全州マッコリタウン~お膳の脚が折れるほどのおつまみに仰天!
 2015/10/10 吉村剛史(トム・ハングル)

LCC(格安航空会社)の普及により、飛行機が庶民の乗り物へと変わりつつあるこの時代。観光客が世界中を飛び交うなか、各国は観光客の誘致を熱心に取り組み、日本では「おもてなし」というキーワードが注目されています。

韓国旅行ではどうでしょうか。韓国流の「おもてなし」といってまず思い浮かぶもの。その一つが、食卓を豪華に飾る色とりどりのおかず、といえます。

初めて韓国旅行に出かけたとき、注文してもいないのにキムチやナムルがサービスとして提供され、しかもおかわりまで無料。

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リピーターともなれば、そのときの驚きの感覚を忘れてしまいがちですが、改めて思い返してみれば、バランスよく様々な栄養素をとることができ、大量の野菜で満腹感も得られるうえにヘルシーという、韓国ならではの食文化を感じることができるでしょう。

全州ってどんな街?

なかでも食文化に優れた地域といえば、韓国西南部に位置する全羅道(チョルラド)という地域がよく知られています。別名、湖南(ホナム)と言われる地域で、韓国有数の米どころでもある湖南平野が広がっています。

一方で西側は海に面しており、内陸には山ありで多種多様な食材が調達できる場所柄です。

全羅道の「全」にあたる都市が、全羅北道・全州(チョンジュ)。後百済(900~936)の都、完州(ワンジュ)として栄え、朝鮮王朝の歴代王たちの血統である、全州李氏の発祥の地でもあります。

●ソウルから約3時間。無料シャトルバスも人気!
ソウルからは南におよそ230キロメートル。龍山(ヨンサン)駅からは、高速鉄道KTXで約2時間20分、高速バスでは約3時間ほど。近年は週末、外国人無料シャトルバスが運行され、予約をすれば無料で行けます。参考:全州無料シャトルバス
※2016年は有料、2017年は未定(2017/2/23追記)

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[全州の地図]

全州の地域ブランドとして最も名が知られているのが、全州ビビンバ。20種類以上もの豊富な食材がご飯のうえにのせられ、真っ赤なコチュジャンとともに彩り豊かな見栄え。米一粒一粒にしっかり味がいきわたるようにかき混ぜて食べます。

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全州は2010年以降、地方観光誘致の政策が功を奏してか、観光客が激増。韓国の伝統家屋が立ち並び、落ち着いた古き良き街並みも、人気観光スポットとしてにぎわいを見せる街へと豹変したのです。

マッコリタウンは数カ所、意外にも閑静な住宅街のなかに・・・

全州の観光の中心となるのが、全州韓屋村。ここ数年のあいだに一気に観光地化しました。日本統治時代、日本の植民地支配に対抗する形で韓屋村が形成された、といわれています。

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その韓屋村からタクシーで10~15分のところに数カ所点在するのが全州マッコリタウン。西新洞、三川洞などがよく知られています。

マッコリタウンと言って、街を見渡してみても、これといって何があるわけでもありません。周辺は閑静な住宅街だったり、近くに学校があったりするような場所です。そこにマッコリとおつまみを供する飲食店がずらりと集まっているのです。

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[三川洞の様子]

そんな場所で、マッコリとおつまみの宴が繰り広げられる、という日常感あふれる街。これがマッコリタウンなのです。

なんとおつまみの料理は無料!驚くべき、マッコリタウンのシステム

マッコリタウンにあるお店では、マッコリをやかんで注文すると、テーブルに乗りきらないほどのおつまみが、無料で出てくるシステム。やかんにはマッコリ3本分(750ml×3)のマッコリが注がれます。

料金システムはお店によって異なりますが、やかん一つ15,000ウォン~20,000ウォン前後(約1500円~2,000円)、一本のみを注文時は2,000~5,000ウォン(約200~500円)追加となります。最近は物価が上がる傾向にあるので、多少の変動はあります。

このときは、西新洞の有名店へ。注文すると、まずはやかんマッコリが登場!2リットル以上も入っているだけあって、大きめです。最初にすぐつまめるおつまみが並びます。茹で卵や、ポンテギとよばれる蚕のサナギなど。

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キムチやナムルはもちろん肉や魚、鍋など。お皿を数えてみると、なんと15種類以上の料理。

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韓国ではテーブルのうえに乗ったたくさんのご馳走を「お膳の脚が折れる(상다리가 부러지다、サンダリガプロジダ)」と表現しますが、まさにこのこと。すべて食べきれるはずもないので、まずはは一通りを味わってみましょう!

大根と魚の煮物に、ヤンニョムケジャン(ワタリガニの薬味和え)、チャプチェなど様々なおかずが並びます。マッコリ自体でお腹が膨れてしまうので、みんなでつまんでいても余ってしまうのではないかというほどたくさん。

マッコリが足りなくなったら、やかんを追加注文しましょう。(追加時15,000ウォン程度、約1,500円)。すると、さらにおつまみを追加してくれます。お店によっては、2回目の注文、3回目の注文と増えるにつれて、特別料理が出てくるのでそれを楽しみに、飲みましょう!

私が訪れたときはひとりだったので、マッコリ2本、3本と注文することができませんでした。隣に座っていグループが、もう食べきれないと、3本目に出てくる食べ物をくださったのが下の写真の小さなおにぎりです。

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時には隣に座っている方々と一緒になって飲んだり、話したりと、国際交流が楽しめたりもします。

●店によっておつまみが異なる
一方、三川洞のとあるお店に出かけてみたときは、海産物のおつまみが多めでした。ムール貝やウズラの卵のほか、チジミなどが並び、マッコリによくあう豆腐キムチまで。

ソウルでは注文しなければ出てこないおつまみハイ貝(コマク)や、サンマを外干ししたグァメギなどのおつまみが並びます。さらには鍋もついてくるという豪華さ。

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マッコリを楽しむのは十分すぎるほどのおつまみが並びます。お店や時期によっても、出てくるおつまみが異なり、その中身も馴染みのあるものから、他の地域では目にすることのないものまで様々です。

お酒を楽しむより、宴を楽しむ

マッコリタウンでは、マッコリやおつまみの味を楽しむのもよいですが、むしろそれよりも雰囲気を楽しむ、のがおすすめ。暗くなるにつれて、地元の人たちが仕事を終えてここに集まってきます。

基本のおつまみやおかずは無料、というのが韓国の飲食のシステム。豊かな食文化をもち、サービス精神旺盛な全羅道の方々は、他の地域よりもさらに多くの料理を出してくれます。

こんなにサービスしてもらったら、お店の経営は大丈夫?とかえって心配してしまうほど。韓国流の「おもてなし」を存分に満喫できるに違いありません。



トム・ハングルの韓国旅行ひとこと
お酒はみんなで楽しく飲むもの!やかんでの注文を基本とするマッコリタウンのお店は、ぜひグループで訪れましょう。ひとり旅でもマッコリタウンに入ってみたい!という方もいらっしゃるはず。実は私もそのタイプ。しかし、マッコリ3本はひとりで飲めません。

「2本分だけください」と伝えました。値段は同じですが、時にはそういう方法もありです。ひとりだと他のお客さんが話しかけてくることもあって、かえって楽しめたりすることもあります。全州を訪れたら一度は訪れていただきたいマッコリタウン。ぜひ全州の酒文化を楽しんでみてください。

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トム・ハングル(吉村剛史)
吉村剛史(よしむら・たけし) 1986年生まれ。31歳。2012年に韓国文化誌『スッカラ』でデビュー、その後韓国旅行、語学Webの編集・ライターを経て、文化センター講座、トークイベントでの発信も。1年8ヵ月のソウル滞在経験のほか、韓国100市郡以上を踏破するなど、地方にも関心が高い。平昌五輪開催の江原道公式ブログにも寄稿中。プロフィールお問い合わせ


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