冬の田舎まちの祭典がアツイ!~華川ヤマメ祭り
 2015/01/21 吉村剛史(トム・ハングル)

日本から比べると大きく冷え込む韓国の冬。寒い時期はどうしても旅に出るのを躊躇ってしまうもの。しかし、寒いところは寒い時期こそが華。そんな冬にふさわしい、江原道(カンウォンド、강원도)の華川ヤマメ祭りに出かけてみました。

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江原道・華川ヤマメ祭りとは?

江原道・華川(ファチョン、화천)は人口約27,000人の小さな町。北は軍事境界線に接しており、軍人たちも多い町。東ソウルバスターミナルからは、バスで約2時間半。ドラマ『冬のソナタ』やタッカルビ(鶏肉の辛炒め)でも有名な、春川(チュンチョン)を経由して向かいます。

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華川ヤマメ祭りは毎年1月、23日間にわたって開催される冬のお祭り。毎年1回、韓国の文化体育観光部(日本の文科省に近い)が発表する「韓国の代表祭り」に選ばれる常連となっており、2015年は金堤地平線祭りとともに、2年連続でそのトップとなる「訂正:最優秀祭り代表祭り」に選出。

2011年には、アメリカのCNNでも「冬の七不思議」のひとつとして取り上げられました。

一方で「町おこし」という視点でも注目を集めています。公務員や地域の住民たちがスタッフとして、一丸となって取り組んでいることもまた話題となっており、2014年には日経ビジネスの記事で「韓国の北端にある田舎の祭りが大ヒット」と取り上げられました。

そして今年、2015年にも聯合ニュースがその取り組みを紹介していました。

なぜ華川ヤマメ祭りが人気なのか!?

私(トム・ハングル)は、2014年末までに韓国の全国のお祭りを10~15カ所ほど訪れています。しかしお祭りのコンテンツは、似たり寄ったりのものが多く、それほど大きな魅力を感じられませんでした。

それでもお祭りに通い続けた理由は、その地域の「旬」が感じられるから。天童よしみのヒット曲『珍島物語』でも有名な「珍島神秘の海割れ祭り」のように、自然をテーマとしたお祭りはそれ自体に魅力があります。

今回のお祭りでは、韓国北部という凍り付くような寒さを生かしていること、町の特産であるヤマメがその主題だといえるでしょう。しかしこれだけ人気を集めているということは、きっとオモシロイからに違いありません。その秘密を探るために会場を歩いてみました。

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この写真は、お祭り会場のテント通り休憩所やお食事処が並んでいます。出店ではヤマメの形をした鯛焼きのサンチョンノパン(ヤマメは韓国語でサンチョノ、산천어)や、ヤマメを使ったオデンやソーセージなどが並んでおり、買って食べ歩くことができます。

他にもヤマメを使ったスンデ(腸詰)やティギム(天ぷら)、さらに江原道の特産品であるソバやジャガイモを使ったチヂミなどがテントのなかで販売されていて、ヤマメマッコリや焼酎を飲んだりと、来場者がお祭りならではの味覚を楽しんでいます。

食べものを買ったりと雰囲気を楽しむだけなら無料ですが、氷の上に乗ったりヤマメ釣りを楽しむには、12,000ウォン(約1,350円)の入場料を支払います。

これには5,000ウォン相当の商品券を含んでおり、地域の特産物と交換が可能。しかし、韓国のお祭りの入場料としては少々高めの水準。養殖をした魚を放流しているということなので、おそらく運営費がかさむからなのでしょう。

ヤマメ釣りにチャンレンジ!

ひとりで訪れた私は、正直なところヤマメ釣りにチャレンジしよう、とは思っていませんでした。けれども会場を歩いていたところ、釣り具を販売するスタッフのおじさんにつかまり、「あんたもやってみたらどうだ」と言わんばかりにしきりに勧めてくるのです。

韓国人ならでは距離の近さを感じさせる振る舞いに乗せられ、私も釣り具を買ってしまいました。プラスチック製のものは、8,000ウォン(約900円)。買ってしまったら、もうやるしかないので、さっそくチケットも買って入場しました。

氷の厚さは40センチ。スタッフに尋ねてみると、夏は川として、しっかりと水が流れているそうです。どうやら冬季には、会場のところだけ流れをせき止めている模様。釣竿にはナイロンと思われるヒモが巻き付けられており、この穴から釣り糸を垂らします。

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会場ではシートを敷き、寝そべってチャレンジしている人や、簡易テントを張ったり、椅子を準備して万全の大勢で臨んでいる様子も見られました。しかし氷点下もしくは、かろうじてプラスという気温のため、じっと釣り糸を垂らしていると寒いのです。

けれども「釣れるかもしれない」と考えると、かなりエキサイティング!寒さなんて吹き飛んでしまいそう。私は30分くらい釣り糸を垂らしていたと思いますが、残念ながら一匹も釣れずじまい。しかし隣にいた小さな子どもは、そのあいだに3匹も釣って、周りの人を驚かせていました。

魚がルアーにかかった瞬間、「ビクッ」と動くようで、そこから紐を巻き上げて釣ります。子どもでもスルスルと引上げられる重さです。

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人気の秘密は、誰でも楽しめること!

この瞬間、私はわかりました。かなり単純な答えですが、華川ヤマメ祭りが人気なのは「誰でも楽しめること」。家族でやってくれば、大人も子どもも魚釣りに熱中することができるのです。

もちろん、体験型イベントがあるのはヤマメ祭りに限ったことではありません。ヒットの要因は、お祭りの一番の目玉といえるイベントに「一日中を通して」「老若男女問わず誰でも参加できること」にあるのでしょう。これが楽しいから、リピーターをも呼んでしまうわけです。

会場には他にもスケートのように氷上を滑ったり、冷たい水のなかに入り、ヤマメのつかみ取りを体験できるところもあります。

釣ったヤマメはその場で!

会場には行列ができているテントがありました。それぞれがビニール袋に入れた魚をもって並んでいます。焼いた魚は一匹あたり2,000ウォン(約215円)を払うと、切り身を入れて塩につけ、アルミホイルにつつんで焼いてくれます。

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上の写真のように、釜に入れて焼き上げます。魚はテントの下で、会場で売られている様々な食べものとともに一緒に食べることができます。なかには畜産物コーナーで肉を購入し、焼肉と一緒に食べている人たちの姿も見られました。

私はあちこちお祭りを巡って感じることは、「食事をするにも大勢で行ったほうが楽しい」ということ。ぜひグループを組んでお祭りを訪れてみることをおすすめします。資金は潤沢に!そしてお腹も空腹に!

ヤマメが釣れなくても大丈夫!?

ヤマメが釣れることに越したことはありませんが、一匹も釣れなかった人も大丈夫。飲食コーナーがあり何店舗も営業しています。それぞれの店舗には水槽が置かれていて、ワカサギやヤマメが泳いでいました。

ヤマメ祭りなので、やはりヤマメの刺身が食べたい。ヤマメの刺身は30,000ウォン(約3,200円)ですし、ひとりで食べるのには量が多すぎます。そこで注文したのは、ヤマメ刺身丼8,000ウォン(約850円)です。

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サラダのように野菜が敷かれ、ヤマメの刺身がたっぷり。豪快に乗せられています。酢コチュジャンを入れ、さらにはご飯を混ぜて、ビビンバのようにして食べるのが韓国式ですが、せっかくの刺身がもったいない気がして、私は醤油につけたりと、一つ一つ味わって食べました。

ヤマメはサケ科の魚なので、サーモンに似ている、という話も聞きますが、ヒラメなど白身魚の刺身よりも弾力が強い感じがあります。どうしても焼魚を食べたい方は、店で食べることも可能なのでご安心を。

5,000ウォンの商品券で特産物も!

入場券と一緒に配られた5,000ウォンの商品券をもって、特産物コーナーへ。こちらは人だかりができていました。山なので山菜や穀物類が中心ですが、私が選んだのは小さくパック詰めされた、松の実。

これはぴったりの金額ですが、お金を足せば、もう少し高いものを買えます。ちなみにお米10キロが28,000ウォン(約3,000円)で販売されていました。

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お祭りの入場券に金券を付ける取り組みは、他のお祭りでも行われています。入場料とともに確実にお金を落としてもらえるので日頃、収入源の少ない地域にとっては、お祭りが地域経済の大きな役割を果たすに間違いないでしょう。拙著:韓国のお祭りとクーポン商品券

夜は美しいアーチも!

夕方、暗くなってからバスターミナルに戻る途中に驚くべきものを見かけました。それはイルミネーションのアーチ通り。アーチにはやはりヤマメが泳いでいて、瞬くように色が変わります。

地方の澄んだ冬の空気のなかで見ると、都会のイルミネーションより美しく見えます。そして何よりもこの街がヤマメで一色で町おこしをしようという意気込みを感じることができたのです。

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街頭や町の店のあちこちにもヤマメの形をした飾りがつけられた華川(ファチョン)の市街地。毎年行われるヤマメ祭りが、地域を活気づける原動力になっているのは間違いありません。

私が訪れたのは開催初日でしたが、帰りのバスに乗り合わせたお祭りのスタッフの中年の男性が、生き生きとした面持ちで「いやぁ~、今年も始まったよ~、魚釣れましたか?」と、観光客に話しかけていたのが印象的でした。

小さな辺境の街で、地元の方々が力を込めて運営し、世界的にも注目されている華川ヤマメ祭り。私たちが日本から訪れるのも、町おこしの事例として学ぶのにも魅力的な要素がたっぷりです。(完)

2016年1月、記事を追加しました。→華川ヤマメ祭りには要注意!?~これにはハマる

<お祭り情報>
名称:氷の国華川ヤマメ祭り(얼음나라 화천 산천어 축제)
時期:毎年1月開催 ※2016年は1月9~31日開催
Web: http://www.narafestival.com/
アクセス:東ソウルバスターミナルから華川行きバス乗車(2時間40分所要、約30分間隔)
※2016年1月にはソウル発の外国人専用シャトルバスが運行されます。詳しくは→江原道シャトルバスをご覧ください。


記事に関連するエリア情報はこちら:江原道華川


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トム・ハングル(吉村剛史)
吉村剛史(よしむら・たけし) 1986年生まれ。韓国旅行・地方旅の総合発信者。2012年に韓国文化誌『スッカラ』でデビュー、その後韓国旅行、語学Webの編集・ライターを経て、講座、トークイベントでの発信も。これまで韓国100市郡以上を踏破。平昌五輪開催の江原道公式ブログにも寄稿中。プロフィールお問い合わせ


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