安東焼酎・慶州パン・聞慶の五味子・・・韓国地方特産のおみやげ品〜慶尚北道編
吉村剛史(トム・ハングル)
2024/01/17 改:2024/01/19
韓国に旅行に出かけて「おみやげ」といったときに、食品・酒類を選ぶ方は多いのではないかと思います。
現在は日本で購入できるものが多くなり、わざわざ韓国で買う必要がないものもあります。なかでも地方特産品は日本では手に入らないものが多いのは実情です。
今回は韓国国内で最も広い面積を誇る慶尚北道の特産品を紹介するとともに、ソウル・釜山の免税店や百貨店・ショップ・市場などで購入でき、プレゼントや自分用にしてもよいものをご紹介します。
慶尚北道とは…
慶尚北道は朝鮮半島の東南部に位置する地域で、韓国のなかでは最も広い19,031平方キロメートルで、人口は約270万人弱です。大邱広域市を囲むように位置しています。
代表的な観光地としては新羅の遺跡地である慶州(キョンジュ)・両班が暮らしていた民俗村・安東河回村のある安東(アンドン)、朝鮮時代の有名な峠道であり、ドラマのオープンセット場がある聞慶(ムンギョン)などが挙げられます。
この地域にはソウルや釜山を経由して高速鉄道(KTX)などでのアクセスも可能ですが、大邱国際空港には東京・大阪からの便が毎日運航(2024年1月現在)されており、日本からも訪問しやすい地域となりました。
韓国伝統のお酒・安東焼酎(안동소주)
韓国でよく飲むお酒のなかには「焼酒(ソジュ)」があります。韓国で焼酒の発祥の地と言われるところが「安東(アンドン、안동)」です。安東(アンドン)は世界遺産の安東河回村でも有名な地域です。
焼酒は日本の焼酎に類する蒸留酒ですが、かつてモンゴルが高麗を侵略して、その後元寇の際に駐屯した場所が安東でした。
安東の周辺は著名な儒学者を輩出した地域でもあり、「安東焼酒」は韓国を代表する伝統的な焼酎として認知されています。瓶に書かれた漢字は「安東焼酎」として記されています。
【名人:安東焼酎(朴栽緒)】
安東焼酎は米や麦などを原料としており、単式蒸留法で蒸留されたもので、日本の焼酎乙類(本格焼酎)に相当します。度数は45度のものが多いですが、それより低い商品も出ています。45度の安東焼酎は独特の味わいが口に広がり、泡盛にも似たような印象です。
現地・安東に訪れたときに購入しても良いですが、韓国を代表する伝統のお酒なので、韓国国内の免税店、空港などでも購入できます。安東焼酎には様々な種類がありますが、45度750ml前後の商品の場合、価格は45,000〜50,000ウォンとなります。日本円で5,000円前後と考えておくとよいでしょう。
甘さ控えめの薄皮饅頭のような慶州パン(경주빵)
慶州パン(경주빵、キョンジュパン)は慶州の銘菓として知られ、慶州のおみやげ品としてよく知られています。パンという名前ですが、日本でいうと薄皮まんじゅうのようなもの。中には小豆あんがたっぷり入っています。
皮は少しパサパサとしている感じはありますが、あんこは甘さ控えめになっています。まんじゅうによく似ているため、日本人の味覚にもよく合うといえます。
上の写真の慶州パンは異なるメーカーではありますが、このような「慶州パン」を販売する店がいくつかありますが、そのなかでも1938年創業の「皇南パン(황남빵)」は最も有名なので、慶州に行ったときに召し上がってみてはいかがでしょうか。
慶州パンは慶州に行くとお店があちこちにありますが、ソウルではソウル駅のコンコース(KTXなどプラットフォームに降りる前のエスカレーター付近)、釜山駅の出口付近、新世界百貨店センタムシティ店にあります。
値段は1つあたり1,000ウォン前後となっており、多くの場合は10個入のように箱で購入することになります。賞味期限はわずか5日ほどで、公式的には冷蔵保管が基本となっています。冬場であればそのまま持ち帰ってしまってもよいでしょう。
伝統茶として人気・聞慶といえば五味子(오마자)
漢方薬としても使われる五味子(オミジャ)は聞慶(ムンギョン)が名産地としてよく知られています。
五味子は「酸味・苦味・甘味・辛味・塩味」の5つの味があるとされており、そのときの体調に応じて味が変わるといわれています。
乾燥した五味子を一晩水につけておき、砂糖やはちみつなどで味をととのえて飲むのが五味子茶(オミジャチャ)です。色合いも鮮やかで、飲みやすく感じる人が多いようです。
ソウルの京東市場などでは乾燥した五味子が販売されており、購入することが出来ます。
聞慶産、つまり韓国産であれば、100g:10,000ウォンほどとなります。日本に持ち帰る場合は日本に入国する際に税関に申告して植物検疫を受ける必要がありますが、乾燥している場合、通常は問題なく通るようです。
それ以外でも五味子を使ったドリンクなどの商品や、聞慶では五味子マッコリなども販売されているので、いちどぜひ召し上がってみてはいかがでしょうか。
今こそ地方、慶尚北道の特産品に目を向けてみて
今では様々な韓国食品や菓子などが日本に入ってくるようになりましたが、特産品には日本で流通していないものが多いのが実情です。
ここで紹介した商品は韓国の国内でも有名なものなので、商品によってはソウルや釜山の百貨店や鉄道の駅売店、空港の免税店などでも購入できるものです。慶尚北道から生まれた商品をいちど購入してみてお楽しみください。
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吉村剛史(よしむら・たけし) 1986年生まれ。ライター、他。1年8ヵ月のソウル滞在経験のほか、韓国100市郡以上・江原道全18市郡を踏破するなど、自分の目で見聞きした話を中心に韓国関連情報を伝えている。2021年1月にパブリブより初の書籍『ソウル25区=東京23区』を出版。2022年に韓国語能力試験(TOPIK)6級、2級ファイナンシャル・プランニング技能士取得。 ※韓国に関する記事制作やその他のご依頼もご相談ください。お問い合わせ 筆者プロフィール