春の河東・花開市場(ファゲジャント)へ
 2012/03/31 改:2016/08/02 吉村剛史(トム・ハングル)

3月25日の夕方から全羅南道を旅してきました。

先週まで全羅道の光陽(광양・グァンヤン)市では花祭りが行われ、
求禮(구례・グレ)郡ではサンシュユ(山茱萸)祭りが行われるなど
南のほうからだんだんと春が近づきつつあります

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河東からバスに乗り、蟾津江に沿って約30分弱。
慶尚南道と全羅南道の境界に位置する
花開市場(ファゲジャント)に到着します。

1700年代前半には、韓国最大の市場と栄えたともいわれ、
歌手・趙英男の「花開市場」で全国的に有名になりました。

蟾津江(ソムジンガン)沿いの花開市場に
下流からは河東の人たち、上流からは求禮の人たちが
5日ごとに集まって市を開く、という内容の歌詞です。

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全羅道と慶尚道は古くから地域間の対立があったのですが、
自然とここに人が集まり、商売をしていた場所として
知られるようになったとのこと。

市場の所在地は慶尚南道・河東郡に位置していますが、
ソムジン江に沿った国道19号をほんの少し進めば、そこは全羅南道。
すぐそばの橋を渡っても全羅南道。そんな土地柄なのです。

そんな地域間対立も北と南の関係と比べると大きなものではないのですが、
いざこざがあろうとも人と人とのかかわりは変わらないもの。

とくに同じ民族でありながら、分断されている状態にある半島において
仲が良くないとされる2つの地域の人たちが集まって言葉を交わし
商売をしているということに、韓国の人たちの共感が得られる場所なのでしょうか。

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そんな花開市場を探索していたところ…
商売をしているアジュンマに話しかけられます。

「もしかしてあなた韓国の人じゃないでしょ?どこから来たの?」
「日本からです。ここには慶尚道と全羅道の方がいらっしゃると聞いたので…」
「うちは慶尚道で隣のこの人も慶尚道、あそこの人は全羅道の人よ。」

パワフルに元気よくアジュンマが商売をする後ろで、
どうしても小さくちぢこまって見えてしまうアジョッシの姿。
アジュンマの力強さはここでも健在です。

●趙英男の名曲『花開市場』(ファゲジャント)

趙英男の名曲『花開市場(ファゲジャント)』で全国的に有名になった花開市場。
二十数年前の1987年に発売された曲ですが、
やはり名曲は一度聞いてみる価値はあります。

とても明るくリズミカルな曲調、
歌詞を読んでみると行ってみたくなるのがこの場所。
なかなか楽しい歌なのです。(詳しくは検索してみてください)

「全羅道の人は小舟に乗り、
 慶尚道の人はバスに乗って、
 慶尚道のことばと全羅道のことばで
 仲良くにぎやかに市を開く♪」(「花開市場」2番より引用・訳)

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全羅道と慶尚道の人同士は地域間の対立により
結婚もできなかったという韓国の社会背景を考えると
本心としては同じ国民同士、仲良くしたいという思いがあったからこそ、
名曲になったということもあるのでしょう。

歌詞の中には「見た目はただの田舎市場」とありますが、
私が訪れた2012年の花開市場は山に囲まれた小さな市場でありながら
観光客も意識して作られている、そんな感じがでています。

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けれども日曜日の市場はにぎやかです。
食堂のアジュンマたちはお客さんを呼び込もうと声を張り上げます。

入口のガラスのメニューを見ているだけでも
「ここで食べていきなさいよ!」とちょっと強めに声をかけられ、
「また後で来ますから」と言葉を濁してその場を立ち去ったのですが、
あとでその食堂の前を通ったら「あんた何で来なかったの!?」と怒られました(笑)

ですが、裏を返せばそれだけ商売熱心なアジュンマたちが多いこと。
ソウルの市場でも韓国の市場はどこにでも似たようなところはありますが、
これだけ熱心なところは私も初めてでした。

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蟾津江の氾濫によって、元にあった市場の位置から
小さな橋を渡った先に移したのが現在の花開市場だとのこと。

もう今は昔の雰囲気を味わうことができないのですが、
市場の碑や八角亭などが立てられ、特産物が売られ、
蟾津江沿いをドライブがてらに立ち寄る観光客も多いのでしょうか。

このあたりの食堂では蟾津江で捕れる魚が名物。
ナマズ、アユ、さらにはシジミや山菜など。

全羅道との境だけあって基本のおかず(ミッパンチャン)も多めで、
店のガラスには他の店と競争するかのようにパンチャンの写真が貼られています。

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昔の姿は見られないとはいえ、市場で働く商売熱心な人たちの姿は
昔の精神をそのまま受け継いでいるのかもしれません。
春は桜の名所にもなる花開市場。ぜひ一度立ち寄ってみてください。

3月下旬、蟾津江に沿った国道には
山茱萸の花が黄色くきれいに咲いておりました。

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≪アクセス≫
慶尚南道・河東バスターミナルより雙溪寺行きバス、
全羅南道・求禮バスターミナルより釜山or雙溪寺行きバスで
花開バスターミナル下車。(ソウルから河東、求禮行きのバス有り)



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トム・ハングル(吉村剛史)
吉村剛史(よしむら・たけし) 1986年生まれ。31歳。2012年に韓国文化誌『スッカラ』でデビュー、その後韓国旅行、語学Webの編集・ライターを経て、文化センター講座、トークイベントでの発信も。1年8ヵ月のソウル滞在経験のほか、韓国100市郡以上を踏破するなど、地方にも関心が高い。平昌五輪開催の江原道公式ブログにも寄稿中。プロフィールお問い合わせ


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