鍾路3街のディープすぎるシニア街、楽園洞
 2017/06/18 吉村剛史(トム・ハングル)

ソウル・鍾路3街(チョンノサムガ)駅を出て少し歩いた仁寺洞(インサドン)の入口にはタプコル公園という広場があります。1919年3月1日の三・一独立運動の発祥の地としても知られていますが、これまでソウルの中心にある憩いの場としても親しまれてきました。

今では日中、リタイアしたシニア層、とりわけ独居老人たちが集まる場所になっています。ひなたぼっこをしながら、会話をしたり、囲碁をさしたりと、愉しんでいるようですが、その一方では貧困層が多い、ともいわれます。


[タプコル公園裏手]

ここは楽園洞(ナグォンドン)と呼ばれるエリア。観光客が多い仁寺洞(インサドン)のすぐ隣ですが、ほとんど観光客はいません。大通りの向かい側は語学学校のほか、中層ビルが立ち並ぶ商業地区。

特に昼間、おじいさんたちしかいない光景は、ソウルのなかでもかなり異質だといえますが、この記事ではそんな場所を見ていきます。

鍾路3街の闇とディープな理由

鍾路3街のタプコル公園や、宗廟(チョンミョ)におじいさんたちが集まっている理由として噂されているのは、売春を行う女性の存在。(※ただし大部分の人は憩いの場を目的としてと集まっているはずです)

女性といってもかなり高齢な女性たち。低価格で商売をしているようです(もちろん違法)。近くは連れ込み宿(旅館)やモーテルが多いことも特徴です。


[タプコル公園裏手の通り(前後の文章と、この写真は無関係)]

実際、2015年2月2日のJTBCニュースでは、このエリアの地下にあたる鍾路3街駅コンコースが無法地帯となっていることが報道されています。駅の地べたでお酒を量り売りしたり、その場にいる男性に対して売春をもちかける女性がいる、と伝えられているのです。

実際のところ、集まっているのは高齢者ばかりで実害がないため、必ずしも治安が悪化している、とは言いがたいのですが、決して風紀がよいとは言えないでしょう。鍾路3街の町を知るうえで、そういった闇があることを頭に入れておいていただければと思います。

ソウル最安値!チープな飲食街、理髪店そして露天商

おじいさんたちの集うタプコル公園の裏手には、価格の安い飲食店や、理髪店が集まっています。旅行客がこのエリアを訪れて、お店に入るのは躊躇ってしまうのですが、勇気がある方は入ってみましょう。


[ソウル最安値の飲食店・理髪店が多く集まる]

理髪店は、カットが3,500ウォン(約350円)、カラーリングが5,000ウォン(約500円)と、男性カットは一般の理髪店の相場の半分程度(値段は多少値上がりしている可能性があります)。丸刈りならヘアカットを気にせず切ってもらえるので、「安ければよい」という方にはおすすめできます。

飲食店はどうでしょうか。この界隈で主にメディアに取り上げられているのは、お店の軒下に冷麺の製麺機がある「ユジン食堂」や、わずか2,000ウォンなのに、美味しいクッパが食べられる「ソムナンチプ・クッパプ専門」です。

これらの店は長い間営業しており、評判の良いお店。詳しくは「庶民派グルメの宝庫、鍾路3街の屋台&食堂街さんぽ」をご覧ください。

●とにかく安い!
観光客におすすめできるか、はさておき、この通りで食べられる超チープグルメの数々をご紹介しておきたいと思います。お店はリタイアした高齢者を相手にしているため、価格もかなり安く抑えられているのです。


[このエリアのお店のイメージとして]

飲食店は食事もできて、お酒も飲める場所なのですが、なんといっても値段が安い!外見からすると、入りにくいお店も多いのですが、少し勇気をもって(?)チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

注目なのは、わずか4,500ウォンの「タッカンマリ」。「タッカンマリ」とは鶏一羽、という意味なのですが、小さなサイズの鶏が一羽丸ごと入っています。ナツメも入っており、滋養強壮にもよいといえるでしょう。


[4,500ウォンのタッカンマリ]

他の店では、プゴクッ(干したらのスープ)が2,000ウォン(約200円)。乾燥タラのみならず、溶いた卵もしっかり入っています。この界隈のヘジャンクッ(酔い覚ましスープ)は2,000ウォンが相場。ご飯もついているので、安く食事をしたい方にはよいでしょう。

●夜も実費程度で飲めるお酒、焼肉も最安値レベル
夜はなんといっても、実費程度で飲めるお酒に注目。マッコリや焼酎が1本1,500ウォン。焼肉のテジカルビ(豚カルビ)や塩焼き、サムギョプサルは1人前6,000ウォン。(現在、500ウォン~1,000ウォン値上がっている可能性あり)。


[メニューが豊富なのに、すべて超チープ]

なんと焼肉は1人前からの注文も可能!小さな鉄板が用意され、テーブルの上でグツグツと・・・。


[1人前の塩焼き(소금구이)]

また、マッコリと軽いおつまみを注文するのもグッド。お酒はコンビニの価格より少し高いくらい。コンビニのテーブルで飲むのであれば、このエリアで飲んだらかなり安上がりです。

[マッコリとキムチ]

韓国では一人酒は好まれませんが、ここなら一人でも心配ありません。ただし、客層は高齢者ばかりなので、若い人がお店に入ると少し驚かれるかもしれませんが、堂々と注文されてみてはいかがでしょうか。

やはり旅行者向けとは言い難いですし、値段を超えた質を求める、という方には向かないでしょう。しかし安く食事をしたい、という方や、現地のシニア層が訪れる店に入ってみたいという方にはよいでしょう。「おなかを満たす」という意味では、かなりコスパが良いといえます。

隠れた鍾路3街を知るために

ここ最近、若い世代にも注目されるようになってきた鍾路3街(チョンノサムガ)。屋外でお酒が飲める屋台街や、路地裏の焼肉店の雰囲気は、何とも言えない良さがあります。

しかしその他の路地では、おじいさんたちが集まり、他のエリアにはない異質な雰囲気を醸し出しているのです。ちょっとしたフィールドワークのつもりで、鍾路3街を散策してみてはいかがでしょうか。

一般の観光客向けの鍾路3街はこちらの記事をご覧ください。

※この記事に記載された価格は、多少値上がりしている可能性があることをご了承ください。



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トム・ハングル(吉村剛史)
吉村剛史(よしむら・たけし) 1986年生まれ。31歳。2012年に韓国文化誌『スッカラ』でデビュー、その後韓国旅行、語学Webの編集・ライターを経て、文化センター講座、トークイベントでの発信も。1年8ヵ月のソウル滞在経験のほか、韓国100市郡以上を踏破するなど、地方にも関心が高い。平昌五輪開催の江原道公式ブログにも寄稿中。プロフィールお問い合わせ


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