山あいの街の賑やかな五日市~素朴なグルメが揃う旌善(チョンソン)

平昌五輪の開催地としては平昌のほかに、スケート競技が行われる江陵(カンヌン)がしばしば話題にあがりますが、アルペンスキーなどは「旌善(チョンソン)」で行われます。

競技数が少ないこともあってか、どうしてもクローズアップされにくいのですが、「旌善」という街の存在も、これを機会にぜひ覚えていただきたいのです。

●旌善(チョンソン)のアクセスは?
旌善へのアクセスは、ソウル・清涼里駅からは列車で約3時間50分、東ソウルターミナルから直行バスで約2時間30分のところに位置する山あいの街。鉄道のほうが時間がかかります。

私が訪れた日は、清涼里駅発8時10分の列車に乗り、旌善に到着したのがお昼をまわった頃。帰りは18時前に出発する列車に乗り、再びソウルへ戻ったときには21時半を回っていました。


[旌善(チョンソン)駅]

ソウルから一日かけて日帰りで旅をしても満足できる場所ではあるのですが、「このために時間をかけていくのはちょっと・・・」という方は、江陵や平昌へ出かけるついでに立ち寄ってみても良いでしょう。ただし訪れる日程の確認は重要事項です。

江陵からは市外バスで約1時間40分、平昌方面からは30分~1時間(バスはおおよそ1時間に1本)です。


[旌善(チョンソン)周辺地図 ※所要時間は市外バス利用]

江陵で海を眺めながら刺身を堪能し、牧場のある平昌(ピョンチャン)や山に囲まれた旌善(チョンソン)で、美味しい空気を吸いながら山の幸を味わう。平昌五輪が開催されるこれらのエリアは、江原道の魅力が存分に詰まった地域なのです。

●旌善アリラン市場、旌善五日市(정선아리랑시장、정선오일장)
旌善の代表的な観光名所といえば、旌善アリラン市場(旌善五日市)。

山間部のような人口が少ない地域では、市場は五日に一度だけ。「五日市」とも訳されますが、旌善アリラン市場では末尾に2と7 の付く日、つまり2、7、12、17、22、27日に市が開かれるのです。

旌善(チョンソン)は、韓国の民謡「アリラン」の代表格のひとつ、「旌善アリラン」で有名な地域。80年代までは炭鉱の街として賑わっていましたが、その後、人口も減少の一途をたどります。

しかしここ数年、旌善五日市(チョンソン・オイルジャン)は地方の観光振興の波に乗り、「旌善アリラン市場」という名前となり、韓国各地から多くの観光客がやってくるのです。


[旌善アリラン市場]

わたしが地方各地の市場を訪れたなかでも、旌善アリラン市場はおすすめしたい市場のひとつ。五日市のなかでは規模も大きく賑わっており、旅情を感じながら市場巡りをしたい方には気に入ってもらえる場所です。

地方旅行をされる方にはぜひとも一度、立ち寄ってほしいと思いますし、現地の韓国人の友人と一緒に出掛けても、お互いに新たな発見があることでしょう。

市場は地域の台所でもあり、様々な食材が売られている一方、観光客を意識した特産品が売られています。

なかでも高麗アザミ(コンドゥレナムル、곤드레나물)や、オタカラコウ(コムチュィ、곰취)といった山菜が並べられているのはこの近辺の市場ならではの光景。

また江原道の山間部で名物とされる素朴なグルメも、この市場にはすべて集まっています。一挙に江原道の味を愉しめるのです。

●旌善五日市のグルメ
旌善アリラン市場に行ったら、ぜひ味わってみたい特徴的な料理をご紹介します。

・高麗アザミご飯(コンドゥレナムルパッ、곤드레나물밥)
コンドゥレ(ナムル)は、高麗アザミのこと。江原道、とりわけ旌善の名物の山菜です。お膳の上に出されたとき、温かなご飯の湯気に山菜の香りがふわっと漂います。これがなんとも味わい深いのです。


[コンドゥレナムルパッ]

コンドゥレには軽くえごま油がまぶされていますが、それに薬味醤油や味噌をのせ、ほかほかのご飯をほおばります。これは旌善にやってきたら必ず召し上がっていただきたい逸品です。高麗アザミご飯は5,000~6,000ウォン。

・鼻打ち麺(コットゥンチギ、콧등치기)
コットゥンチギは「鼻筋をうつようなコシの強い麺」という意味の太麺のそば。江原道の山間部ではそばが名物ですが、旌善(チョンソン)ではこの「鼻打ち麺」を冷たくして食べます。


[コットゥンチギ]

海苔やすりごまのほか、キムチがのせられており、ほどよい酸味と冷たくさっぱりとした薄口のスープは夏の季節にもよく合います。鼻打ち麺は5,000ウォン。

・キビのお焼き(ススブクミ、수수부꾸미)
こちらは高麗アザミご飯の店で食べたススブクミ。キビの生地を焼き、そこに餡(あん)を挟み込んだもの。餡の甘味はほんのり、といった印象で、素朴なおやつ、とでもいえばよいでしょうか。


[ススブクミ]

後述のそばのお焼きと一緒に注文して、盛り合わせのように食べる様子は、市場を訪れた方々のSNSにもアップされています。ススブクミは2,000~3,000ウォン。

●アリランの文化公演も
市場内でも小さな文化公演が行われますが、旌善を訪れたら見ておきたいのが旌善アリラン。


[公演ポスター《旌善アリラン文化財団より引用》]

五日市が開かれる日の午後2時~3時まで、市場近くのアリランセンターで、旌善アリラン劇の公演が行われます。料金は5,000ウォンなのですが、5,000ウォン分の地域商品券と引き換えになるので、実質無料です。


[旌善アリラン商品券(見本)]

年によって劇の内容が入れ替わりますが、ミュージカルのようなイメージで観覧できるので、言葉がわからなくても(※かなり難しめ)それなりに楽しめるでしょう。

韓国語がわかる方は、事前にホームページから当該年度の公演内容のポスターをチェックしておき、ストーリーを頭に入れておくと、より理解が深まるでしょう。参考:旌善アリラン文化財団

●マッコリを飲んで、コンドゥレ・マンドゥレ
公演が終わったあと、商品券5,000ウォンを握りしめて市場へ戻ります。お昼どきの市場よりも人が減っていましたが、食事よりもおやつの時間帯、ということで蕎麦のお焼きなどがよく売れているようでした。


[市場のお食事処]

私も食べたくなり、メミルジョン(蕎麦チヂミ、1,000ウォン)と、メミルチョンビョン(蕎麦の生地に具材を入れたお焼き、1,000ウォン)、そしてコンドゥレ・マッコリ(高麗アザミマッコリ)を注文。

素朴なうえに値段もとっても安い。おなかを満たせる上に、それなりに美味しい。これが江原道プライス。

コンドゥレ・マッコリ。ちなみに「コンドゥレ(곤드레)」とは、酔いつぶれたときに表現される「ぐてんぐてん、べろんべろん」という意味の擬態語、”곤드레 만드레(コンドゥレ・マンドゥレ)”という言葉が由来。

アザミの葉が風になびくとき「ぐてんぐてん」に見えることからこのような名前が付いたとか。

1リットルもあるマッコリをひとりで飲んだら、私も「コンドゥレ・マンドゥレ」になってしまったのですが、その様子をおさめたのがこの写真!


[写真を見て酔わないように注意]

●江原道のすべてをココで。
江原道で最も大きな五日市、旌善アリラン市場。この市場にやってきて、山々を望みながら、特産物を買い、素朴な名物料理を食べ、美味しい空気を吸いつつ、マッコリを飲めば、江原道の山間部のすべてを満喫することができるでしょう。

ひとり旅でもグループ旅行でも、韓国人の現地の友人とも、一緒に楽しめるのがこの市場の魅力。繰り返しになりますが、ぜひとも一度は訪れて頂きたい山あいの街、旌善の市場です。


記事に関連するエリア情報はこちら:旌善江原道


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トム・ハングル
吉村剛史(よしむら・たけし) 1986年生まれ。韓国旅行・地方旅の総合発信者。2012年に韓国文化誌『スッカラ』でデビュー、その後韓国旅行、語学Webの編集・ライターを経て、講座、トークイベントでの発信も。これまで韓国100市郡以上を踏破。平昌五輪開催の江原道公式ブログにも寄稿中。プロフィールお問い合わせ


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