大型マートの休業と在来市場
吉村剛史(トム・ハングル)
2013/12/11 改:2016/07/27
韓国旅行のお土産を購入するとき、どんなところで買いますか?
百貨店であったり、大型ショッピングセンターであったり、
小さなスーパーやコンビニなどで買う方もきっといらっしゃるでしょう。
そのなかで、観光客がお土産をまとめ買いするときに便利なのが、
ロッテマートやE-Mart、HomePlusなどの大型スーパーです。
韓国ではこれらを「大型マート(대형마트/テヒョンマトゥ)」と呼びます。
また従来からの市場のことを「在来市場(재래시장/ジェレシジャン)」
「伝統市場(전통시장/チョントンシジャン)」といいます。
●大型マート義務休業
2012年、韓国政府の政策で
大型マートと企業型スーパーに義務休業日が設けられました。
伝統市場や個人商店を守るため、ということが理由です。
そのため、どの店舗も月に2回強制的に休業になりました。
韓国を旅行された方のなかでも、お店に行ったら休業だった、と
がっかりされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今年8月に一旦、通常営業に戻ったようですが、
また12月に再開され、その休業日がソウルナビに掲載されています。
→ソウルナビの記事へ
大型マートの外観
●背景
大型マートなど、
大型資本によって経営されているスーパーは
ほぼ年中無休で営業しています。
そのため市場や小規模の店舗は
お客さんを取られてしまい打撃を受けている、というのです。
2010年には、このことを象徴するような出来事がありました。
ロッテマートは大きな容器にたっぷり1羽のフライドチキンを入れた
「トンクンチキン(통큰치킨)」を5,000ウォンで販売しました。
実際に昨年の時点では個人商店で、
1羽8,000ウォン-9,000ウォンで販売されているのを見ましたが、
それを大きく下回る価格で販売されたわけです。
結局、個人事業者などからの猛反発を受け、
わずか1週間で販売中止になりました。
大型マート側はこの目玉商品で客を寄せて、
他のものを売って採算を取ろうという戦略でしょうが、
大きな資本があるからこそ、この値段で販売できるわけです。
●国民の多くは義務休業に賛成している!?
日本で私が住んでいる地域でも、
大型商業施設が数年のあいだに連続して開業し、
その影響もあってか地元の商店街は閑散としています。
だからといって、大資本が悪、といえるわけではないのですが
どうしても個人の力では、対抗できないということ。
共存を考えるなら、規制する必要があるということなのでしょう。
ハンギョレ新聞の日本語版には、
国民の86%が大型マートの義務休業に賛成しているという記事が出ています。
ハンギョレ新聞(2013/4/21)
また、この記事によると大型マートの売り上げは減少し、
伝統市場の売り上げは増加したということ。
ですが減った分の金額がそのまま移転したわけではないといいます。
在来市場の様子
●知っておくと理解が深まるはず。
このブログは旅行情報をお伝えするものなので、
その政策の是非を問いたいのでもなく、
議論しようというわけでもありません。
私たち旅行客にとっては、
大型マートが営業していたほうが買い物するのには便利ですよね。
ですがこういった事情があって休業になっている
ということを知っておくと
旅行をするうえで理解が深まるのではと思い、記事にしてみました。
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吉村剛史(よしむら・たけし) 1986年生まれ。ライター、他。1年8ヵ月のソウル滞在経験のほか、韓国100市郡以上・江原道全18市郡を踏破するなど、自分の目で見聞きした話を中心に韓国関連情報を伝えている。2021年1月にパブリブより初の書籍『ソウル25区=東京23区』を出版。2022年に韓国語能力試験(TOPIK)6級、2級ファイナンシャル・プランニング技能士取得。 ※韓国に関する記事制作やその他のご依頼もご相談ください。お問い合わせ 筆者プロフィール