回基(フェギ)のパジョン通り~イモネワンパジョンほか
吉村剛史(トム・ハングル)
2013/11/19 改:2017/04/16
韓国旅行のリピーターともなると、どうしても知りたくなるのが、現地の人が訪れるお店。ガイドブックには掲載されないエリアであっても、行ってみたくなるものです。
今回はソウル北東部にある回基(フェギ)というエリア。東大門駅から地下鉄1号線で約10分、5つ目の駅にあたります。回基駅近くには名門・慶熙(キョンヒ)大学校や、ソウル市立大学校があり、隣の駅には韓国外国語大学校があります。
回基駅から慶熙大学校へ向かう通りやその路地には、学生たちがよく訪れる飲食店が集まっています。食べ放題の店やカフェ、個人経営風のお店からチェーン店まで様々。コスメショップや、セレクトショップもちらほら。
[回基駅前]
ただし学生街とはいえ、少し奥に入ると閑静な住宅街。繁華街の雰囲気とはまた異なります。観光エリア:回基
回基駅パジョン通り
ソウル・回基駅近くには、パジョン通りがあります。パジョン(파전)とは、簡単にいうと「ネギチヂミ」のこと。回基パジョン通りのパジョンは、一味違います。モチモチしているというよりも、表面を揚げたようなサクッとした食感のお店が多いのです。
ちなみに韓国の特徴ある同業街では、ここ数年観光地化を目指してか、表示がされるようになっています。ここ最近、パジョン通りにもゲートが設置されるようになりました。
[回基(フェギ)駅パジョン通り 2016年撮影]
回基駅パジョン通りは駅の改札を出て左の階段を下り、道なりに直進し1~2分のところに位置します。近くにはベネキアホテルがあり、宿泊先としても選ばれています。
[夜のパジョン通り・2011年撮影]
泊まりについでにお酒を飲みたい方にとっては、パジョン通りで一杯飲んで、そのまま宿泊するにもよいでしょうし、学生たちと混じって飲み明かすのも楽しいかもしれません。
回基・イモネワンパジョン
回基パジョン通りのなかで、元祖とされているのが「ナグネパジョン本店」。こちらは高麗大学校周辺にもお店があります。今回訪れたのはイモネワンパジョンというお店です。
[イモネワンパジョン]
パジョンは、お店により多少の違いがあります。基本的にどの店に入ってもそれなりに愉しめるはずですが、パジョン以外の料理も食べたい場合は、コースメニューが豊富なイモネワンパジョンがおすすめです。
最も高いAコースでも、一人5,000ウォンほどだった
私はあるとき、香港、中国の友達に誘われて、全部で6人。日本人は私一人、という完全アウエーで行ったお店だったのですが、そのボリュームと価格に驚いたのです。
訪れた時間は深夜だったのですが、さすが韓国の飲酒文化。夜遅くまで学生や若者たちがたくさん集まっていて、にぎやかでした。若いメンバーで行くとお店側も年齢確認も行います。
●コースメニュー
このお店ではコースメニューの設定となっており、そのコースは最も安い15,000ウォンから、最も高い27,000ウォン。パジョンなどは単品での注文も可能。
6人で行ったのですが、「この人数ならAセットだね」と言われ、27,000ウォンのセットを注文。そしてマッコリを注文します。これだけならお酒も含めると、わずか1人5,000ウォンとなります。
[メインとなるパジョン]
パジョンは前述のとおり、この界隈ではわりと厚め。表面をカリカリっと焼く店が多いのが特徴です。
[マッコリ登場]
お通しのように出てくるのが、乾パンに砂糖をまぶしたもの。
そうなんです、実はマッコリのおつまみに乾パンはよくあうのです!私も一人で飲むときには乾パンをおつまみにしていました。
水分がないだけあって、マッコリに染み出されるような、イメージとしては、牛乳にパンを浸して食べるような感覚です。
こちらがタットリタン。鶏肉を炒め、辛く煮た料理。タットリタンの「トリ」は日本語由来。正しくは「タッポクムタン(닭볶음탕)」だとして韓国の方に言いがかりを付けられるのですが、ここではタットリタンという名前になっています。
さらに焼魚まで。肉料理の鍋に加えて、焼魚が出るというのは、珍しいですし、かなり豪華。パジョンと焼魚、という組み合わせも、あまり目にすることがないように思います。
ここは学生街。「若い人にいろいろと食べさせよう」というメッセージが伝わってくるようです。
そして・・・
さらに、アルミホイルのコーンが出てきます。これは、このお店の隠れた名物。コーンバターではなく、クリームソースです。これもちょっとしたおつまみとしてよいものです。
そして、トッポッキも!
学生街の酒場でもこれだけ食べさせてくれるというお店は、そんなに多くはないはずです。ボリュームだけでなく、おすすめできる美味しいお店です。
<店舗情報>
イモネワンパジョン(이모네왕파전)
ソウル・回基駅の慶熙大学校側出口徒歩2~3分。
パジョン通り、その他のお店の特徴は?
回基・パジョン通りにあるパジョン店のうち、他のお店をご紹介しておきましょう!
●ナグネパジョン(나그내파전)
ナグネは「旅人」の意味。パジョン通りの元祖のお店として知られています。このお店は高麗大学、漢陽大学前にもあるお店。名物は唐辛子を揚げた「コチュティギム」。
[外観は高麗大学前のナグネパジョン]
唐辛子のなかに肉が入っていて、さらにカリッと揚げられています。ピーマンの肉詰めみたいな印象。私は高麗大学前のお店で食べました。そのとき写真は撮っていないので外観写真のみ。
●ナクソパジョン(낙서파전)
ナクソは「落書き」の意味。店内も落書きでいっぱい。調べてみるとこのお店のパジョン。「トンカツパジョン」と呼ばれているのだそう。大きな板の上に、小さな四角に切り込まれた厚いパジョンが出てきます。
他の店よりもカリッとしているのが特徴。私が最初にパジョン通りで食べたお店。
それぞれ特徴があるので、チャンスがあれば食べ比べてみてください。
回基周辺の散策も
通常の旅行であれば、回基駅周辺はこれといった見どころがありません。大学のキャンパスを散策してみたり、学生街を散歩してみたりする程度でしょう。
お土産を購入するのであれば、隣にある清涼里(チョンニャンニ)駅のロッテマートやロッテ百貨店で買い物をしてもよいかもしれません。清涼里駅前からは仁川空港駅のリムジンバスも出ているため、宿泊先から直接空港に向かうにも非常に便利な場所です。
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吉村剛史(よしむら・たけし) 1986年生まれ。ライター、他。1年8ヵ月のソウル滞在経験のほか、韓国100市郡以上・江原道全18市郡を踏破するなど、自分の目で見聞きした話を中心に韓国関連情報を伝えている。2021年1月にパブリブより初の書籍『ソウル25区=東京23区』を出版。2022年に韓国語能力試験(TOPIK)6級、2級ファイナンシャル・プランニング技能士取得。 ※韓国に関する記事制作やその他のご依頼もご相談ください。お問い合わせ 筆者プロフィール