景福宮・昌慶宮の夜間開放がおすすめ~もう一つの隠れた夜景スポットとは?
 2015/08/29 吉村剛史(トム・ハングル)

韓国では春、夏、秋など季節ごとに古宮の夜間開放が実施されています。古宮(故宮)とは、昔の宮殿のことですがここでは主に朝鮮時代に王や王族たちが暮らした場所を指すこととします。

ふだんは一部を除いて、日が出ている時間帯しか見学することができない古宮ですが、夜間開放の時期には古宮がライトアップされ、歴史建造物の美しい夜景を楽しむことができます。

ソウルの五大宮(景福宮、昌徳宮、昌慶宮、徳寿宮、宗廟)のなかでも夜間開放が行われているのは、景福宮と昌慶宮です。記事の最後に、隠れた夜間開放スポットとして、一カ所加えていますので最後まで読んでくださいね。

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[景福宮の正門・光化門]

とくに人気が高いイベントのため、安全面を考慮して入場制限をかけ、2015年夏現在、現地の人たちはインターネットによる抽選制となっています。65歳以上の高齢者と、外国人観光客は先着順による入場となっています。

もともと歴史建造物には興味がなかった私ですが、韓国に滞在しているとき夜間開放や紅葉の時期に訪れたら、古宮の魅力にはまってしまいました!

古宮は従来の時代劇ドラマに限らず、『トキメキ☆成均館スキャンダル』や『屋根部屋の皇太子(プリンス)』など10、20代に人気のスターたちが出演するフュージョン時代劇でもたびたび映されています。


[『トキメキ☆成均館スキャンダル』-Amazon.co.jp]

そんなこともあり「歴史はよくわからないから」という理由で古宮を訪れないのはもったいない!

夜間開放のとき夜の心地よい風に当たりながら宮殿を眺めると、さらにその魅力を感じることができるはずです。

景福宮(キョンボックン)の夜景

景福宮(キョンボックン)は、高麗の首都・開城(現・北朝鮮の地域)から漢陽(現・ソウル)へと遷都する際、朝鮮王朝の正宮として建設され、ここで王と王妃が暮らし政治を行いました。

しかし日本史の教科書でもよく知られている豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に、混乱のさなかで全焼。その後、正宮の機能は昌徳宮(チャンドックン)に移ります。

昌徳宮には裏庭にあたる後苑があり、そこを訪れるとよくわかりますが、自然の地形を崩さずに建物を配備したことなどが評価され、1997年に世界遺産に登録されました。

一方朝鮮王朝が始まる際に、中国の紫禁城をモデルに風水地理学的に最もよい場所に建てられた景福宮(キョンボックン)もなお、ソウルの顔として親しまれています。

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[夜間開放・チケット売り場に並ぶ人々]

景福宮の中へ足を踏み入れてみます。正殿にあたる勤政殿は公式行事が行われた場所。正殿を取り囲む回廊の柱は、夜に光があたるとより荘厳な雰囲気に感じられます。

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景福宮の外にあたる、鍾路(チョンノ)のほうを見渡すと、こんどはビルの夜景とのハーモニーもまた良し。現代と過去の融合として古宮を眺められるのも心地よいものです。

なるべく実際の様子を見ていただきたいため、写真は少なめにしておきますが、外国使節など来賓を招くときに宴を開いたとされる慶会楼(キョンフェリュ)。こちらは池に囲まれ、水面に光が跳ね返り、より優雅な印象を受けます。

朝鮮王朝がはじまった当初から、みやこソウルの中心された景福宮。夜に訪れるとより一層深みが増します。

景福宮・夜間開放(期間限定)
入場料:3,000ウォン
チケット購入:19時~
外国人先着順・パスポート持参
昌慶宮(チャンギョングン)の夜景

昌慶宮(チャンギョングン)は昌徳宮(チャンドックン)の東側に位置する宮殿で、正門の弘化門(ホンファムン)から一直線に続く、正殿の明政殿までが東の方角を向いています。

これは例外的なものであり、風水地理学的によるもの、という説もあります。実は後述する徳寿宮も正門は東を向いているのです。これもまた理由があります。

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[弘化門から正殿を望む]

昌慶宮は、観光客からすると景福宮や昌徳宮の影に隠れてしまっているようで、「他の古宮を訪れたけれど、昌慶宮には行ったことがない!」という方も多いと思います。ちなみに春は桜の名所でもあります。

鍾路5街駅前、広蔵市場の最も大きなゲートから北に歩いていくと10分~15分ほどのところに位置しており、天気の良い時には散歩しながら歩いてみるのにもほどよい距離です。また大学路(テハンノ)方面から歩いてもよいでしょう。

昌慶宮(チャンギョングン)もまた文禄の役のときに全焼して、その後再建。しかし1900年代に入り、日本による統治の過程のなかで昌慶宮内の建物を壊し、植物園や動物園、大きな池を作りました。名称も昌慶苑となります。

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日本統治時代以前の昌慶宮は、もっと建物が多かったようです。現在は建物が少ないぶん緑が多く、皮肉にも散策に適した場所になったわけですが、このような歴史的な背景もあります。

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こちらは昌慶宮にある大温室の夕景。韓国の全国の植物がこの温室に集められています。ちなみに内部は写真撮影禁止となっているのでご注意を。

ほかの宮殿の陰に隠れてしまっている印象の昌慶宮。夜間開放でなくてもおすすめの時期があります。桜の時期ももちろんですが、秋の紅葉の季節、宮内の池の回りを歩いて、散策するのもまたおすすめです。

昌慶宮・夜間開放(期間限定)
入場料:1,000ウォン
チケット購入:19時~
外国人先着順・パスポート持参
夜間開放としては忘れられがちの徳寿宮

徳寿宮(トクスグン)は、ソウル市庁前広場のすぐそばにあります。明洞(ミョンドン)からも歩いて5~10分の距離に位置するため、観光客にも訪れやすく、私が最も好きな古宮です。

ほかの古宮は普段午後5時、6時で閉場しますが、ここは夜9時まで入場可能なため、事実上、普段から夜間開放されているのが徳寿宮なのです。

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前述したように、実は徳寿宮の正門にあたる大漢門(テハンムン)は東向きとなっています。昌慶宮のような例外を除き、本来正殿や正門は南向きが原則ですが、徳寿宮の場合は周囲の交通事情から、のちにこちらが正門として使われるようになりました。

徳寿宮は文禄の役によりソウルの王宮が全焼したころから、宮殿として使われるようになりました。しかし朝鮮末期になり、列強が力を強めていた時代、ここが歴史の舞台となります。

朝鮮第26代王の高宗(コジョン)は、閔妃殺害事件を機にロシアに助けを求めて、ロシア公使館に逃亡するのです。その後、ロシア公使館に近い徳寿宮に身を移すことになります。

結局その後、日露戦争で日本が勝利をおさめたため、次第に実権を失い、遂には韓国が日本に併合されてしまいました。

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私が徳寿宮をおすすめする理由は、他の古宮にないものがあるから!それは、西洋式の建物と韓国の建物が混在しているという点です。写真の石造殿はイギリス人の建築家により建てられたもの。

ほかにも静観殿という洋風の建物があり、そこは高宗が休息の場として、来客をもてなす場として、使いました。高宗はコーヒーが好きだったことでも有名でここでコーヒーを飲んでいたそうですが、コーヒーに毒を混ぜた暗殺未遂事件も起きたほどでした。

徳寿宮では主に平日、音楽会などのイベントが開かれることがあり、もし日程が合う方は、催しが開かれる日に一度訪れてみるのもよいかもしれません。詳しい日程は徳寿宮のホームページ(韓国語)にて。

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徳寿宮の夜景の写真を持ち合わせていないため、とある夜、某団体が大漢門の前でろうそくデモを行っていたときの様子を代わりに掲載しておきます。

徳寿宮は「夜間開放」という名称では行われていませんが、従来から隠れた(?)夜間開放のスポットだということをここでご紹介しておきます。これからすぐにソウルを訪れる方でも、散策できる場所です。

入場料:1,000ウォン
毎日夜21時(入場20時)まで。月曜定休
Web:徳寿宮(韓国語)

●夜間開放の予約について
2016年には春、夏、秋、冬の年4回に拡大。月ごとに行われることになりました。
予約及び詳しい日程はこちら⇒:夜間開放予約サイト(Interpark)

●歴史夜景スポット
ソウルには、他にも歴史に関連した夜景スポットがあります。明洞聖堂や、駱山公園もそのひとつ。もし気になる方はこちらの記事もどうぞ。参考:ソウルの歴史夜景プチさんぽ

またソウルから地下鉄で約1時間のところにある水原(スウォン)に位置する、世界遺産・水原華城でも夜間開放が行われます。2015年は夏に行われましたが、お時間の許す方はこちらもいかがでしょうか。


記事に関連するエリア情報はこちら:ソウル光化門・景福宮


トム・ハングルの韓国旅行ひとこと
ソウルの古宮の歴史をさかのぼってみると「日本との戦乱の際の混乱で破壊された」「日本統治時代に元の姿を失った」などという話が出てきます。このような事実も知っておくべきことではあります。

しかしながら、古宮の夜の世界を楽しむにあたっては、そのような過去の話は頭の片隅にとどめておくことにしましょう。春、夏、秋、それぞれの季節ごとの夜風に吹かれながら、愉しんでみることをおすすめします。

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トム・ハングル(吉村剛史)
吉村剛史(よしむら・たけし) 1986年生まれ。31歳。2012年に韓国文化誌『スッカラ』でデビュー、その後韓国旅行、語学Webの編集・ライターを経て、文化センター講座、トークイベントでの発信も。1年8ヵ月のソウル滞在経験のほか、韓国100市郡以上を踏破するなど、地方にも関心が高い。平昌五輪開催の江原道公式ブログにも寄稿中。プロフィールお問い合わせ


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