円安でも激安で韓国旅行を楽しむには!?
吉村剛史(トム・ハングル)
2015/06/21 改:2019/05/15
逆に言えば、韓国からの観光客が増えているため、韓国の友人が日本にやって案内したり、インバウンドの観光業界で働いている方にとってはその恩恵を実感しているのかもしれません。
今回は、「為替レート」という基準から韓国旅行を見ることにして、安く旅をする方法を改めて考えてみたいと思います。
2015年6月1日、3年前のレートと比較!
2015年6月1日の為替レートは、売買基準値で100円=約896ウォン。一方、3年前の2012年6月1日は、売買基準で100円=約1,506ウォンです。これを比較すると、差が約600ウォンとなります。
大雑把にレートを考えるとき、ここ15年くらいの感覚では100円=1,000ウォンと考え、ウォンから一桁マイナスする、という形でイメージされることが多いと思います。つまり100円を交換したときに60円ほどの違いが出る、というとわかりやすいでしょうか。
ちなみに10万円両替時には、3年前の6月1日であれば1,506,000ウォン、現在であれば、896,000ウォン。60万ウォンの差が出るのです。私はこの数字について、「相当切り詰めればソウルで暮らせるかもしれない金額」と例えることにしました。
3年前であれば2か月分の生活費、今年であれば1か月分。だいぶ大きな差です。
60万ウォンで、ソウルで暮らせるか!?
韓国に旅行や仕事で訪れる方が大半だと思うので、生活者の視点に立って考えることはなかなかないかもしれません。しかし本当に「60万ウォンで暮らせるか?」というと、否定的な意見も出るかもしれませんが、これはあくまでもたとえ話。
しかし日本人留学生を基準に考えることで、実際に住んでみるとどのくらいの費用が掛かるのか、というのはある程度理解できるのではないかと思います。
韓国旅行情報サイトのコネストでは留学生にインタビューをし、費用がどれくらいかかるのか、生活費を調査しています。参照元:コネスト留学生記事
2015年6月3日時点では10人回答者がおり、その全員が女性のようです。これによると最も安い人で80万1000ウォンと回答しており、高い人で120万ウォン程度と出ています。
梨大前の学生街
80万1,000ウォンと答えた方でも、娯楽費等にお金をかけているため、実際には60万ウォンくらいに切り詰めることは可能かと思います。
約3年前私が韓国にいた当時は、月80万ウォン程度で暮らしていました。ルームメイトと暮らす中国人留学生は月50万ウォンと話していました。
現地の給与水準は!?
今回は、現地の給与水準にも踏み込んでみます。ソウル市の最低時給は2014年3月時点で5,580ウォンです。ただ零細事業者まで法定賃金が守られているかどうか、は難しいところですが、目安としてはこの金額となります。
ちなみに2015年1月7日の中央日報の記事によると、初任給の年俸が中小企業の新入社員で2,900万ウォン、大企業の新入社員で3,600万ウォンだとしています。記事:中央日報記事
しかし実際中小企業ではこれよりも低いところもあるはずです。また、公務員の非正規職では2,000万ウォン程度というものまであります。
価格が重ね張りの食堂メニュー
この記事では就職後の賃金上昇率が低いことにも言及しており、実際は大企業初任給の3,600万ウォン以上の収入を得ていれば、相対的には高い水準にある、ことになります。
また、物価が上がり続けている、という事情もあります。食堂のメニューを見ると、値上げの改定が追い付かず、金額に数字が重ね貼りされている例がよく見られます。
円安時代の旅、お得に楽しむためには?
前置きが長くなりましたが、本題です。この円安時代、どうお得に韓国旅行を楽しむか?
ショッピングは避けて、あえて文化観光や飲食、人との触れ合いを楽しむ旅をするのがベストなのですが、今回は「韓国だからこそ安い!」という点をまとめてみたいと思います。
Point:1 値上げされてもお得な交通費!
韓国の物価がじわじわと上がっている、という話を書きましたが、交通費は日本に比べるとまだまだ安値水準。東京都心のJRの初乗りが140円、バスの初乗り料金が210円なのに対し、ソウルは電車・バスが1,200ウォン(2015年6月値上げ後、1,000ウォン=約110円。)。
初乗り基準で見ると東京とあまり大きな差がないように思えますが、例えば日本では西武~JR、京王~小田急などのように乗り換える場合にはその都度初乗り料金を支払わなければなりませんが、韓国では地下鉄・電鉄は通し運賃でいけるために安く済みます。
交通カード。コンビニ等で買える。現在は全国互換用あり(2500ウォン~)
また交通カードを使用する場合、バスと地下鉄の乗換も端末にタッチして30分以内であれば、通し運賃で計算されます。10キロまでは初乗り料金(ソウル内のちょっとした移動ならまず超えません)。
10キロを超えても、距離分が100ウォンほどずつ加算されるだけで、2時間地下鉄に乗ってもせいぜい3,000ウォンほど。仁川や春川などソウル近郊にも気軽に行けます。
さらに地方へ出かける場合は、外国人向けの無料バスを利用するのもおすすめ。週末の全州なら無料、お祭り期間の江原道ならわずか5,000ウォンで行くことができるのです。詳しくはお役立ち情報のページをご覧ください。参考:韓国旅行お役立ち情報
Point:2 びっくりするほどお酒が安い!
韓国のお酒はびっくりするほど安いことでも知られています。スーパーなどで購入した場合、マッコリや焼酎は1本、1,000ウォン。お店で飲んだ場合は約3,000~4,000ウォン(300円~)ですが、かなり安い価格で飲むことができます。
「韓国のお酒って度が強いんでしょ」「もしかして、苦いんでしょ」という先入観をお持ちの方、心配することなかれ。2015年、話題になっているのがカクテル味のフルーツ焼酎。
アルコール度数は14度ほどと低めですが、果実の味がするということで人気を集めています。参考:韓国でカクテル焼酎が人気~チョウンチョロム スナリ&チョウンデイ
韓国ではキムチなど基本のおかずは無料ということを考えると、外食に関してはお酒を飲んでも日本より安く済むことが多くなります。
Point:3 最後の手段はチムジルバンだ!
韓国旅行を安く楽しむコツとして、宿泊費をめいっぱいまで下げる方法があります。それはチムジルバンで寝ること。チムジルバンとは日本でいうサウナや健康ランドのような施設。
日本のようなリクライニングシートなど、きめ細やかなサービスはありませんが、共用スペースに雑魚寝する形をとります。
龍山駅前・ドラゴンヒルズスパ
料金は7,000ウォン~14,000ウォンまでですが、ホテルに泊まるより安く済みます。都市部の大きなところであれば、若い女性も多く利用していますし、男女別の睡眠室があるところもあります。
あまり神経質な方にはおすすめできませんが、安く寝られればよいという方にはおすすめです。もちろん大きい荷物はコインロッカーなどに預けてから行くとよいでしょう。
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円安ウォン高の時代。しかしLCC(格安航空会社)があることにより、かつてよりも安く、気軽に訪れることができるようになった韓国。今回、韓国旅行のリピーターにとってはご存知の情報も多かったかもしれませんが、韓国のほうがお得なものもあります。円安でも楽しみ方によってはチープ旅も可能なのです。ぜひもう一度頭に入れて、旅を楽しんでみてください。
吉村剛史(よしむら・たけし) 1986年生まれ。ライター、他。1年8ヵ月のソウル滞在経験のほか、韓国100市郡以上・江原道全18市郡を踏破するなど、自分の目で見聞きした話を中心に韓国関連情報を伝えている。2021年1月にパブリブより初の書籍『ソウル25区=東京23区』を出版。2022年に韓国語能力試験(TOPIK)6級、2級ファイナンシャル・プランニング技能士取得。 ※韓国に関する記事制作やその他のご依頼もご相談ください。お問い合わせ 筆者プロフィール