術家たちが一体となって町にアートを設置するプロジェクトがスタートした。

これらの事業が成功して観光客に人気を集めたため、新たにこのようなプロジェクトを始めるところも登場している。

※洞:日本の「町」に相当する行政区画

代表的なタルトンネ・壁画村は?
ソウル:鍾路区・梨花洞(イファドン)
ソウル:西大門区・弘済洞ケミマウル
忠清北道・清州:寿岩ゴル(スアムゴル)
慶尚南道・統営:トンピラン壁画村 
釜山:甘川文化村(カムチョンムナマウル)
釜山:ホレンイマウル(安昌マウル)

タルトンネを知れるスポット
仁川広域市東区:水道局山タルトンネ博物館、
全羅南道順天:順天ドラマセット場

タルトンネを扱った映画・ドラマ・本
『タルトンネ』(달동네)
『一番街の奇跡』(1번가의 기적) など
『タルドンネ 月の町』岩井志麻子

参考文献
(※1)『韓国におけるタルトンネの価値転換と観光資源化』(轟 博志 著)

<韓国旅行ひとこと>
海外旅行をするとき、どうしても観光地らしいところに行く傾向が強いだろう。壁画マウルやタルトンネのように住民たちの暮らしぶりがわかるところにまで踏み込めるというのは、価値のあることだと感じる。もしかしたら住民たちと簡単な言葉を交わすことができるかもしれない。

韓国語メモ
タルトンネ=달동네
サントンネ=산동네
壁画村、壁画マウル=벽화마을
梨花洞壁画マウル=이화동벽화마을
ケミマウル=개미마을
甘川文化村=감천문화마을
トンピラン壁画村=동피랑벽화마을

文:トム・ハングル(吉村剛史)公開:2014年05月04日 改:2015年12月19日

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