韓国ナツメの名産地・報恩(ポウン)~報恩ナツメ祭り
 2019/07/14 改:2019/08/14 吉村剛史(トム・ハングル)

韓国の地方では秋を迎えたころから、秋の味覚を素材にしたお祭りが各地で開かれます。そこで扱われる農作物は様々ですが、特に注目しておきたいものは韓国ならではのもの。

古来からの朝鮮半島の特産物といえるものでは高麗人参がイメージされるかもしれませんが、そのなかでも漢方薬に使われる素材に関しては、日本で料理の食材として扱われることは少ないように感じます。

そのなかのひとつにナツメが挙げられるでしょう。そこでこの記事では韓国・報恩(보은、ポウン)郡で、毎年10月に開催される「報恩ナツメ祭り」の様子をお伝えしたいと思います。


[報恩ナツメ祭り(보은대추축제)]

すでに報恩ナツメ祭りに行こうと考えている方には、旅の参考になればと思いますし、ナツメという果物について全く馴染みがない方も、この記事を通して少しでもナツメに関心を持っていただけたら幸いです。

ナツメとはどんな食材か?~報恩ナツメとは?

そもそもナツメとはどんな食材なのでしょうか?そして報恩のナツメとはどんなものなのでしょうか?

●ナツメは日本では馴染みのない食材
ナツメは、韓国語で「テチュ(대추)」といいます。日本でも一部地域では、家やお寺の庭先にナツメが生っていたという声もあります。栽培されている地域以外では、ほとんど馴染みのない食材ではないでしょうか。


[ナツメの木になっているナツメ]

生のナツメはこのように成っており、実際にかじってみると触感はリンゴのような印象。甘味がありますが、自然のものなので太りにくいともいいます。とはいえ、食べすぎはよくないので、1日2~3粒ずつ食べるのが良いとのことです。

●韓国料理にも使われるナツメ
生ナツメが食べられる期間は1か月と短いため、多くの場合は乾燥して保管されます。ナツメは韓国料理にもよく使われており、最も馴染みがあるものといえば参鶏湯(サムゲタン)。そのほかにもおこわに入っていたりと、その使い方は多様です。


[ナツメ入りのミニ参鶏湯(調理:趙善玉料理研究院)]

●報恩ナツメとはどんなもの?
韓国でナツメが有名な産地といえば、この忠清北道・報恩郡のほかに慶尚北道・慶山市があります。ナツメ農地の面積としては慶山市は第1位、報恩郡が2番目ですが、王に献上された伝統のある報恩ナツメは国内で有名。約1200の農家が栽培しているとのことです。

また報恩ナツメの糖度は30Brixあり、非常に甘みがあることも特徴(例えばぶどうは15~25Brixとされる)。生のナツメもよく食べられています。 参考:보은 대추(韓国語)

報恩は韓国のどこにある!?~アクセス方法をチェック

報恩(보은、ポウン)郡は韓国・忠清北道に位置し、人口は3万680人(2018年現在)という小さな都市。ソウルの南部ターミナルやソウル高速ターミナルからは市外バスが出ており、約3時間。道庁所在地の清州からは約1時間30分で到着します。

この報恩はユネスコ世界遺産として登録された仏教寺院「法住寺(법주사、ポプジュサ)」のほか、新羅の時代にわずか三年で作られ、韓国を代表する石垣山城「三年山城(삼년산성、サムニョンサンソン)」などがあります。特に後者は一部の山城ファンにも注目されています。

報恩ナツメ祭りとは?

報恩郡では毎年10月に「報恩ナツメ祭り(보은대추축제)」が開催されます。当初は3日間だったお祭りは、現在10日間の日程で開催。

2018年の開催期間中には90万人を超える人々がこの場所に足を運んだほか、忠清北道の「農特産物販売活性化」で2年連続となる最優秀賞を獲得するなど、韓国を代表するお祭りとなりました。

そんなお祭りではありますが、初日には樹齢400年のナツメの木の前で祭祀が行われ、郡守(市長、町長にあたる)らが参加。

そしてこの報恩ナツメ祭りではステージ公演が行われ、韓国の農楽、チャンゴ(太鼓)、歌などが披露されます。やはり初日の夜にはこのステージで開幕式が行われます。初日に来場できる方はこうした催しにも足を運んでみましょう。

報恩ナツメ祭りの会場はどんな様子?

報恩ナツメ祭りの会場はどんな様子でしょうか。報青川(보청천)と呼ばれる川沿いの会場を歩いてみました。

お祭り会場にはテントが並べられており、その下で特産物が売られている、というスタイル。

こういったものは他の地域のお祭りと同様なのですが、報恩ナツメ祭りのすごいところといえば、とにかくナツメ、ナツメ、ナツメ。

川の岸辺の片側のにあるテントのすべてがナツメを販売する農家のテント。ひとつの特産物がここまで並んでいるお祭りは、なかなか珍しいように思います。

会場のテントではナツメが販売されています。ナツメの大きさには種類がありますが、販売されているものは24~30mm。30mmはかなりの大玉で1キロあたり20,000ウォン。これは基本的にお祭り会場のみだそう。値段はサイズやその年によっても異なりますので、参考程度にしておいてください。

ナツメは下のような箱に詰めて販売されます。生ですので、購入後はできるだけ冷蔵庫に入れて保管しておくことが望ましいでしょう(涼しい季節なので、天候にもよりますが数日はもちます)。

もちろん乾燥ナツメも販売されています。生は現地で食べて、乾燥したものを日本に持ち帰るほうが手間なく済むかと思います。

この報恩ナツメ祭りのエピソードをひとつ。報恩郡の鄭相赫郡守は報恩ナツメ祭りが成功した理由のひとつとして、「ナツメ農家が購入者に対して名刺を渡すことを実践させたことにある」と話します。つまりこれはそれぞれの農家が責任をもって、自信をもって販売しているということです。

会場ではナツメマッコリなども試飲しながら、購入してもよいでしょう。1リットルなので持ち帰るのが大変ですが…。飲食コーナーでもナツメマッコリを飲むこともできますし、クッパやチヂミなどとともに味わうこともできます。

ナツメを販売するテントが多くて驚くほどですが、この川の片側ではナツメの他にも特産物が販売されており、リンゴや松茸などこの周辺地域で収穫される特産物が集められているため、試食しながらお買い物を楽しめます。

報恩ナツメ祭り
2019年は10月11日~10月20日に開催。
報恩郡庁(韓国語)

報恩(ポウン)のナツメを購入するには?

生ナツメは10月、11月の約1か月の間しか市場に出回ることはなく、韓国の青果店やスーパー、デパートの食品売り場でこの時期のみ販売されています。また乾燥ナツメは、一年中購入することができます。

生ナツメを持ち帰る場合にはほかの果物同様、韓国出国時に空港で検査証明書を受け取る必要があります。乾燥ナツメの場合は特にそういった証明書は不要です。日本の入国時に植物検疫を通すことによって、簡単な確認で日本に持ち込めます。

「日本に持って帰ってくるのは大変」「お祭りの時期に韓国に行けないけれど買いたい」という方は、近年日本でも購入できるようになっているのでお試しください。

韓国・報恩ナツメを輸入販売している業者は1社のみ。楽天市場の「BOBUSANG」というサイトで販売されているほか、10~11月になると生ナツメは新大久保コリアンタウンのスーパーでも販売されます。

価格は輸送費や関税もかかるため、韓国で購入するよりも2倍以上にはなります。しかし日本で販売されるナツメは輸出向けの商品として作られているため、より品質が良いものが入ってくるようです。味見したい方はぜひいちど購入してみてはいかがでしょうか。

ナツメ商品も様々!~なつめチップスはお手頃かつ美味しい

報恩ナツメが入った特産物をチェックしておきましょう。ナツメが入った特産物として一般的なものはナツメ茶(대추차)、ナツメが入ったコチュジャン(고추장)などがありますが、日本で販売されるようになった報恩産の商品としては「なつめチップス」があります。


[なつめチップス]

ちなみに「報恩なつめ」は2018年に日本で商標登録されることとなりました。これにより「報恩なつめ」は報恩産と認められたものしか販売できないことになり、この名称をナツメのブランドとして認知させていくようです。

このなつめチップスはドライフルーツとしてそのまま食べても美味しいですし、ヨーグルトに入れたり、サラダにまぶして食べたりしても味覚のアクセントとなります。なによりも添加物が入っておらず、果物のそのままの味を楽しむことができるのでおすすめです。

こちらも上記のように楽天市場の「BOBUSANG」で購入できるほか、新大久保の一部店舗で販売されています。是非いちどお試しください。(参考価格40g:500円前後)

旬のナツメを報恩で味わってみて!

10月に韓国を訪れて時間に余裕のある方には「報恩ナツメ祭りをぜひ訪れてみてほしい」と言いたいところですが、実際に行くことができない方も多いのではないかと思います。

しかしながらこの季節は韓国のあちこちで生のナツメが販売されています。少し値が張る果物ではありますが、見つけたらぜひ一度購入してみてください。

そのときはぜひ産地にも目を向けていただき、「報恩(보은)産であるかどうか、そうでないか」も見ていただくと、より地方への理解を深めて頂けるかと思います。その際にはぜひともこの記事を思い出して頂ければ幸いです。




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