東方神起ユンホ(ユノ)の故郷、光州とはどんな都市なのか
吉村剛史(トム・ハングル)
2020/06/24 改:2021/07/03
東方神起のメンバーであり、リーダーでもあるユンホ(윤호、ユノ)。甘いマスクで人気を集めていることはもちろん、歌では特に低音ボイスが素敵だと評判です。
韓国では「ユノユノ(유노윤호)」という芸名で活動しており、メディアなどではその名前で記されます。本名は「鄭允浩(정윤호、チョンユノ)」。日本では「ユンホ」の表記が最も多いですが、ファンのあいだでは韓国語の読みに近い「ユノ」と呼ぶことも一般的です。
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1986年2月6日生まれのユンホは、東方神起として活動するだけでなく、ドラマや映画にも出演。2014年の映画『国際市場で逢いましょう(韓国語:国際市場)』ではベトナム戦争に派兵されたこともある韓国を代表する歌手・南珍(남진、ナムジン)役を演じて話題を呼びました。
南珍のヒット曲である「あなたと一緒に(님과함께、ニムグァハムケ)」を口ずさみ登場したシーンを見た方もいらっしゃるでしょう。そこでは全羅道方言のセリフもありました。
ユンホは韓国の南西部に位置する光州広域市の出身ですが、南珍は光州の南に位置する木浦出身。同じ全羅道方言が使えることからキャスティングされたのだとか。
彼は方言に関するエピソードも数多く、上京して間もないころソウルの地下鉄でとっさに反応した際に方言が出てしまい、その場にいた人を驚かせてしまった、といういくつかの話はバラエティー番組で語られています。
この記事ではユンホ(ユノ)が生まれた光州とはどんな町なのかをお伝えします。光州は人口約150万人の都市であり、すべてをここで伝えきるのは難しいため、ポイントを絞ってお伝えします。
光州は1980年に光州事件が起きた場所
光州は1980年5月18日に民衆の蜂起が起きた場所。軍人の全斗煥(전두환)がクーデターを起こして実権を掌握し、光州出身の民主化運動家の金大中(김대중)らが投獄されたことを機に、光州でデモが発生。そこに政府軍が介入したことにより、150名以上の死者を出しました。
この事件は2017年のヒット映画『タクシー運転手』にも描かれています。
[旧全羅南道庁]
上の写真は最後の抗戦が行われた、旧全羅南道庁。建物には「5.18 最後の抗戦地(최후항쟁지)」と記されています。それ以前の朴正煕政権の時代から光州・全羅道地域が冷遇されていたこともあり、光州は慶尚道との対立、そしてこの事件を機にますます地域主義に拍車がかかるようになります。
そんな歴史がある土地柄ですが、次に光州へのアクセスを見てみましょう。
光州へのアクセス方法は?
光州へはソウル・龍山駅からKTXで約1時間50分。セントラルシティ(高速ターミナル)から高速バスでは3時間20分かかります。2020年6月19日からは、済州航空の金浦―光州路線が就航。ユノが済州航空の名誉社員として宣伝をしています。
ユノが住んでいた場所は、光州広域市の西北部にあたる光山区尖端洞(クァンサングチョムダンドン、광산구 첨단동)。少し北に行くと、全羅南道長城郡という場所です。光州の地下鉄は1号線までしかありませんが、そこから離れた場所に位置しており、観光で行くことは通常はないでしょう。
しかし光山区内には光州空港、そしてKTXが停車する光州松汀(クァンジュソンジョン、광주송정)駅があります。駅周辺は見どころも多いので、次に触れてみたいと思います。
KTXの停車駅、光州松汀駅
ソウルからKTXで訪れるとなると、光州松汀駅を利用することが多くなります。光州駅もありますが、こちらはKTXは乗り入れていません。
[光州松汀(クァンジュソンジョン、광주송정)駅]
光州松汀駅周辺には商店が多く並んでいるのですが、駅前には近年リニューアルした「1913松汀市場」があります。
レトロな1913松汀市場
1913松汀市場は駅前にあるレトロな市場。1913とは松汀里駅(現在の光州松汀駅)が開業した年に由来します。駅前にあった松汀駅市場がリニューアルを遂げ、一般の商店だけでなく、目新しいB級グルメが味わえる店や、オシャレなカフェができ、ここに多くの観光客が訪れるようになりました。
昔ながらの市場もこうしてリニューアルされることにより、見どころ満載の市場に。そのほか光州松汀駅周辺には牛肉をハンバーグ状にした「トッカルビ(떡갈비)」という郷土料理が味わえる通りがあります。これもぜひ味わって頂きたいですが、ここではそれ以外の光州グルメを見てみることにします。
光州に来たら、定食を頂くべし
済州航空の動画でユンホが宣伝していたのは、光州では「十二楪飯床(12첩반상)」が基本スタイルだということ。これは食卓に12種類以上のお皿が並ぶということですが、光州やその周辺の全羅南道の食堂では、とにかくたくさんのおかずが出てくるので驚きます。
[芸郷食堂 ペッパン(定食) 9,000ウォン]
光州市街中心部(東区中央路)にある芸郷食堂(예향식당、イェヒャンシクタン)の定食(백반、ペッパン)は、1人分9,000ウォン(約900円)でこの量。お膳の上を埋め尽くすほどのおかずが出てきます。とにかくすごい!
ソウルでは韓定食の食堂に入らない限り、これほどの量は出てきませんが、光州ではこうした一般の食堂で普通の値段でも、びっくりするほどのたくさんのお皿が並び、食卓をにぎわせます。ついにはお皿が乗り切らず、お皿の上にお皿がのることも!
光州にやってきたら、ぜひこうした料理を堪能してみてください。
ユンホは地元・光州の様々なイベントに出席
ユンホは光州出身の代表的な有名人として、これまで様々なイベントに関わっています。
そのひとつが2013年の光州デザインビエンナーレの広報大使になったこと。これは都市の競争力を高めるために2005年から始まった国際的なイベントで、奇数年の9月から11月頃に展示やシンポジウムなど様々な催しが行われるというものです。
また2015年には光州ユニバーシアードの開会式で公式公演を行い、その後軍隊に入隊しました。
そして2018年には起亜チャンピョンフィールドで、プロ野球の始球式にも登場。背中には本名の刺繍が入ったユニフォーム姿で登場し、ファンを沸かせました。
このようにユンホは地元・光州の様々なイベントを通して、故郷の宣伝に貢献しています。
ユンホの生まれた光州へ行ってみよう!
ユンホが生まれ育った光州。ソウルからは約270キロ離れている大都市です。ここでは詳しく触れませんでしたが、光州中心街はとても充実しており、旅行で出かけた場合は、買い物、食事などはほかの都市と同じように楽しむことができます。
過去の歴史を頭に入れて光州事件の地を巡るのもよいかもしれませんし、光州ならではのたくさんのおかずが並ぶ定食は、ぜひ堪能していただきたいものです。
光州デザインビエンナーレが開かれる時期に出かければ、展示やイベントも楽しめることでしょう。あらゆる角度からユンホが育った場所を想像して光州を歩いてみていただければと思います。
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吉村剛史(よしむら・たけし) 1986年生まれ。ライター、他。1年8ヵ月のソウル滞在経験のほか、韓国100市郡以上・江原道全18市郡を踏破するなど、自分の目で見聞きした話を中心に韓国関連情報を伝えている。2021年1月にパブリブより初の書籍『ソウル25区=東京23区』を出版。2022年に韓国語能力試験(TOPIK)6級、2級ファイナンシャル・プランニング技能士取得。 ※韓国に関する記事制作やその他のご依頼もご相談ください。お問い合わせ 筆者プロフィール