ソウル・皇后名家で夏の補身食、参鶏湯・醋鶏湯を食す
 2014/08/11 吉村剛史(トム・ハングル)

暑い夏に食べる韓国料理、といえば「参鶏湯(サムゲタン)」。若鶏のなかにもち米やナツメ、高麗人参などの韓方食材(漢方)を詰め込んで、それを鍋のなかで煮て食べる夏の補身食です。なかには数十時間かけてぐつぐつと煮込むお店もあります。

夏には参鶏湯、というのは毎年繰り返されている話なので、韓国に関心がある方からは「もうそんなこと知っているよ!」という声が聞こえてきそうですが、今回紹介する料理はご存知でしょうか。

夏の韓国旅行で食べていただきたい料理、醋鶏湯(チョゲタン)を紹介したいと思います。

夏の珍味!醋鶏湯(チョゲタン)

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昨年の初夏の時期、醋鶏湯(チョゲタン)という料理の存在を知った私は、ソウル・景福宮の西側にある「皇后名家(旧・皇后参鶏湯)」に出かけました。

観光ガイドブックには必ず登場する参鶏湯専門店の名店、土俗村(トソクチョン)の近くにあるお店です。この場所に「参鶏湯通り」を作ろうとわざわざ仁寺洞から移転してきたという噂があります。

夜の景福宮・光化門

夜の景福宮・光化門

このお店自慢の料理は活アワビや山参、冬虫夏草が入った皇后参鶏湯(38,000ウォン)。一人前でこの値段となると、さすがに注文するのをためらいますが、それだけ豪華な食材がごろりと入っているのです。

それは特別なときに食べることとして、やはりお目当てのチョゲタン(醋鶏湯)を注文しました。※写真の参鶏湯はほかのときに頂く機会があり、そのときに撮影したものです。

皇后参鶏湯(38,000ウォン)

皇后参鶏湯(38,000ウォン)

このお店の醋鶏湯(チョゲタン)は氷の粒が浮いた白濁で、中央にはゆでた鶏肉やキュウリなどがのせられています。

醋鶏湯は「湯」とは書いてあるけれども、冷たいスープなのです。少々酸味が強く、からしがきいていて、一口食べてみると酸っぱさと同時に、からしのツーンとした刺激が鼻に抜けます。夏の火照った体を鎮めてくれそうな、そんな料理です。

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チョゲタン/醋鶏湯(小14,000ウォン)

チョゲタンは風流さも豪華さも最強クラス!?

さてチョゲタンとはどんな料理なのでしょうか。ひとつひとつ見ていきましょう。漢字で書くと「醋鶏湯」。

「醋」という漢字を辞書で調べてみると、「酢」と同じ項目に「酢酸を含む,すっぱい液体調味料(・・・中略・・・)食酢。(大辞林第三版より引用)」と書かれています。つまり、お酢の意味。鶏はいうまでもなく「鶏」、湯は「スープ」ですから、「鶏の酸味ある冷製スープ」といったところでしょうか。

料理の説明には「夏の宮中料理」と書かれることが多いのですが、「済州タンゴルソシク」という刊行物の記事を読んでみると、チョゲタン(醋鶏湯)は、もともと平安道や咸鏡道の冬の料理で、これが宮中料理となり、明月館という料亭を通して民間に流れた、と書かれています。1930年代の民間向けの料理本で紹介されていたそうです。(→済州タンゴルソシク 2014年6月25日 韓国語)

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チョゲタンは贅沢だ!?

昔はキノコ、ナマコ、アワビまでが入っていたと書かれていますが、このレベルになるとさすがに宮中だからできることでしょう。

今でこそアイスやらパッピンスやら、冷たい食べものがありふれていますが、そもそも冷蔵庫がない時代の「夏に冷たいものを食べる」こと自体がかなり贅沢なことに違いありません。しかも、朝鮮時代に夏のソウルでアワビを食べるなんて最強すぎます!

醋鶏湯(チョゲタン)には麺を入れて食べてもOK。実はこれが一番食べたかったのです!麺好きにとってはたまりません。鶏の酸っぱくてツーンとからい冷製スープに、少々太い麺を入れて食べるなんて。このお店では少々太めの小麦粉の麺が使われています。

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その後コリアン・フード・コラムニスト八田靖史さんにお会いしたときに聞いてみたら、乙支路3街の平来屋で食べられると教えてくださって、その後Web記事としてまとめていらっしゃいましたが、他のブログなども含めて写真を見てみると、冷麺の麺で食べているところが多いようです。(→LIVING くらしナビ 2013年6月17日)

私としては小麦粉の麺のほうが好みなので、こちらのほうが好みなのですが、次の機会には他のお店でも食べてみようと思います。8月7日の立秋を過ぎ、暑さは一段落したけれど、残暑が残るこの季節、韓国旅行に出かけて醋鶏湯(チョゲタン)を見かけたら、夏の補身食としてぜひ召し上がってみてください。

皇后名家(皇后参鶏湯の地図)

住所:ソウル特別市鍾路区紫霞門路6キル6(通義洞)



トム・ハングルの韓国旅行ひとこと
・醋鶏湯(チョゲタン)の冷たさと酸味は夏の暑さを吹き飛ばしてくれます!
・皇后名家の醋鶏湯は数人で分けて食べるのがちょうどよいです。
・私はこのサイズを一人で食べたのですが、氷と酸味とからしで体は氷点下に・・・。
・「こんな上品で風流な料理があるんだ」という感動は忘れません!

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トム・ハングル(吉村剛史)
吉村剛史(よしむら・たけし) 1986年生まれ。韓国旅行・地方旅の総合発信者。2012年に韓国文化誌『スッカラ』でデビュー、その後韓国旅行、語学Webの編集・ライターを経て、講座、トークイベントでの発信も。これまで韓国100市郡以上を踏破。平昌五輪開催の江原道公式ブログにも寄稿中。プロフィールお問い合わせ


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