韓国の弁当事情を探る!~韓国のコンビニ弁当徹底調査
 吉村剛史(トム・ハングル)
 2016/10/07 改:2019/05/15 

旅といえば、風光明媚な景色を眺め、山の幸、海の幸を堪能し、気分をリフレッシュ!そう考える人が多いと思います。

一方では旅行中「カップラーメン食べた」「わたしはコンビニ弁当で十分」。そんな声も聞かれますが、グルメ派からは「旅行中にコンビニ弁当を食べるなんて!」と驚く人もいるでしょう。

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しかし、日本に住む人々にとって韓国は海外。弁当とはいえ、それは韓国料理!それならコンビニ弁当だって上等、美味しければなお良し。

今年に入り「韓国のコンビニ弁当が進化している!」という情報を聞き、どのくらい質が上がったのか、試してみることにしました。

ここ数年の韓国の弁当事情を振り返ってみる

韓国では弁当のことを「トシラク(도시락)」といいます。ただし、過去の日本統治の影響もあり、日本語で「ベントー(벤토)」と言ってもわかる人は多いと思います。

まず、韓国の弁当文化をざっと振り返ってみます。これまで、海苔巻き(キンパ)以外で「冷めたご飯を食べる」のは、韓国ではあまり受け入られていなかったように思いますし、実際そう言われてきました。

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●コンビニ弁当事情
2009年の旅行情報サイト「ソウルナビ」の記事では、これまではコンビニ弁当をたまに見かける程度だったが、最近では昼でも夜でも見かけるようになった、とあります。2000年代も終盤になり、コンビニ弁当が浸透してきたのでしょう。参考:ソウルナビ

そして私が韓国に滞在していた3~4年前、2012~2013年の韓国のコンビニ弁当は、2,000ウォン~3,000ウォンほどの水準。バリエーションは豊富でしたが、正直申し上げて今ひとつでした。

韓国料理(日本料理も)は中国の陰陽五行説の概念から「五味五色」といわれますが、コンビニ弁当で五味五色を満たしているものはあったかどうか?

とはいえ、価格の安いコンビニ弁当にそこまでの質は求めません。しかし使われている食材も少ない・・・。レンジでチンするとキムチも温まる・・・。なんだか美味しいと思えない・・・。

そんな状態だったので、好んで食べたいとは思いませんでした。そのため、写真にも収めることすらなく一枚もありません。

●大手弁当チェーンと駅弁
日本でいう「ほか弁」のような弁当チェーンはどうでしょうか?韓国の外食・食品業界のニュースによると、1991年にフランチャイズが発足、1997年のIMFショック期に増加、2008年ごろにも開店数が増えているといいます。参考:食品外食経済(식품외식경제)

2008年は、世界経済が悪化したリーマンショックの時期。つまりこれまでは、経済が悪化すると、外食から中食へのシフトが進み、弁当が売れるようになったのだと考えられます。

これらの動きとは異なりますが、近年は日本の弁当チェーンも韓国へ進出。2013年夏には、ソウル駅構内に日本の弁当チェーン「ほっともっと」がオープン。

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列車で駅弁を食べる、という日本の文化が流入し、車内での食事を楽しむ、という要素が加わったのだといえるでしょう。ソウル駅の弁当コーナー

●「お弁当カフェ」も!
さらに「お弁当カフェ」にもご注目を!市場で売られている惣菜一つ一つを選んでお弁当箱に詰め、市場内の食堂で食べる、というもの。あらかじめ市場内で使える通貨と容器を購入します。

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こちらは市場の活性化のためにソウルの通仁市場で始まったもの。最近では地方にも波及しているようで、似たようなことをする市場が増えています。

詳しくは通仁市場の記事をご覧下さい。

単身世帯の増加と、ひとりご飯

一昔前まで、韓国ではひとりでご飯を食べることも忌避される傾向がありました。

7、8年前、私が韓国の友人に「ひとりでご飯を食べた」といえば、「韓国だったら友達に電話して、呼び出して一緒に食べるよ」なんて言われたこともあります。

しかし、最近では一人で食事することも一般的になってきており、「一人でご飯を食べること」という意味の「ホンジャパンモッキ(혼자 밥 먹기)」の略として、「ホンパプ(혼밥)」という言葉も生まれました。

韓国でも日本と同様、未婚化・晩婚化・高齢化が進んでいることなどから、単身世帯も増加の一途をたどり、昨年2015年現在、一人世帯が26.5%となっています。(日本は26.8%)

韓国の小売店では一人分の食材を買うのは、日本以上に困難です。スーパーで目視した限りでは、野菜の分量も1.5倍~2倍くらいの量がひとまとめになって売られています。

そんな状況だということもあり、コンビニ弁当を買う人も増え、より良い質の弁当が求められているのだといえます。

コンビニ弁当2016!実際に食べてみた!

前置きが長くなりましたが、韓国のコンビニで弁当を買って食べてみることに。

お手頃でスタンダードなものを食べる、という意味から、1食4,000ウォン(約400円)程度のものにしました。実際には6,000ウォン~10,000ウォン近い高級弁当も出ているようです。

3~4年前は2,000ウォン~3,000ウォンだったお弁当が、物価の上昇や弁当の質向上もあってか、ほとんどの商品が3,500ウォン~4,500ウォンに値上がりしました。日本でいうと350円~450円ほどでしょうか。

ちなみにソウルの一般の食堂で定食を食べると6,000ウォン~7,000ウォンほどです。

●4,000ウォンの弁当(3,900ウォンの弁当もあり)

こちらはセブンイレブンのお弁当。 モデルとして女性アイドルグループGirl’s Dayのヘリ(혜리)を起用しています。

最初の弁当は「チルチャントシラク(7찬 도시락)」。7つのおかずが入ったお弁当で、お米は、黒米を使用しています。

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堂々とフライドチキンが目立つのが特徴的ですが、そのほか卵焼きやウィンナー、キムチ、豆もやしなど色とりどりなおかずが入っています。

これだけの食材がきれいに盛り付けられ、色合いも鮮やか、3~4年前のコンビニ弁当からしたら、かなり進化を遂げています。

もう一つの弁当は健康志向の方向けでしょうか。「豆腐ステーキサラダ弁当」です。こちらのご飯は雑穀が含まれているようです。そして豆腐ステーキ。

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驚いたのは弁当ケースの半分を埋め尽くすサラダ。なんとプラスチックの蓋が二段式になっていて、左右のおかずが混ざらないように工夫されています。

温める場合はサラダを取り外してから、電子レンジでチン!セブンイレブンのその他のお弁当はこちら。韓国・セブンイレブン公式

そして韓国のGS25で購入したお弁当。こちらも色とりどりでそそられます。

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ご飯は白米にゴマがかけられており、焼肉にハムカツ、キムチ、チャプチェなど、6種類のおかずがとても鮮やかに盛り付けられています。これで4,000ウォンなら、満足できます。

かつては電子レンジで温めても、肉が固かったり、キムチが温まっていたり、ご飯がおいしくないという安物感があったのですが、そういったこともわりと改善されています。

数年前より確実に進化したコンビニのお弁当。これもひとつの韓国料理です。韓国を訪れたら「コンビニ弁当なんて」といわず、一度召し上がってみてはいかがでしょうか!

公園や川のほとりで食べても、きっと良い思い出になるはずです。




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トム・ハングルの韓国旅行ひとこと
コンビニで買うものも、それなりの美味しさがある日本。一方、韓国では弁当文化が浸透していなかったため、これまで正直今ひとつの出来でした。

しかし単身世帯の増加で需要が高まった結果、弁当の質が確実に底上げされ、見た目にも、食べても美味しいお弁当へと確実にレベルアップしました。



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