倉庫・工場がカフェへと再生、ホットプレイスとして定着する聖水洞(ソンスドン)~聖水駅周辺
吉村剛史(トム・ハングル)
2019/11/03 改:2023/02/02 記事初出:2019/11/03
聖水洞(성수동、読み方:ソンスドン)は、ソウルの東部に位置する街。北には清渓川や中浪川が流れ、南は漢江に面している土地柄で、かつては漢江が洪水になると島のようになったことから、このあたりは「トゥクソム(뚝섬)」とも呼ばれています。
そして聖水洞の西側には「ソウルの森(서울숲、ソウルスプ)」という大きな公園があり、近年はいわゆるタワーマンションができるなどして芸能人も住み始めています。
とはいえ聖水洞を訪れる目玉となっているのは、町工場や倉庫をリノベーションしたカフェやギャラリー。それが続々と増えていき、ソウル東部の人気スポットとして浮上したのちに、最近では若者をターゲットにしたショッピングモールまででき始め、発展が感じられます。
この記事ではそんな聖水洞の町、とくに聖水駅周辺へといざないます。
※この記事は2019年11月3日初出、2019年8月~9月にかけて更新、2023年2月1日に新しい情報を取り入れて更新しております。
■■《前編》
■明洞や東大門からも乗換なし!聖水洞への行き方と駅
■聖水洞を歩くための地図
■聖水駅周辺のリノベ工場街を歩いてみよう〜聖水洞2街
■聖水洞で有名なカフェ探索
■聖水洞のランチ探訪
■ホットプレイスに現れたショッピングモール・聖水連邦
■■《後編》
■ソウルの森駅・トゥクソム駅周辺
●緑豊かな公園とカフェの街・聖水洞〜再開発進むソウルの森駅・トゥクソム駅周辺(※別ページ)
■■《YouTube》
■動画でわかる聖水洞・前後編
●BTSのJ-HOPE、ジョングクやジェジュンが暮らす高級マンション・ツリーマゼのある聖水洞(ソンスドン)はどんな街?(※別ページ)
明洞や東大門からも乗換なし!聖水洞(ソンスドン)への行き方と駅
聖水洞はどのように行けばよいのでしょうか。聖水駅には地下鉄2号線が通っており、明洞にも近い乙支路入口駅や、東大門歴史文化公園駅から1本で行くことができます(所要時間10~15分)。
ソウルを代表する繁華街からアクセスしやすいので、明洞・東大門などいつもの場所は飽きたという方にもおすすめできる場所です。参考:聖水洞の地図・行き方
聖水駅は高架駅になっています。駅構内にもこの町が製靴街であることを示すタイルやパネルがあったり、駅を出るとハイヒールのオブジェがあったりします。
[聖水洞2番出口]
聖水洞(ソンスドン)を歩くための地図
この聖水洞という町を二つに分けて考えてみましょう。西側の地下鉄2号線トゥクソム駅や、ソウルの森がある聖水洞1街。そして東側の聖水駅周辺は聖水洞2街と呼ばれています。
[聖水洞の地図]
地下鉄7号線にはトゥクソム遊園地という駅がありますが、それはお隣の建大(コンデ)のエリアとしてご紹介しています。参考:建大(コンデ)
聖水駅周辺のリノベ工場街を歩いてみよう(聖水洞2街)
まずは聖水洞2街のほうから。聖水駅を出て南の漢江方面へと進みます。その通りには倉庫やレンガ造りの建物や会社などが多く、飲食店がちらほらと。そして少し高い建物ではHOTEL ATTI(ホテル アッティ)が見えます。
夏に訪れると青々とした街路樹が並んでおり、その脇にはレンガ造りの建物。都心から少し離れたこの町は高層ビルのような建物は少なく、すんなりと溶け込めるような雰囲気です。
やはり製靴の町工場街を強調するかのように、ヒールのオブジェがここにも。そして路地に入ってみると、工場の建物が塗り替えられてギャラリーやカフェ、そしてベーカリーなどがあったりします。新たに装飾された工場街がインスタ映えすることから、若い女性たちが写真を撮りにやってきたりもします。
こうしたところが、昨今観光客に受け入れられているこの町の特徴だといえます。そして路地からもう一本踏み込むと、アパート街が見えてきます。このあたりは工場と住居が共存している町なのです。
ただ街を歩いているだけでは物足りないということで、聖水洞にやってきたらお目当てのカフェへ立ち寄ってみたり、美味しい料理を味わってみたりしながら休日のひと時を楽しみましょう。
ドラマ「トッケビ」のロケ地となったカフェ・モカ柵房
町工場街のなかにはあちこちに壁画がちりばめられていますが、なかでもここは韓国で有名なインスタントコーヒーのメーカー、東西食品(동서식품)が2016年4月~6月まで期間限定でカフェを開いた場所です。
その後も壁画だけが残され、人気ドラマ「トッケビ」でもこの壁画が登場したことから、人気のスポットとなっています。このように聖水洞の工場街は壁画を眺めながら歩くのも楽しさがあります。
聖水洞(ソンスドン)のカフェ・ランチ
ここからは聖水洞のカフェやグルメをご紹介します。このあたりで人気の店は、韓国料理よりもカフェやピザのお店が中心です。町に溶け込んだ倉庫や工場の温かみや、その雰囲気を愉しみつつ味わってみましょう。
※メニューや値段などは2019年夏時点のもので、大幅に変更されている可能性があります。イメージとしてお考え下さい。
cafe onion(카페 어니온 カペ オニオン)
聖水(ソンス)にやってきたら、必ず訪れたいお店といえばcafe onion。こちらは聖水駅の北側にある2番出口から歩いて1~2分のところにあります。
お店のなかに入るとコンクリートがむき出しの床、そして壁面のタイルは長年使い古された工場そのもの。そこにテーブルが置かれており、店内の薄暗さもまた落ち着きを感じさせてくれます。
人気ベーカリーから運ばれてきたという、独特な形ををしたパンが並んでおり、どれも食べてみたくなってしまうほど。バリスタが作るコーヒーもまた味わい深いものです。
小さいピザの形をしながら、冷めていてもジューシーな「オリーブベーコン(₩4,500)」、挟まれたバターのこってりさと小豆餡のほどよい甘味が調和する「餡バタースコーン(₩4,000)」、コーヒーの香ばしさが残る「アイスカフェラテ(₩5,000)」。
cafe onion(カペオニオン)は聖水店が1号店でしたが、人気を博してその後さらに2店舗をオープン。私たち外国人観光客としては仁寺洞の北側の安国店が訪れやすく、こちらは韓国の伝統家屋である韓屋(한옥・ハノク)を改造したお店となっています。
cafe onion(카페 어니언、カペオニオン)
店舗公式インスタグラム
営業時間:平日8:00~22:00、土日祝10:00~22:00
大林倉庫ギャラリーコラム(대림창고갤러리컬럼 デリムチャンゴ ゲルロリコルロム)
聖水洞を紹介するメディアで必ず取り上げられるのは「大林倉庫」。倉庫だった場所がカフェに生まれ変わりオープン。レンガ造りで風格が感じられるとともに、このあたりのリノベーションカフェの先駆けとなった店です。
店内ではビールやピザ、パスタなども味わうことができ、人気を博しています。倉庫がリノベーションされるとこんなにも居心地の良い空間になるのかと思えるほどです。
大林倉庫ギャラリーコラム
営業時間:11:00~23:00
NAVERプレイス
ソウルの森周辺のカフェ
ここまでお伝えしたところは聖水駅周辺のカフェですが、ソウルの森の北側にはカフェ通りがあります。公園のすぐそばのところに位置しているため、とても環境がよく落ち着いた雰囲気です。
散策がてらふとお店に入ってみるのも良いのではないかと思います。詳しくは緑豊かな公園とカフェの街・聖水洞(ソンスドン)・再開発進むソウルの森駅・トゥクソム駅周辺の記事をご覧ください。
次に気軽に入れそうな飲食店をご紹介します。
聖水洞(ソンスドン)のグルメ・ランチ
聖水洞で味わえるグルメ、ランチをご紹介します。
ウジョン豚食堂(우정돈식당 ウジョン トン シクタン)
次にお伝えする大林倉庫の向かいにある、白い外観の焼肉店、ウジョン豚食堂。この通りを歩いていると、店内も小綺麗な印象を受け、思わず店に飛び込んでしまいそう。「模範飲食店」のボードも掲げられています。
店内には「豚に人生をかける」と漢字交じりのハングルで書かれているなど、お店の意気込みが感じられます。しかもランチ特選メニューはお値段がお手頃。
ネギプルコギ定食(1人前7,500ウォン)で、あらかじめ炭火で焼かれたものが、青々しいネギとともに鉄板の上に置かれます。ネギ塩味なので辛くはなく安心です。(※焼肉店では2人前以上の注文が普通です)
[ネギプルコギ定食(1人前7,500ウォン、写真は1人分)]
青唐辛子が効いたピリ辛なテンジャンチゲも、アツアツでコクがあり、お肉とともに美味しくいただけます。聖水洞でおすすめの焼肉店です。
ウジョン豚食堂
営業時間:11:30~23:00
サムギョプサル(200g)14,000ウォン他
Naverプレイス
ショッピングモール・聖水連邦(성수연방・ソンスヨンバン)
2019年1月に登場したショッピングスポット、聖水連邦(성수연방・ソンスヨンバン)。こちらはライフスタイル複合空間として、生活雑貨が集まるインテリアショップ、雑貨なども並べられた書店、そして食堂などが入っています。
建物自体も聖水洞の倉庫に合うような色合いになっていて、落ち着いた雰囲気で町に調和しています。若者たちを中心に様々な世代の人たちが買い物にやってきます。
とくに1階はインテリア・雑貨の店があり、可愛い絵柄の食器や石鹸やアロマなどの芳香剤などが販売されています。韓国の雑貨が好きな方はこのモールのショップに探しに来るのも良いと思います。
中庭ではくつろげるようなパラソルとテーブルが置かれており、3階にあたる屋上は「天上家屋」というカフェにもなっていて、買い物やウィンドショッピングを愉しみつつ、ゆったりとした時間を過ごせそうです。
聖水連邦
営業時間:11:00~22:00
VISIT KOREA
※聖水(ソンス)洞のお隣の町、建大入口駅周辺。こちらにもコンテナモールあり、百貨店ありの繁華街です。
参考:地元アラハタ&アラサーの遊び場、建大入口~夜は漢江トゥクソムへ
【聖水洞後編】緑豊かな公園とカフェの街・聖水洞〜再開発進むソウルの森駅・トゥクソム駅周辺
ここまでの記事は町工場街である「聖水洞2街」を中心にお伝えしましたが、ソウルの森駅・トゥクソム駅を中心とするエリアは「聖水洞1街」です。
とくにソウルの森駅周辺が開発され、コンテナモールやタワービルが建っており、ここには芸能事務所のSMエンターテインメントやD MUSEUMなどが入居していることでも知られ、ますますにぎわいを見せています。
また前述のように公園の北側にはカフェもあり、休日に過ごす場所としても人気が高まっています。
以下の記事で聖水洞の後編として、聖水洞1街にあたるトゥクソム駅と、ソウルの森周辺のことをお伝えしていきます。より広く聖水洞を知りたい方はこちらをご覧ください。
動画でわかる聖水洞・前後編~SMエンタの新事務所、工場・倉庫のリノベカフェで人気!
ここまでは記事でこの街を紹介してきましたが、10分程度の動画で聖水洞(ソンスドン)の街を理解することができます。
この街にあるタワーマンション(高層アパート)にはジェジュンや、BTSのメンバーたちも入居したことでも有名です。
芸能人が暮らす街の雰囲気を感じ取りながら、この街を散策すると、より街歩きが楽しめるはずです。
聖水洞は新旧の雰囲気を楽しむのに最適!
このように町工場をリノベーションし、新たな風を吹き込むことで人気を集める街、聖水洞(ソンスドン)。いちど出かけてみると、この街の虜になってしまう人もいるかもしれません。
街を歩きつつ、カフェや食事を楽しみ、お気に入りの雑貨などを探してみてはいかがでしょうか。
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吉村剛史(よしむら・たけし) 1986年生まれ。ライター、他。1年8ヵ月のソウル滞在経験のほか、韓国100市郡以上・江原道全18市郡を踏破するなど、自分の目で見聞きした話を中心に韓国関連情報を伝えている。2021年1月にパブリブより初の書籍『ソウル25区=東京23区』を出版。2022年に韓国語能力試験(TOPIK)6級、2級ファイナンシャル・プランニング技能士取得。 ※韓国に関する記事制作やその他のご依頼もご相談ください。お問い合わせ 筆者プロフィール