百済の古都・公州(コンジュ)の歴史遺産を巡る旅
 2018/03/24 吉村剛史(トム・ハングル)

百済の都があった場所として知られ、韓国中央部に位置する公州(コンジュ、공주)。現在のソウル・オリンピック公園の周辺、河南慰礼城(漢城、ともいう)に都を構えていた百済でしたが、高句麗が勢力を強めたことによって都は陥落。

西暦475年、現在の公州である「熊津(웅진、ウンジン)」に遷都。それから538年に扶余に再び都を移すまで、公州の地に都がありました。ちなみに公州と呼ばれるようになったのは、高麗時代からといわれています。


[ユネスコ世界遺産・公山城]

2014年に百済歴史遺跡地区が韓国で12番目となるユネスコ世界遺産になりましたが、公州からは公山城と宋山里古墳群が登録。この記事では公州の歴史遺産を巡るために役立つ観光情報、アクセス方法をお伝えします。

ソウルからわずか1時間半!~公州へのアクセス・観光マップ

忠清南道・公州はソウルの南、約125キロに位置し、ソウル・江南にあるソウル高速ターミナルから約1時間30分(料金8,000ウォン)で、公州市外バスターミナルに到着します。

公州バスターミナルに到着する際、川沿いに公山城を望みますが、その川こそが錦江(금강、クムガン)。のちに遷都することとなる、扶余もこの錦江の流域であり、百済中期・後期の文化はこの錦江沿いで発達したのです。


公州の地図

世界遺産にも登録されている公州の百済の遺跡地は、天気が良ければ歩いて回れることも大きな利点。半日~1日かけて街を巡ってみませんか?

韓国の世界遺産・公山城を歩いてみよう

公州バスターミナルから錦江を渡り、徒歩で約20分のところに位置する公山城(공산성、コンサンソン)。475年に漢城が陥落したあとは「熊津城」へ遷都、高麗時代に「公山城」と呼ばれるようになりました。

公州(熊津)は北側に錦江が流れる場所であることから、当時勢力を強めていた高句麗のような外敵からの攻撃を防ぐのに適した場所。さらに南東方向に鶏龍山がそびえるなど、山々に囲まれた場所に位置しています。

公山城は当初土城でしたが、朝鮮時代に石城となりました。城壁は約2.6キロにも及び、歩くと1時間くらいかかります。とくに錦江を目前に望む場所は絶景で、春や秋などの過ごしやすい季節ならば、心地よい風にあたりながら歩くことができます。

錦江沿いの景色は素晴らしいですが、南側は山林を歩くように軽いピクニック気分で歩くことができます。ただし城壁は崖ともいえる場所で、ところどころに「転落注意」と書かれていますが、気を付けて歩けば、特に問題はないでしょう。

王宮址は峰の頂にある広々とした場所に位置しています。建物の址や遺物が見つかっており、王宮のみで使われる瓦が発掘されたことや、火事の際に消火するための池があることなどから王宮として使われていたと推定されます。

公州では「インジョルミ(인절미)」というきな粉餅が名物ですが、この公山城に由来する逸話があります。

朝鮮時代の1624年、朝鮮の武将・李适が反乱を起こした際、朝鮮第16代王・仁祖(インジョ、인조)が公山城に10日間避難したのですが、その時に「イム(임)」という人物がきなこ餅を献上します。

イム氏が献上した餅が「非常に美味しい」=「絶味(절미)」だったことから、「イムジョルミ(임절미)」に。それが訛って「インジョルミ(인절미)」になった、とも言われています。

公山城
入場料:1,200ウォン
営業時間:9:00~18:00
公州市公式ページ(日本語)

韓国有数の栗の名産地、栗は1500年前の遺跡からも~公州の名物グルメ

公州の名物、といえば栗。公山城の発掘現場からも1500年前の栗が出てきた、というほどです。公州の公山城入口の正面には飲食店が多数あり、ここには名物の栗を使った料理を提供する店があります。


[市場精肉店食堂(시장정육점식당)]

公山城近くの「市場精肉店食堂(시장정육점식당)」という韓牛の焼肉店。このお店の「ユッケビビンバ(육회비빔밥、12,000ウォン)」には、名物の栗がまぶされています。


[栗が入ったユッケビビンパ、12,000ウォン]

この器にご飯を入れコチュジャンのほか、ゴマ油をお好みでかけて、しっかり混ぜ合わせます。新鮮なユッケとナムルがゴマ油と混ざり合い、心地よい風味が漂ってきます。

ユッケの柔らかさに加え、栗のほどよい歯ごたえが美味しさを引き立てます。肉の専門店らしく、牛の血を固めた「ソンジ(선지)」のスープがついてきて、ユッケとともに肉の旨味を十分に味わうことができるお店です。

●おやつにも最適!
栗の形のお菓子も売られており、小腹を満たすにも適しています。

王の古墳がある世界遺産・宋山里古墳

公山城から徒歩約15分のところに宋山里古墳群があります。丘の斜面には土まんじゅう型の古墳が全部で7基。現在は1号墳から6号墳、そして百済第25代王・武寧が葬られた武寧王陵が整備されており、歩いて観覧ができます。


[写真中央にある木の下が武寧王陵]

1号墳~5号墳までは横穴式石室で、6号墳と武寧王陵はレンガ造りの石室。古墳の内部の様子は、現在は公開されていないため、敷地内にある宋山里古墳群模型館でうかがい知ることができます。ぜひ立ち寄ってみましょう。


[宋山里古墳群模型館]

展示館のなかには王の石室のレプリカがあり、石室内の様子を体感できます。この宋山里古墳のなかで、埋葬されている人が判明しているのは、百済の第25代王・武寧王だけ。誌石のほか、古墳の内部に王の象徴である蓮の花が描かれていることからわかるのだといいます。

[左・武寧王、右・武寧王陵の石室内]

展示館のなかには、発掘当時の内部の状態を再現したコーナーがあり、当時の石室の造りや副葬品などからは、日本や中国との関係が良好だったことがわかります。

王の棺には日本にしか自生していないコウヤマキという木材が使われていることや、副葬品である銅鏡は、群馬県の観音山古墳と同型の形。石室は中国南朝の墳墓の様式で、遺物の配置法が似ているほか、中国製の陶磁器も出土しているのです。

宋山里古墳群
入場料:1,500ウォン
営業時間:9:00~18:00
公州市公式ページ(日本語)

公州でのホテル・宿泊先は?~公州韓屋村

公州にもホテルがありますが、宋山里古墳群のお隣に位置する公州韓屋村(공주한옥마을、コンジュハノンマウル)も選択肢のひとつとしていかがでしょうか。韓屋とは韓国の伝統家屋のことです。

公州韓屋村は2010年に建設された施設で、お手軽な価格で韓屋ステイができるのが魅力。ソウルでも韓屋には宿泊できますが、地方だけあってゆったり過ごしたい方向き。冬場は韓国式の床暖房オンドルを薪で炊くなど本格的な造りになっています。

部屋料金で1室あたり平日50,000ウォン(約5,000円)、休日70,000ウォン(約7,000円)~とお手頃価格。それぞれの部屋にトイレやシャワーもあり、韓屋の雰囲気を味わいながら、快適に過ごせます。食事は敷地内に韓定食店や韓国料理店があり、団体での宴会も可能。

公州韓屋村は文化体験ができる施設でもあり、学生たちの修学旅行や団体で宿泊するにも適した場所。大人数で大きな部屋を借りて、寝泊まりするには良さそう。

公州韓屋村
料金:平日1泊5万ウォン~、休日7万ウォン~(1室基準)
公式ページ

郊外に一歩足を延ばして~麻谷寺(マゴクサ)

公州の世界遺産巡りもよいですが、さらに探索したい方は麻谷寺(마곡사、マゴクサ)へ。

公州中心街から道のりで約20キロ離れた麻谷寺(마곡사、マゴクサ)は、新羅時代の640年に創建された寺院で、曹渓宗の第6教区本寺。忠清道を代表する名刹です。

公州市内にある甲寺(カプサ、갑사)とともに「春麻谷、秋甲寺」ともいわれますが、もちろん麻谷寺は秋に訪れても紅葉が美しいお寺。名前の由来は説法を聞きに集まった信徒たちが、麻畑の麻のように見えたことから。

麻谷寺には重要文化財に相当する「宝物」の建造物が3軒。そのひとつは「霊山殿(宝物800号)」。約1000体ともいわれる黄金色の小さな仏像が安置されており、その様子は壮観です。扁額は朝鮮7代王世祖によるもの。

本殿の「大光宝殿(宝物802号)」のほか、その後ろの高まったところに大雄宝殿(宝物801号)が配置されており、二つの建物が重なり合う構図は珍しいように思います。

麻谷寺(마곡사、マゴクサ)
公州市公式ページ
アクセス:公州ターミナルから770番バス乗車(1日14本、1時間に1本程度)

公州は世界遺産巡りを始める方にもおすすめ

公州はソウルからバスで約1時間半という気軽に訪れることができる地方都市のひとつ。公州市内は健脚の方なら徒歩での観光も容易で、世界遺産巡りをこれから始める方にもおすすめできる街です。

日帰りでもよいですが、栗を使った名物グルメを味わったり、1泊して韓屋村でゆったり過ごすのもグッド。百済の歴史を知るために旅される方は、1泊2日以上の日程で公州、扶余へと足を延ばしてみましょう。

※公州の観光地だけでなく、扶余や益山にも訪れてみたい方は、「百済の歴史と世界遺産をたどる旅~韓国・百済歴史遺跡地区」の記事をご覧ください。



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トム・ハングル(吉村剛史)
吉村剛史(よしむら・たけし) 1986年生まれ。2012年に韓国文化誌『スッカラ』でデビュー、その後韓国旅行、語学Webの編集・ライターを経て、文化センター講座、トークイベントでの発信も。1年8ヵ月のソウル滞在経験のほか、韓国100市郡以上を踏破。海外の常識をレポートする『海外ZINE』の韓国担当ライター、17年は平昌五輪開催地の『江原道公式ブログ』にも連続寄稿。2018年2月号『散歩の達人』第2特集の取材・文を担当。プロフィール・お問い合わせ


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