束草(ソクチョ)はグルメが魅力~渡し舟で旅情に浸れるアバイ村と雪岳山 | 韓国&韓国旅行 | トム・ハングル

渡し舟で旅情に浸れる束草(ソクチョ)はグルメが魅力!~雪岳山とアバイ村のまち
 2017/12/11 吉村剛史(トム・ハングル)

束草(속초、ソクチョ)といえば、韓国の名峰・雪岳山(ソラクサン)を望む東海岸のまち。夏には雪岳山の玄関口として登山客はもちろん、海水浴を楽しむ観光客も訪れます。冬なら白く色づいた山々を眺めるのもまた良いものです。


[冬の束草市街地]

韓国・江原道各地を訪れたなかでも、特に束草が魅力的だと思うのは「旅情に浸れる」ということ。ソウルからは約200キロの道のり。

東海岸まではるばる訪れて、ドラマ『秋の童話』にも出てきた渡し舟に乗り、海風に当たれば、長旅の疲れも癒されることでしょう。

そしてもう一つの魅力が、海産物を中心としたグルメ。東海岸の『刺身街道』沿いを旅するなら、必ず訪れてほしい街が束草なのです。

●ソウルから束草(속초)のアクセスは?~なんと高速バスで1時間半
標高500mを超える山地が半数にも及ぶ江原道では、豊かな自然が魅力である一方、山々が交通の障壁になっていました。

トンネルを掘り、徐々にその距離を縮めてきましたが、束草への利便性が向上したのは、高速道路の開通といえます。

2009年以前は東ソウル~束草の所要時間は2時間50分。ソウル-襄陽高速道路の一部開通により、2時間20分と短縮。


[束草バスターミナル]

2017年に完全開通したことで、ついに1時間50分でのアクセスが可能に!五輪を機に開業するソウル-江陵の高速鉄道に劣らない速さで東海岸へたどり着くことができるのです。

ちなみに束草の人気観光地の一つは「アバイ村(아바이 마을)」。アバイ村へ出かけたら、必ず食べたいグルメもご紹介します。

● アバイ村の名物・オジンオスンデ
ユン・ソクホ監督のドラマ「四季」シリーズのうち、『秋の童話』のシーンで登場したことから、有名になったアバイ村。ここには朝鮮戦争で北から逃げてきた人たちが定着。咸鏡道民が6割ほどいるのだそう。


[束草中心街の地図]

束草の中心街は中央洞(중앙동)。その東側に小さく浮かんでいる小島が「アバイ村(아바이마을、アバイマウル)」と呼ばれています。「アバイ(아바이)」とは、咸鏡道方言で「お父さん」という意味。

現在、アバイ村には橋がつながっています。2003年に完成した青湖大橋(現・雪岳大橋)、そして2012年には金剛大橋が完成したため、交通の便は向上したようです。


[束草・アバイ村へつながる橋]

私が思うに避難民たちは後からやってきた人たちのため、環境があまり良くない場所に住むことが多かったのではないかと思います。それが傾斜の激しい丘の斜面(タルトンネ)であったり、このような小島だったのでしょう。

とはいえ、生活の中心地で、市場のある中央洞には橋を渡ると遠回りになるため、「ゲッペ(갯배)」という渡し舟に乗って行き来するのです。

そのゲッペの大きさは目視した限りでは6~7畳くらいですが、それほど大きな船ではありません。


[ゲッペから望む夜の橋]

ゲッペの料金は200ウォン(約20円)。これに乗って100メートルにも満たないような距離を渡るのです。船頭さんと一緒になってロープを引っ張って進みます。

この渡し船に乗ってひんやりとした風にあたると、「遠くからはるばる訪れた」という気持ちにさせてくれるのです。

アバイ村を訪れるとスンデ(腸詰)のお店が並びます。名物はオジンオ・スンデ(오징어순대)と、アバイスンデ(아바이순대)。


[オジンオスンデ・アバイスンデ 30,000ウォン]

もともと咸鏡道の人たちは、スケソウダラを使って腸詰を作っていたようで、避難先の束草ではイカがよく取れたことから、イカにもち米や野菜を詰めて食べたのがオジンオスンデ。「いかめし」みたいな食感でした。

一方、アバイスンデは豚の大腸を使ったもの。南では小腸、北では大腸を使いますが、大腸のほうが肉厚で質感がよく、私がもう一度食べたいと思うスンデがこれです。訪れたらいちどぜひ召し上がってみてほしいと思います。

●「刺身街道」でここは絶対外せない!~束草観光水産市場
束草に訪れたら、必ず立ち寄りたいのが束草観光水産市場。はじめて訪れたときに感じたこの市場のイメージは「白」。雪とひんやり感が市場のイメージと重なります。


[束草観光水産市場]

市場のこの通りでは海産物が売られていますが、アーケードの外側では東海岸の市場らしく、スケソウダラの干物が吊るされていたりと、やはり「江原道の市場にやってきた」という気分にさせてくれます。

束草観光水産市場には、シアホットク(씨앗호떡、種入りの甘いお焼き)やタッカンジョン(닭강정、鶏の甘辛ソースのから揚げ)の有名なお店があり、よく行列ができています。

シアホットクは特に釜山で有名な屋台フード。タッカンジョンは、私が韓国に滞在していた2012年前後、ソウルにも店がどんどん増えていた流行りのB級グルメでした。

特に束草観光水産市場の「マンソク・タッカンジョン」という店は、美味しいと評判で、メディアで取り上げられたことから全国的に知られているお店です。

このような有名なB級グルメも良いかもしれませんが、この市場にやってくるとごく一般的な屋台フードがソウルで見るのとは少々異なります。それは衣をつけた揚げ物、튀김(ティギム)です。


[パリッと肉厚の白身魚ティギムはソウルではあまり見ない]

ソウルの屋台でも、海老やサツマイモはよく見かけますが、束草では魚介類を使ったものが多く売られています。イカやカレイ、その他の白身魚を使った肉厚の揚げ物が味わえます。市場の椅子に腰かけて食べるのもよいでしょう。

●江原道・冬の珍味、トチ(도치)
束草観光水産市場でお刺身を味わうなら地下にある食堂街へ。お店の前にある水槽からその場で水揚げしてもらい、さばいてもらいましょう。

江原道の東海岸で近年、冬の味覚として人気が出ている魚が’도치(トチ)’。심퉁어(シムトゥンオ)とも呼ばれ、フグのようにぶっくりした外見の魚です。

あまり見慣れていないために、「これください」と注文するのを避けてしまいそう。ちなみに日本では「ホテイウオ」という名前で、北海道では「ゴッコ汁」として食べられるのだとか。韓国では12月から2月の冬の時期に、東海岸近海で獲ることができます。

ぶつ切りにして軽く湯がき、お皿に盛りつけられて出てきます。身はわりと歯ごたえがあり、とても淡泊。わさび醤油につけたり、酢コチュジャンにつけて味わってみましょう。


[ホテイウオを湯がいた刺身(도치숙회、ドチスックェ)]

この魚は卵を持っているため、これを鍋にして食べます。口のなかにツブツブが広がるので、苦手な方もいらっしゃるかもしれませんが、栄養たっぷりでアツアツのスープが冷えた体を温めてくれます。


[ホテイウオの卵鍋(도치알탕、トチアルタン)]

束草まで訪れて、ヒラメやタイ、イカなどのよく知っている刺身をいただくのもよいですが、たまには一風変わった魚はいかがでしょう。不思議な形をしている魚を見て、「これください」といえる勇気も必要かもしれません。(私は当時、食通のMさんについて行って食べました。)

もちろんこの魚を使った料理は、市場以外の食堂にもあります。港や街にある飲食店のうち、メニューに”도치”と書かれている店を見つけたら入ってみましょう。鍋は30,000ウォン(約3,000円)~。

●水刺身(ムルフェ、물회)
やはり東海岸の名物といえば、水膾(물회、ムルフェ)。酢コチュジャンを水に溶かしてお刺身にかけて食べる冷製スープのようなもの。どちらかというと辛味よりも酸味のほうが際立ちます。

江原道の東海岸では主にカレイやイカを使いますが、束草の水産市場で食べたムルフェもその点は同じ。

市場の地下で私が入ったお店では、野菜がいろいろと入っているのが特徴的でした。刻んだキュウリや玉ねぎ、にんじんなどが入っており、つきだしには赤黄のパプリカもついてきて、色鮮やかでした。

束草へ出かけて刺身を味わうなら、豪快に丸ごと一匹食べるのもよいですが、ムルフェなら一人でも大丈夫!


[ムルフェ(물회) 15,000ウォン]

ひとり旅の場合は、季節によっても異なりますが、小さめの魚を一匹刺身にしてもらうのもよいでしょう。

東海岸に面した束草。ぜひ渡し舟のゲッペに乗ってアバイ村へと渡ってみましょう。そして束草観光水産市場では市場の活気を楽しみながら、お刺身を味わってみましょう。

時間をかけてはるばるやってきた江原道・束草で、旅情に浸りながら美味しい海鮮グルメを召し上がってみてはいかがでしょうか。

※この記事は2017年12月「江原道公式ブログ」に掲載されたものです。



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トム・ハングル(吉村剛史)

吉村剛史(よしむら・たけし) 1986年生まれ。ライター、他。2012年に韓国文化誌『スッカラ』でデビューし、同年中央日報に掲載される。これまで文化センター講座、トークイベントでの発信も1年8ヵ月のソウル滞在経験のほか、韓国100市郡以上を踏破。海外の常識をレポートする『海外ZINE』の韓国担当ライター、2018年2月号『散歩の達人』第2特集の取材・文を担当。同6月から韓国水産食品(K-FISH)広報サポーターズ。プロフィール・お問い合わせ






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