李舜臣と麗水(ヨス)―タクシーでの会話から
 吉村剛史(トム・ハングル)
 2010/08/29 改:2019/08/03 

全羅南道南部の海沿いに位置する여수(ヨス)。
漢字で書くと「麗水」。
見るからに美しい場所に感じられます。

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どれほどの韓国人がこの漢字の意味を理解できるのかわかりませんが、
地名のイメージを漢字で感じとっていただきたいと思います。
もちろん漢字だけでなく風景が美しいのは言うまでもありません。

私は夕方に麗水に到着し、
日が暮れるまで綺麗な風景を眺めながら歩きまわりました。
完全に真っ暗になったのは夕方8時過ぎ。

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まだ新駅舎ができてまもない麗水駅から
タクシーに乗って、チェックインしておいた宿に向かいました。

「どこの国からいらっしゃったんですか?」
―「日本です」

タクシーに乗ってそんな何気ない会話をするのが、
ひとり旅の楽しみなのです。そのタクシーのおじさんによれば、
アメリカやカナダから来る旅行者が多いとのことでした。

「韓国の食べ物はどうですか?」
―「大好きです!日本では食べられない韓国の料理が
食べたくて韓国に来たんです。」

そんなことを話すとアジョッシも「おーっ!」と喜んだ表情を見せ、
「本当に韓国語上手ですね」といいながらいろいろ話してくれました。
背が高くて張りのある声のおじさんなのですがとっても優しかった。

話をしているうちに
旅客船ターミナル付近の李舜臣の碑がある広場に近づきました。

「イ・スンシン将軍は韓国でもっとも誇らしい人で…」
私が「豊臣秀吉……」というと
「はい、そうです!」と答えてくれました。

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「壬辰年の記憶」慶尚南道・統営で

韓国では壬辰倭乱、丁酉倭乱、日本では文禄・慶長の役と呼ばれていますが、
豊臣秀吉は朝鮮半島に兵を送っており、
その侵略を食い止めようとした武将が李舜臣。

小高い丘から海を一望できる鎮南館も
李舜臣にまつわる建物なのです。

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鎮南館から海を眺めながら撮影。

「でも…日本人としてちょっと複雑な気持ちです」と話すと
「そんなふうに考えないほうがいいですよ。」と
やさしくたしなめられました。

それにしてもタクシーのおじさんは優しくて
とっても親切にしてくれ、「泊まる宿はどこだ?」と
言って、その目の前まで送ってくれました。

たしかに韓国の人たちにとっては李舜臣将軍は英雄です。
決して「日本の敵」だとか私はそんな考えは持っていません。

先の大戦も含め、「日本にやられた」という意識が
韓国の人のなかに少しでも残っているとすれば、
日本人の私としては、こころのわだかまりが消えない気がするのです。

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「李舜臣と麗水の話」というタイトル

碑の前にじっと立って説明の図を眺めている
日本人の私を韓国の人たちはどう思っているのだろうか?
私の考え過ぎだろうか?と考えてしまいます。

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でもちょっとこの写真…
誇り高き武将の碑の下がごみ置き場に…

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ちょっとこんなところにごみを置かないで~~!!!!

最後の写真はちょっと目をつむるとして…と(笑)

やはり日韓の歴史について考えると、
こころのモヤモヤが消えません。
何をどう考えても答えは出ないし答えなんてないのです。

全羅南道・麗水。
リアス式海岸に囲まれ、海産物も美味しいこの地域。
その魅力は後日、改めて紹介できたらと思います




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