利川と求禮の山茱萸(サンシュユ)│春の花
吉村剛史(トム・ハングル)
2014/03/19 改:2017/03/10
3月中旬から4月上旬にかけて、韓国の山間部を旅していると、
とっても小さな黄色いつぼみや、黄色い花が咲いているのを見かけます。
小道の四つ角の隅に、きょとんとたたずんでいたり
山を流れる川の国道の脇に、背丈の低い木々が立ち並んでいたり。
見るからに華やか、というよりむしろちょっと地味かもしれません。
でも近づいてみると黄色の粒が弾けるように咲いて、存在感にあふれています。
この黄色い小さな花が、まさに「山茱萸(サンシュユ)」。
韓国語読みでは「サンスユ(산수유)」です。
山茱萸は、中国や朝鮮半島が原産で、日本には江戸時代に渡ってきたのだそう。
秋になると小さな赤い実をつけ、漢方薬としても使われます。
聞いた話ではこの風景が美しいというので、秋にも行ってみたいものです。
さて、韓国で最も有名な山茱萸の群落地といえば、
全羅南道の求禮(クレ)と、京畿道の利川(イチョン)です。
この2カ所では毎年、山茱萸祭りが開かれます。

利川・サンシュユ村
2014年の求禮・山茱萸花祭りは3月22日~3月30日。
利川・栢沙山茱萸花祭りは4月6日~4月8日までです。
利川:http://www.2104sansooyou.com/
求禮:http://sansuyu.gurye.go.kr/sanflower/
春の少しぽかぽかした陽気のなかで
黄色く弾けるように咲いた花をみるのは、とってもウキウキするもの。
しかし、行きたいけれど行きにくいところにあるのがネック。
どちらも最寄のバスターミナルから、
市内バスで30~40分ほどのところにあり、
行くのにもちょっと骨が折れるような場所です。
それでもこの春の風景を楽しみたいという方は
ぜひ訪れてみることをおすすめします。
求禮(クレ)はソウルからバスで約4時間かかります。
韓国の五大寺刹のひとつの華厳寺(ファオムサ)があるほか
河東(ハドン)との境には、花開市場(ファゲジャント)もあります。

求禮・サンスユ村
利川(イチョン)はガイドブックにも
よく載っているのでご存知の方も多いと思いますが、
王に献上したお米の産地として有名ですし、陶磁器の工房が集まっている場所です。
そして、どちらも温泉地があることも共通していますね。
利川の山茱萸で見つけたのが、山茱萸マッコリ。
もちろん生マッコリですが、甘酸っぱいながらも少々苦味がありました。
色合いがとってもきれいなのでボトルを見ているだけでも愉しめます。

サンシュユマッコリ
山茱萸村はどちらも遠いので、
韓国にいらっしゃる方は、今年の春のお出かけの選択肢のひとつとして。
日本から行かれる方は、余裕があればぜひ、というところでしょうか。
最後に一枚。
求禮の山茱萸村で見たオブジェ。
丘の上にこんな大きなものが経っていました!
ちょっとシュールな出来栄え・・・ですけれども
このような芸術、韓国のあちこちでよく見かけるような気がします。
これで季節を問わずいつでも山茱萸の花が楽しめますが、
本音をいうと、このあたりが何か謎めいている感じがして面白かったりします。
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吉村剛史(よしむら・たけし) 1986年生まれ。ライター、他。1年8ヵ月のソウル滞在経験のほか、韓国100市郡以上・江原道全18市郡を踏破するなど、自分の目で見聞きした話を中心に韓国関連情報を伝えている。2021年1月にパブリブより初の書籍『ソウル25区=東京23区』を出版。2022年に韓国語能力試験(TOPIK)6級、2級ファイナンシャル・プランニング技能士取得。 ※韓国に関する記事制作やその他のご依頼もご相談ください。お問い合わせ 筆者プロフィール