進化を続けるケランパンの秘密
 吉村剛史(トム・ハングル)
 2013/02/17 改:2016/02/18 

ソウルや釜山、地方の繁華街や市場を歩いていると、ちらほらと目に留まり、思わず立ち止まりたくなる屋台。特に冬の厳寒期には、露店からふわりと湧き上がる湯気につられ、屋台でついつい、食べてしまうもの。

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釜山・南浦洞の露店(パラソル式)

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ソウル・鍾路3街の露店(ビニールハウス式)

屋台の種類は様々で、韓国式おでん、トッポッキ、マンドゥ(肉まん)、ティギム(天ぷら)、ワップル(ワッフル)、スンデ、チキン、タッコチ(焼鳥)など

そして韓国の屋台フードメニューとして定着したケランパン。これまでは「丸ごと卵が一つ入った今川焼き、大判焼き」という食べものとして知られてきましたが、今やこの定義には当てはまらないほど進化を続けています。

ちなみにソウルの名門女子大学、梨花女子大前の通りには、露店(屋台)がずらりと並んでいます。女子大だけにハイセンスなものが登場しやすいのですが、そこに登場したのがチーズケランパン。

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チーズケランパン

ふんわり膨らんだケランパンの表面にチーズがかけられ、その部分がちょうどいい具合に焦げた感じ。食べた印象としては、もう少しチーズが濃厚で塩気が効いたら美味しくなるかな、と個人的には思いますが、梨大(イデ)周辺に来たら、食べてみてください。

チーズケランパン1,000ウォン。物価上昇に伴いケランパンも価格上昇中です。

昨年(2012年)に鍾路3街の屋台街で見かけたのは、ウィンナー入りのケランパン。食べてみたらウィンナーの切れ端がひょこっと飛び出しました。
こういう変わり種はときどき出てくるようですが、今後広まるかはわかりません。

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<ウィンナーがひょっこり出てきました。>

韓国のケランパンの分類

さて2012年1月に、私がブログ記事として書いた分類をもう一度整理してみることにしました。

私がブログで書いた分類をもう一度整理。1.今川焼きタイプ、2.パンケーキタイプ、3.梨大前ふわふわパンケーキタイプ、4.ホットケーキタイプ
韓国のケランパン分類(公開終了)

以上4タイプでしたが、4番のホットケーキタイプは東京・新大久保のコリアンタウンで登場したものなので、今回は除外することにして、様々な種類のケランパンを見ていきたいと思います。

ケランパンの大分類~1.今川焼きタイプ

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写真は釜山・徳川(トクチョン)で購入したもの。これには文字が入っていますが、形としては元祖ケランパン。しっかりと卵が中に納まり、外からは何が入っているかわかりません。まさに今川焼きタイプです。

これが当初のケランパンですが、最近のソウルではこのタイプが珍しいほどになり、ときどき見かける程度です。少々大げさに言うならば、「今川焼きタイプ=絶滅危惧種」といえるでしょう。

ケランパンの大分類~2.パンケーキタイプ

現在ではこれが主流となりました。「パンケーキ」という表現が正しいかどうかはわかりませんが、このタイプに関しては、見た目が今川焼きや大判焼きとは別物でしょう。

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今川焼からちょっと進化した形、外から卵が見える

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卵が外から見えるタイプは今川焼きとは言い難い

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パンがふっくらして今川焼きどころか、ケーキ

ケランパンの説明を「丸ごと卵が一つ入ったパンケーキ」と改めるべきときが来た、と言えるのかもしれません。パンケーキというと、人によってはホットケーキのイメージが強くなるので、何か良い表現が見つかれば改めてお伝えできれば、と思います。

梨大前ふわふわパンケーキタイプは、2番に分類

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昨年は梨大前ふわふわパンケーキタイプを3番としましたが、2のパンケーキタイプの分類に入れることにしました。

2の「パンケーキタイプ」の進化形態ともいえるかもしれませんが、写真のように、上の部分が外にはみ出すほどふわふわしているものは、梨大前以外ではあまり広まってはいないようです。

というわけで、1.今川焼きタイプ、2.パンケーキタイプと同格に分類するのは、まだ早いというのが結論です。

冒頭で述べたチーズケランパンのお店では、実は昨年このふわふわタイプが売られていたのです。つまり梨大前ふわふわパンケーキタイプは、この店のオリジナル商品というべき。ふわふわタイプの次作にあたるのが、チーズケランパンということになるようです。

ケランパンのまとめと新たな定義

◎韓国の屋台フード「ケランパン」は今川焼きタイプから、パンケーキタイプへの移行が確実に進んでいる。

◎ケランパンの新たな定義
卵が丸ごと入った今川焼き、もしくはパンケーキ。




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トム・ハングルの韓国旅行ひとこと
トム・ハングルは、韓国滞在中いろいろとケランパンを食べましたが、700ウォン~1,000ウォンのケランパンひとつにしても、丁寧に作っていると感じられるものは、やはり美味しいです。

かつて500ウォンが相場だったケランパンも、最近ではほかの品物同様、物価上昇を続けています。ただ庶民に愛される屋台フード、そして日本人の口に合う屋台フードであることは事実です。



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