地下市場もあるレトロな大型市場を歩く~ソウル中央市場
吉村剛史(トム・ハングル)
2016/08/13 改:2018/08/07
東大門エリアの東側、清渓川の南側に位置する黄鶴洞(ファンハクトン)のソウル中央市場。朝鮮戦争後に開場し、その後、ソウルを代表する市場として栄えました。
当時は穀物が多く集められ、一時期は大きく繁栄したようですが、観光客が訪れた。古びたゲートには「国内最大 中央市場」と誇大広告気味に書かれていますが、実際に広大な面積をもち、正面ゲートからもその面影は感じられます。
2004年に活性化を図り、改修されたソウル中央市場ですが、この市場の地下には刺身店や衣類や修繕のお店が並び、芸術家たちが作った作品で飾られており、創作アーケードとよばれています。
地下鉄2号線、6号線の新堂駅からは徒歩数分。清渓川の北側にある東廟前駅や、新設洞駅からも歩いておよそ10~15分ほどです。
北方向から歩いてくると、どこか懐かしい雰囲気が感じられる黄鶴洞のコプチャン(牛ホルモン)のお店が並ぶなど、レトロな下町情緒が感じられる路地があります。古めかしい雰囲気が好きな方にとってはおすすめです。
アーケード街というのか、卸売市場のように骨組みだけの屋根。簡易的な作りが、大型市場らしさを感じさせます。この下には青果店や惣菜など様々なお店が軒を連ねています。
市場の屋台にふと腰かけて、チヂミなどを召しあがってもよいのかも。観光客はあまり訪れない下町の市場。鉄板の前で焼いているチヂミを注文すると、隣に座った人が話しかけてきたりもします。
広蔵市場の屋台通りも、観光地のようになりつつある昨今。ソウル中央市場も地元の人たちと触れ合えるかもしれません。
ソウル中央市場~新堂創作アーケード
ソウル中央市場には地下にもお店があります。地上の市場の数か所に階段が設けられており、そこを下りていくとお店が並ぶ通りがあります。
何も知らなければ、意外と気づかないで通り過ぎてしまいそうな、そんな場所。「新堂創作アーケード」とよばれ、芸術家たちが飾った創作アーケード街となっています。
入口から入ると、市場で働く人たちの顔が映し出されています。老舗のように2代以上にわたって営業しているお店は、看板に創業者の顔写真をのせたりしますが、まさにそんな感じ。
そして地下には刺身通りがあることでも知られています。地下に刺身専門店が並んでいるというのも、海沿いの水産市場でなければなかなか見ない光景です。
黄鶴洞にはコプチャン通りも
ソウル中央市場の北側には、コプチャンの焼肉店が数軒並んでいますコプチャンは、牛の小腸の部位のこと。。道路にテーブルを出し、夜風にあたりながら焼酎を飲み、コプチャンを味わえるのです。
1970年代からこの通りが形成された、という話もあります。東大門にはかつてバスターミナルがあり、中央市場が繁栄していた時代とも重なります。
コプチャン通りのある黄鶴洞では、かつて塞がれていた清渓川の工事が始まる前には、蚤の市が営業されていたこともあり、この地域がとても栄えていたのではないかと推測できます。
コプチャンは基本的には2人前からの注文。1人前1万ウォン程度です。交渉により1人前が可能な店もあるようで、尋ねてみてもよいかもしれません。
お隣には新堂洞トッポッキ通りも!
ソウル中央市場の最寄りである新堂駅近くには、新堂洞(シンダンドン)トッポッキ横丁があることでも知られています。今や日本でも知られるようになったトッポッキ。
かつては宮中料理だったのですが、1950年代、新堂洞の地で間食としてのトッポッキが生まれるようになりました。しかしながら一般的なトッポッキともまた違うのです。
鍋のなかにモチのほか、餃子やチョルミョンや野菜や卵、ラーメンが入っていて、皆で鍋を突っつくように食べるのです!時間に余裕があれば、こちらにも訪れましょう。
新堂洞トッポッキ通り
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吉村剛史(よしむら・たけし) 1986年生まれ。ライター、他。1年8ヵ月のソウル滞在経験のほか、韓国100市郡以上・江原道全18市郡を踏破するなど、自分の目で見聞きした話を中心に韓国関連情報を伝えている。2021年1月にパブリブより初の書籍『ソウル25区=東京23区』を出版。2022年に韓国語能力試験(TOPIK)6級、2級ファイナンシャル・プランニング技能士取得。 ※韓国に関する記事制作やその他のご依頼もご相談ください。お問い合わせ 筆者プロフィール