漢江をさかのぼり、南楊州で有機栽培の料理を堪能!
 2015/08/07 吉村剛史(トム・ハングル)

ソウルを南北に分けるようにして流れる漢江(ハンガン)。遊覧船に乗ったり、漢江公園で遊んだりとソウル市民たちの憩いの場となっています。

わたしたち韓国を訪れる観光客にとっても、ゆったりどっぷりと流れる漢江は記憶に焼き付いているのではないでしょうか。

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2つの川が合流して大河をなす漢江

その漢江を遡っていくと、北漢江と南漢江という二つの川が合流し、大河を成していることがわかります。北漢江は、北朝鮮の領域にある江原道・金剛山、南漢江は韓国側の江原道・太白市にそれぞれ端を発します。

その北漢江と南漢江が合流するのは、ソウルを囲む首都圏に位置する京畿道(キョンギド)の南楊州市、河南市、楊平郡、広州市の境に位置する両水里(ヤンスリ)という場所。

漢江

韓国の固有語だと、二つの水の頭という意味で、トゥムルモリ(두물머리)ともよばれています。

北漢江、南漢江の合流地点、南楊州(ナミャンジュ)へ

漢江の合流地点、両水里の近くの駅にあたるのが、南楊州・雲吉山(ウンギルサン)駅。ソウルの中心部から通勤電車で約1時間のところに位置します。

ソウル・龍山駅から出発する中央電鉄線は漢江沿いを走りますが、漢江と北漢江、南漢江にはサイクリングロードが整備されているため、車内には自転車が置けるスペースがあるのです。

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平日でも休日でも、自転車のライダーたちがウエアを身に纏って駅のベンチで電車を待つ姿が見受けられたり、周辺にはハイキングコースが多いだけあって、派手なウィンドブレーカーを来たハイカーたちがたくさんいます。

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雲吉山駅のハイカーたち

駅周辺にはソウル市の市民農園もあるため、都会の喧騒から離れて、それぞれが休日を過ごす場所にもなっているようです。

漢江の上流にはいくつかダムがありますが、この周辺には1973年に八堂ダムが建設されました。この地域はもともとソウルへの野菜の供給地でしたが、ダム建設を機に水がめを守ろうと、有機農栽培がスタート。

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冬の両水里付近

南楊州は韓国で有機農の発祥の地とも呼ばれているだけでなく、環境保全の取り組みなどが評価され、市内の鳥安面は2010年に首都圏初となるスローシティに認定されています。

南楊州の有機農テーマパーク・有機農レストラン

雲吉山駅からバスで10分ほどのところに、南楊州有機農テーマパークがあります。

私が訪れたのは平日でしたが、幼稚園の遠足でしょうか、カラー帽子とスモッグを着た小さな子どもたちが団体で訪れていました。ここでは農業体験や動物と遊んだりすることもできるようです。

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有機農テーマパーク内の博物館は、パネルや農具などの展示が主で、有機農発祥の由来や韓国全国の料理マップなどが展示されています。オープンしたのが2011年ということもあって、デザインに優れた展示が数多いのが特徴です。

●有機農レストラン・ポンウリ

隣には有機農レストラン・ポンウリが併設されています。キムチ料理研究家の李河然(イ・ハヨン)氏によるレストランです。店内は落ち着いたシックな雰囲気。窓からは北漢江を見渡すことができます。

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訪れたのは4月でしたが外には桜が咲いていて、窓際の席からはゆっくりと流れる川を眺めながら、サイクリングロードを自転車で突っ走るライダーの様子を見ながら食事ができるのでとても心地よい気分に浸れます。

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開店と同時に、厳密にいうと開店前に訪れたので店内で待っていたのですが、インジョルミというキナコ餅をちょっとしたサービスとして出してくださいました。

健康料理の韓食堂、韓国料理のなかでは高級レストランに値する店だとも言えますが、非常に丁寧な接客でもてなしてくれます。私が注文したのは20,000ウォンのコース料理。平日ランチ限定メニューです。

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まず前菜のようにして出てきたのは、浅漬けキムチや、チャムナムルという三つ葉のような野菜たっぷりのサラダ、ドングリの澱粉をゼリー状に固めたトトリムクや、凍太(トンテ)ジョンとよばれるスケトウダラのチヂミなど。

さらには韓国式春雨のチャプチェ、生野菜のほか、小鉢にはカボチャ粥や水キムチもついてきます。まさに野菜たっぷりの健康食といえる豊富な料理が出てきます。

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このコース料理のメインディッシュは炭火プルコギ。ニンニクのスライスがきれいにまぶされています。白菜キムチは十分に熟成した味古漬けで旨みがしっかり出て、今でも忘れられない味。

そしてチョンガクキムチといわれる小さな大根のキムチ、桔梗の根、ニボシ炒めといったおかずが食卓のうえに並べられます。ご飯と味噌チゲが主食。

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私は有機農マッコリ(1万ウォン)も注文し、発酵微炭酸の爽快な味わいとともに食事をしました。ご飯を炊いた釜も出てきますが、そこにはお湯が注がれ、食後にはおこげスープとしていただきます。

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少しばかり高級なイメージのある韓定食ですが、平日のランチメニューだけに少々お得で、そして川を眺めながら優雅な気分に浸ることができました。

のんびりとして、少々優雅なひと時を過ごしたい方におすすめです。

★店舗情報・アクセス
南楊州有機農テーマパーク
ホームページ:http://www.organicmuseum.or.kr/
定休:毎週月曜日
料金:大人2,000ウォン

有機農レストラン・ポンウリ
営業日:年中無休
ランチ:11:30~15:30
ディナー:17:00~21:30

アクセス:中央電鉄線雲吉山駅からバス10分。

有機農レストラン・ポンウリは、ソウル・鍾路の清進商店街にもお店があります。お店の方によると、こちらは南楊州のお店よりも比較的、接待用のイメージで運営されているとのことでした。

少々高級な韓定食が味わいたい方には、鍾路のお店に訪れてみてもよいでしょう。参考:ピマッコル~新しい路地裏はいかに

南楊州はソウルからのショートトリップにもおすすめ

ソウル中心部から約1時間の南楊州。地方旅行というには大げさですが、ちょっとした日帰り旅行が楽しめる場所でもあります。

有機農テーマパークのすぐそばには映画『JSA』で板門店のシーンの撮影にも使われた南楊州総合撮影所があります。

ソウルに宿泊した朝、軽く朝食をとってから出かけてみるのも手。有機農テーマパークを訪れ、有機農レストランで食事をし、南楊州撮影所を観覧してソウルに戻ってきても、午後3時、4時くらいになるでしょうか。

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体力を残しておけば、夜に東大門でショッピングしたり、ソウル旅行を満喫することも十分可能!

たまには漢江と少し異なった大河の姿を眺めに、南楊州まで出かけてみるのもよいですね。

トム・ハングルの韓国旅行ひとこと

韓国では2000年代に入り健康志向の高まりから「ウェルビン(웰빙)」というキーワードが流行しました。日本でもウェルビーイング(well-being)という言葉で知られていますが、もともとは英語の概念で、健康で幸福な暮らしができる状態を意味します。

現在でもその流れは続いており、健康志向の食品が多く出回っているのはもちろん、オーガニック食とよばれる有機栽培のレストランやカフェも近年は多いようです。

南楊州ではもともと環境保全の目的ではじめられた有機栽培ですが、時代の流れとともに「体に良いもの」としてより注目されるようになったわけです。韓国を訪れたときにもオーガニックや体に良い食べものに、目を向けてみてはいかがでしょうか。

※2014年5月~2015年2月に担当した、亀戸文化センター『トラベリングコリア』での講義内容の一部を、ブログ用に再編集して記事としました。



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トム・ハングル(吉村剛史)
吉村剛史(よしむら・たけし) 1986年生まれ。31歳。2012年に韓国文化誌『スッカラ』でデビュー、その後韓国旅行、語学Webの編集・ライターを経て、文化センター講座、トークイベントでの発信も。1年8ヵ月のソウル滞在経験のほか、韓国100市郡以上を踏破するなど、地方にも関心が高い。平昌五輪開催の江原道公式ブログにも寄稿中。プロフィールお問い合わせ


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