EXOベッキョン(ベクヒョン)の出身地、京畿道富川市は映画・漫画の文化的な都市
吉村剛史(トム・ハングル)
2020/09/09 改:2020/09/10
2012年に韓国と中国でデビューした韓国のアイドルグループ・EXO(엑소、エクソ)。韓国を代表する大手芸能事務所、SMエンターテンメントに所属しています。
当初は中国では「EXO-M」と韓国では「EXO-K」に分かれて活動を行ってきましたが、2015年には日本でもデビュー。
[EXOのポストカード]
日本で発売されたファーストシングルの「Love me right~Romantic Universe~」は、当時海外アーティスト史上最高記録を達成。各地で公演を行うなど、日本でのファンも非常に多いグループです。
EXOのメインボーカルであり、絶大な歌唱力とダンスの上手さ、そしてムードメーカーでもあるというアイドル性も兼ね備えたベクヒョン(백현、ベッキョン)は、1992年5月6日生まれ。
もともと歌手志望だった彼はSMエンターテインメントに路上でスカウトされ、その後1年未満というアイドルの中ではかなり短い練習生としての期間を経て、EXOのメンバーとしてデビューを遂げました。2016年にはEXOの3人組ユニット「EXO-CBX」としてもデビュー。
さらに2019年にはSHINee、NCT、EXOの才能あふれるメンバーから構成されたSuperMとしてもデビューし、さらなる活躍が見込まれています。しかしながら入隊も噂されているところです。
2019年の1月には箱根へ温泉旅行にやってきて、チョコモナカジャンボを食べたことでもファンのあいだでは話題になりました。
そんな彼の出身地はソウル郊外に位置する京畿道富川(부천、プチョン)市遠美(원미、ウォンミ)区。旅行ではなかなか訪れることのない街ですが、才能ある彼が学生時代を過ごした場所はどんな場所なのかを解説していきます。
富川市とはどんな場所か?
富川(부천、プチョン)はソウルの西側に位置する市。金浦空港のちょうど南側に位置しているベッドタウンで、人口は約85万人。
[富川市街地の様子]
中心ともいえる富川駅はソウル中心部からは地下鉄1号線で仁川(인천、インチョン)方面に向かうときに通る駅で、ソウル駅から約35分で到着。市内は地下鉄7号線も通っており、都心部への通勤圏でもあります。
[KORAIL富川駅]
もし日本人観光客がこの街を訪れるとすれば、「友達が住んでいるから」という理由がほとんどではないかと思います。もし目的があって訪れるとすれば、以下で触れることが大半ではないでしょうか。
[富川市の地図]
唯一目玉といえば、毎年7月に開催される富川国際ファンタスティック映画祭で、これはアカデミー賞公認の映画祭。レッドカーペットで開幕式が行われます。市のスローガンは”Fantasia Bucheon”です。
富川は漫画・映画など映像作品の街
富川市は映画だけでなく漫画やアニメーションの振興にも力を入れており、様々な施設があります。以下のような場所が観光スポットとなっています。
ファンタスティック映画祭とファンタスティックスタジオ
富川国際ファンタスティック映画祭が初めて開催されたのは1997年のこと。ゆうばり国際ファンタスティック映画祭をモデルにしており、それ以前から映画界の人的交流がありました。
2002年にはドラマや映画のセット場である「富川ファンタスティックスタジオ」が設けられ、そこでは1930年代から1970年代の韓国の街並みが再現、日本統治時代を描いた大河ドラマ「野人時代」のロケが行われたことにより、人気の観光スポットになりました。
[富川ファンタスティックスタジオ]
しかし富川ファンタスティックスタジオは老朽化が進んだことにより、2011年に閉鎖。その跡地は2016年にキャンプ場や屋外スポーツ施設が設けられ、「野人時代キャンプ場」としてオープンしました。
スタジオでは様々な映画やドラマ作品のロケが行われましたが、「野人時代」のイメージが最も強かったことは、跡地に設けられた施設のネーミングからもうかがえます。
アニメーション国際映画祭と韓国漫画博物館
そして野人時代キャンプ場の隣には、2009年に移転拡張された韓国漫画博物館があります。
もともとは2001年に開業し、それをきっかけに毎年10月に富川アニメーション国際映画祭が開かれますが、このイベントには日本からの参加も多く、2019年には片渕須直監督に名誉賞が授与されました。
韓国漫画博物館は非常に立派な施設で、館内には3D/4Dのデジタル劇場があるのですが、展示もまた見ごたえがあります。
ここには韓国漫画史100年が詰め込まれており、日本統治時代の漫画から現代のウェブトゥーン(WEB漫画)に至るまでのパネル展示、代表的な漫画家の紹介、そしてレトロな漫画店の模型などが設置されたりと、韓国の漫画に関心がある方にとっては、ゆっくり展示を眺めているだけでも楽しめる場所です。
ベクヒョンも見たかもしれない遠美山のツツジ
富川には韓国を代表する花であるツツジの名所があります。ベクヒョンが出身の遠美区の名前にもなっている遠美山(원미산、ウォンミサン)。
標高120mほどの山で、山というより小高い丘といった印象ですが、春になると山一面にツツジの花が咲きます。韓国を代表する詩人・金素月(김소월、キムソウォル)の代表作「ツツジの花(진달래꽃)」の歌碑もここにおかれています。
近くに小学校があるため、まさにドラえもんに出てくるような「学校の裏山」というような場所ですが、お隣には富川総合運動場があり、ここはプロサッカーチーム・富川FC1995のホームグラウンドにもなっています。
[ホームグラウンド・富川総合運動場]
ツツジは3月下旬から4月上旬にかけて満開になるので、この時期にソウルを訪れたら、足を延ばしてみてもよいかもしれません。
ベクヒョンの故郷は文化的な要素が詰め込まれた町
豊かな才能をもつEXOのメンバー・ベクヒョン。出身地の富川市はソウルのベッドタウンでありながらも、映画や漫画など文化的な要素に力を入れてきた街です。
彼が育つ過程でこのような環境に影響されたかはわかりませんが、街が芸術の環境を整えることにより、のちに意外な大物アーティストが生まれるきっかけになるのかもしれません。アイドルではMAMAMOOのムンビョル(문별)も富川市の出身です。
ソウルへ出かける際には、EXOベクヒョンの地元である富川市がどの位置にあるのか、少しでも思い浮かべていただければ、より理解が深まるのではないかと思います。
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吉村剛史(よしむら・たけし) 1986年生まれ。ライター、他。1年8ヵ月のソウル滞在経験のほか、韓国100市郡以上・江原道全18市郡を踏破するなど、自分の目で見聞きした話を中心に韓国関連情報を伝えている。2021年1月にパブリブより初の書籍『ソウル25区=東京23区』を出版。2022年に韓国語能力試験(TOPIK)6級、2級ファイナンシャル・プランニング技能士取得。 ※韓国に関する記事制作やその他のご依頼もご相談ください。お問い合わせ 筆者プロフィール