チキン&ビールの絶妙なコンビ「チメク」は懐かしのトンタクにも
 2020/02/14 改:2020/02/17 吉村剛史(トム・ハングル)

韓国でお酒とともに味わう人気のおつまみといえば、フライドチキン。チキン(치킨)+ビール(맥주)で、「チメク、チメッ(치맥)」といいます。参考:チメク=チキンとビール

しかしフライドチキンが流行したのは、1980年代以降のこと。それ以前に電気オーブンで焼いた鶏の丸焼き「電気トンタク(전기통닭)が流行し、ビールとともに食べるようになっていたといいます。参考:トンタク(鶏の丸焼き)VSフライドチキン

人気ドラマ「星から来たあなた」にチメクが登場したり、大邱でチメクフェスティバルが開かれるなど、フライドチキン+ビールの「チメク(치맥)」が一巡した近年では「トンタク、トンタッ(통닭)」が再び脚光を浴びるようになったのです。

ただし近年のトンタクはかつての「電気トンタク(전기통닭)」だけでなく、「鶏の丸ごと揚げ」が含まれ、それが主流になっています。韓国語では「ティギムトンタク(튀김통닭)」といいます。


[ティギムトンタク(튀김통닭)]

近年超リーズナブルに「トンタク(통닭)」が味わえる「韓国トンタク(한국통닭)」という店がソウル中心部でも特に中高年が多いエリアに増加。そして似たようなお店まで登場しています。

1羽わずか4,000ウォン。ひとり飲みもできる「韓国トンタク(한국통닭)」

フライドチキンといえば、街中にある韓国式のビアホール「HOFチプ(호프집)」でも食べられます。またはフライドチキンのチェーン店も多く、そうしたところにはオシャレな外観で若者が多い印象。テイクアウトして自宅で、観光客であればホテルで愉しむ人もいます。参考:韓国の居酒屋(海外ZINE、拙著)

しかし韓国トンタクという店を覗いてみると、店内に置かれているのはテーブルと簡素な椅子。店内は中高年の姿が多く見られます。

こうした「トンタク」の店が中高年に人気なのはどういう理由でしょうか。筆者なりの推測ですが、1.懐かしの「鶏の丸焼き」であること、2.素揚げで脂っこくなくサッパリしていること、3.経済的な価格設定(教育費にお金がかかる中年、リタイアした高齢世代)だということです。

まずはお値段から考察。1羽4,000ウォン(これは日本円で400円弱。※100円=1,000ウォンと考えるとわかりやすい)です。2羽なら7,000ウォン、3羽10,000ウォンです。追加の場合は1羽3,000ウォンとなります。1羽といっても比較的小さめです。

そしてお酒は生ビール、マッコリ、焼酎があり、チキンといえば定番はジョッキに入ったビールです。ジョッキビール1杯3,000ウォン(約300円)、マッコリ、焼酎も同じ値段です。最近では4,000ウォン以上のところも多いのですが、ここでは価格が抑えられています。

近年では経済不安はもちろんですが、人と関わることをわずらわしく思う人も多く、一人でふらっと飲みに行く人も増えており、一人飲みという意味の「ホンスル(혼술)」という言葉も登場しています。そんな時に選ばれるのは、値段が安くて一人でも入れる、こうしたお店なのでしょう。

食べ方といえば手にビニール手袋をつけて、これに塩をつけて食べます。チキン用のソースもあるようですが、別売り(500ウォン)になっています。

特に昼間はお酒を飲まずにチキンを食べている人も多いのですが、鶏の姿がわかる状態でかぶりついているのを横から見ると、なかなか不思議な光景に見えます。

さてお味のほうはといいますと、鶏肉は素揚げしているようで皮はパリッとしますが、フライドチキンより肉厚(揚げる前に下茹でしているかもしれません)。そして脂っこくなくサッパリしているので、間違いなく中高年にはウケるでしょう。

例えば辛いソースをつけ、これにチーズをのせてしまうと、完全に若者向けの料理になりますが、そうした要素がなく、昔の味に近いということも人気の秘密なのかもしれません。

【韓国トンタク(한국통닭)の店舗リスト】

類似するお店も登場!

「韓国トンタク(한국통닭)」がそれなりに流行したためなのか、これに類似するお店も登場しています。基本メニューは「鶏の丸揚げ」なので、味はどの店も似たり寄ったりだと見てよいでしょう。

ただ後発店はサイドメニューを充実させていることが多く、タッカンジョン(닭강정、甘辛ソースのから揚げ)、ポテトフライ(감자튀김、カムジャティギム)のほか、参鶏湯(삼계탕、サムゲタン)を提供する店もあり、鶏メニューや軽い揚げ物が中心です。

こちらのお店ではトンタクとマッコリのほか、砂肝(통집、トンチプ)を注文してみたのですが、このお店では大根の酢漬け(チキン大根という意味の”치킨무(チキンム)”と呼ぶ)がサービスで出てきます。上述した韓国トンタクでは500ウォンで別売り。

一匹食べればそれなりに満足できますし、もう一匹食べれば通常なら充分でしょう。2人で3匹くらいでちょうど良いかもしれません。油で揚がっているとはいえ、炭水化物も少なくヘルシーです。

リバイバルしたトンタクは庶民の味方

60~70年代に流行したという鶏の丸焼き「トンタク(통닭)」。それが半世紀近くの時を経て、再び人気を集めています。フライドチキン&ビールの「チメク」は韓国でも人気のグルメですが、「トンタク」もチメクの選択肢のひとつとして考えてみてはいかがでしょうか。





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